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楽しく面白い幸せな007 【 007 私を愛したスパイ 】(1977)

ムーアボンドはとにかくユル楽しい

ジェームズ・ボンド役者の中でもロジャー・ムーアはとりわけユルい。肉弾戦はユルいし、表情も常にユルい。女性が絡むとさらにユルい。だけどそのユルさからくる軽やかさと、紳士な佇まい、その余裕さがたまらなく頼りになるし、楽しい。ムーアボンドはカッコいいというより楽しく面白いボンドなんだ。

そんなユルい第10作目にしてムーアボンド3本目、あのスカラマンガとの死闘(?)のお次は超娯楽大作。超巨大なセット、美しいヒロイン、大量のエキストラ、見るだけで楽しい乗り物、ただ悪いだけの悪者、そして面白すぎる刺客、みんな大好きなサメと老若男女、子供も大人もみんなが楽しいと思える要素をこれでもかと盛りに盛った最高のお子様ランチ。それが「007 私を愛したスパイ」だ。

面白エンジンに火をつけろ

冒頭のどう観てもロジャー・ムーアがスキーしてるようには思えない超スキーチェイスは素晴らしいし、そしてカイロでのもったりした肉弾戦のヌルさに苦笑い。ジョーズとの遺跡でのチェイスと静かな戦いも凝ったカメラアングルがカッコいい。
しかしここまではいつもの007。本作の面白なエンジンに火がつくまでは若干時間はかかるがこの映画はどんどん面白さが加速していく。

中盤からは完全にトップギアに入り、視聴者を一秒たりとも飽きさせないための3段チェイス、そして潜水艦を食うタンカー、サイドカーロケット、潜水艦になるボンドカー、無敵すぎるジョーズという存在「んなアホな!」と言いたくなるような漫画的展開が連続してそれが全く追いつかない。潜水艦を食うタンカーってなんだよ!その荒唐無稽さ、1000%作り物の超フィクション感が清々しいんだ。

特に「ロシアより愛をこめ」てをオマージュした寝台車のジョーズとのバトルは、グラントも苦笑いするようなボンドに分が無さすぎるバトルで面白過ぎます。しかし何故かボンド勝っちゃうし、ジョーズは無傷なんだよなぁ...。(しかもジョーズはずっとあのクローゼットで待ってたのか...。)

そして毎度のアホなオチの中、主題歌の中で最も多幸感に溢れる「Nobody Does It Better」で締まる。こんなに幸せで楽しく嬉しくて泣けてくる時間を味わえる映画は他にない。

ベイビー♪あなたは最高よ♪


DATA

007 私を愛したスパイ
公開年:1977年
製作国:イギリス、アメリカ
上映時間:125分
監督:ルイス・ギルバート


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