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九龍はパニック地獄【 THE キョンシーパニック 】(PS2)

キョンシー!

それはこの世に恨みを持って死んだ人間が腐らず人間を襲う中国に伝わる妖怪!そんなキョンシーに対抗する道士たちを描いた1985年の香港映画「霊幻道士」はカンフーとギャグ、お色気そしてオリエンタルなホラーと盛りに盛ったお子様ランチ的な作品でキョンシーブームも納得の大変面白い逸品でした。
キレのあるカンフーと餅米や墨糸など対キョンシーアイテムの数々が楽しく、子供の頃なら絶対に真似して遊んでいたに違いない、そりゃ流行るよ!ちなみにAmazonプライム・ビデオで配信中なので是非見よう。

不死の亡者から人々を救え!

そんな当時の流行とは全く関係なく突如2004年にシンプルシリーズにて発売されたのが本作「THE キョンシーパニック」です。開発はシンプルシリーズでアクションといえばのタムソフト。
まぁ本作を遊ぶための予習として「霊幻道士」を見た訳なのですが、映画が想像以上に面白く本作にも期待が高まります。

<物語>
西暦2050年上海。突如として大量発生した伝説の吸血妖怪キョンシーに、あるビルが占拠された。政府は、秘密裏にキョンシー達を退治しようと画策したが失敗。このままではビルごと爆破するしかないという、追い詰められた状況にあった。
しかしビルの中には逃げ後れた人々がまだ多数残っているのだ。
政府はキョンシー退治のエキスパートに出動を要請。若き道士「蓁 福月」は、ビルの中の人々をすべて救出し、ビルごと爆破という最悪の手段を回避させることが出来るのだろうか…。

公式ホームページより引用

主人公は近未来対キョンシーエキスパートというイカす設定なだけあって剣に、銃、キョンシーに対しては強力な武器となる餅米、そして弱ったキョンシーにトドメを刺すお札と四つの武器を巧みに使う事ができる。残念ながらカンフーは無いが、この武器の多さはヴァンパイアハンター的なプロフェッショナル感がありますね。タメ攻撃で攻撃が変化したりとアクションにバリエーションが多いのも嬉しいぞ。

主人公であるシン・フーユェさん!先祖代々妖怪退治を生業とした一族だ。

キョンシーよりも人命最優先

そんな本作はジャンル名に「人命救出アクション」と銘打つだけあって、主となるのはキョンシーを倒す事ではなく、ビルに取り残された人々を捜索して助けゴール地点まで誘導することが目的だ。各ステージでは目標の人数を確実に助けていかなければいけない。

キョンシーは弱らせてお札でとどめを刺せ!
生存者をゴールまで誘導だ!

プレイヤーは生存者を襲ってくるキョンシーから守りつつ、立ち止まらせたり、走らせたりと細かい指示出しで生存者を誘導していくのだが、目が見えず人々の呼吸で人間を察知するキョンシーに対して映画と同じく「息止め」でキョンシーから察知されなくなる指示が出来るのも「らしさ」が出ていて嬉しい。

ステージはどれも迷路のように入り組んでいる。頑張って生存者を探そう。

無敵のバランスの妙

そして本作の大きな特徴は主人公には体力が存在せず、特殊な護符『朱雀』のおかげで終始無敵であること。なので心置きなくキョンシーと戦うことが出来るのだが、助けるべき生存者達は皆非力で体力も少ない。目標人数以下まで生存者が殺されてしまった場合は即ゲームオーバーという、絶妙なバランスが面白いぞ。

強敵巨大キョンシー!

でも無敵なら大立ち回りが出来るかと言ったらそうでもなく、武器の切り替え時の微妙にモタつく操作性と、キョンシーの攻撃を喰らって吹っ飛んだりダウンしたりした時の硬直時間が思いのほか長く、その間に生存者が襲われてしまう漫画やアニメとかでたまにある「助けてくれた強い味方が不意の攻撃で気絶してしまってピンチ!」という状況が作られるのが面白い。けどアクションゲーム的にはちょっと気持ち良くはないんだよな…。

そしてどうやら無敵の護符である『朱雀』には副作用で一定時間が過ぎると自らも亡者になってしまう設定のようだ。なので本作には制限時間が存在し、これもなかなかシビアな塩梅で結構ヒヤヒヤするぞ。

そして後半(ステージ6と7)では難易度が高くなり、キョンシーの生存者へのダメージが大きく、結構やり直すことになりました。やはり慎重な生存者の誘導が必要なのだ。しかしそれはなかなか大変なのだ...。

頼むからパニックにならないで!

そう助けるべき生存者たちがなかなかやっかいなのだ。生存者はキョンシーが近くにいるとたちまちパニック状態に陥ってしまい。勝手に走り出してしまう。中には何故かキョンシーに向かって走り出す奴もいたりとなかなかに始末が悪い。
プレイヤーがパニック中の救助者に触れることで正気に戻ってくれるのだが、またキョンシーに触れるとまたパニック状態になるのでやっかいだ。

狭い部屋でパニック地獄!

更に生存者が複数人だと一気にパニック状態になり四方八方に散らばって収拾がつかなくなって大変だ。さらにそこにキョンシーも絡むから負のループは止まらなくなる。
デッドライジングのゾンビたちを恐れもせず武器を持たせたら調子良く一緒に戦ってくれる生存者たちを見習ってほしいぞ。

なのでそんな負のループを避けるために本作はうまく生存者を待機させたり息止めさせたりなどをして慎重に進めることが必要で、そこを考えるのもなかなか楽しかったりする。ただ息止めはあまりうまくいかないのが惜しい…。

若干の物足りなさが残る

そんな本作は全7ステージとボリュームは少なめ。クリアまでは5時間も満たない。ストーリーもまるでこの先に続きがあるような気になる終わり方をしてしまうので消化不良感は否めない。シンプルシリーズだからボリュームは仕方ないとしても、中途半端なストーリーは気になってしょうがないじゃないか!

そんなわけで本作はキョンシー要素たっぷりで、楽しめるのですがやはりシンプルシリーズの若干モタつくアクションと、生存者たちの荒ぶるパニックに若干イライラしてしまう一品でした。
是非またキョンシーがメインモチーフのゲームが登場するのなら次はカンフーを使えるようにしてもらいたいですね…。


DATA

SIMPLE 2000シリーズ Vol.65 THE キョンシーパニック
発売:D3パブリッシャー
開発:タムソフト
対応ハード:PS2
発売日:2004年10月14日
ジャンル:人命救助アクション
公式HP:https://www.d3p.co.jp/s_20/s20_065.html


ちなみにAmazonのページだと発売前のプロトタイプと思われるパッケージが拝める。完成版パッケージの方がヒロインのイラストが可愛くていいね。

あと説明書のストーリーには主人公の年齢は17歳となっているが、真下のプロフィールには16歳となっている。一体どっちが本当なんだ…。



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