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現代地獄巡り【 コールオブデューティ モダン・ウォーフェア 】(PS4)

現代戦が帰ってきた。

時は2019年。ついにCoDの時間軸が現代に戻ってきた。中東の架空国家ウルジクスタンのテロリスト「アル・カターラ」が奪ったロシアのヤバいガス兵器を巡る戦いが始まる。そんな人気FPSシリーズ16作目。もちろんCoD名物プライス大尉も久々に登場だ!

まさかCoDも映画のようにリブート作品を出してくるとは思わなかったし、CoD4からこの時にすでに12年も過ぎていたことも信じられない。信じたくない。でもシリーズ屈指の人気作なんだからリブートもそりゃするよね。

そしてあの頃と今では世界情勢も違えば、ゲームハードも進化した。発売前のトレーラーを見た瞬間、前作のWWⅡからグラフィックが進化し過ぎて度肝を抜かれたのを覚えている。「まだまだゲームのグラフィックって進化するんだよな...。」と思ったものだ。しかしそれが本作においては良いのか悪いのか非常に困ることになる。

海兵隊がぞろぞろと並ぶ姿はモダンウォーフェア!って感じがしますね。

ガス兵器、そして陰惨な歴史を追う

そんな本作のキャンペーンはロシアが作ったガス兵器と中東のウルジクスタンという架空の国を舞台にレジスタンス、テロリスト、ロシアが絡み合うカオスに足を踏み込むことになる。そして見えるのはCoD4の頃のようなプロフェッショナルが陰で世界平和を守るようなカッコの良いモノにはなっていない。
最初から陰惨なテロから始まり、その根底に渦巻く現代の地獄を巡り、血生臭い戦場に身を投じることになる。本作の主人公の一人であるウルジクスタンの解放軍のリーダーであるファラの過去はあまりにも悲しすぎる。しかもここまでやるかというくらい過去を掘り下げくる。辛すぎて「もうやめてくれ!」と叫びたくなるぞ。

そして久しぶりに登場したプライスも目的遂行のためなら手段を選ばないヤツになっていて普通に怖い。更にプライスがプレイヤーに選択を迫るシーンは酷く残酷で、露悪的だ。なにがどうなっても嫌な気分にさせる気満々だ。これを地獄巡りと言わずしてなんと言おうか。

あんな事や、こんな事して、この顔!ゾワっとくるぜ!

本作はとにかく陰惨すぎる。フィクションとはいえ、この先の未来であり得ないとは言い切れない、息が詰まりそうな現代の戦争描写がツラすぎる。グラフィックが向上したことで、そのリアリティはさらに上がってしまった。
昔はただのポリゴンの塊だった敵の顔は鮮明になり、動きはさらになめらかでリアルになった。我々は怯えながら、パニックになりながらコチラに銃を向ける人間を撃つことになる。やらなければやられるのが筋だが、こんなに苦々しい経験を本作は次々と味わうことになる。これでD指定なの?嘘でしょ…。

しかしこーんだけ嫌な思いをさせといて、最後のミッションではとても都合の良い憎たらしい悪者を育てといたので、大義と正義のために戦うお膳立てがちゃっかりしているのが憎いところ。
ここだけは今までの地獄めぐりが嘘のように元来のCoD感あるヒーロー感満載だ。突然アクション洋画のようなドラマが始まってしまってちょっと戸惑うぞ。しかもボス戦までご用意!いやいや、コレ終わりよければ全て良しにしてない!?

ちなみに今回のカイル。彼がギャズになっていたようですね。次回作ではゴーストやソープ、シェパードあたりも登場しそうなので楽しみです。

今回はあの映画テイスト

雰囲気もCoD4が映画『ブラックホークダウン』を意識しているのに対して本作はキャスリン・ビグロー監督2012年の映画『ゼロ・ダーク・サーティ』感が強いのも面白い。おかげでどこかカッコ良さよりも、リアルさが強調されている。特に途中のウルフ捜索のミッションは完全にゼロ・ダーク・サーティだし、女性のCIA司令官が出ちゃうのも完全にそれだ。
それに大使館を襲撃してくるショッキングなシーンはベン・アフレック監督2012年の映画『アルゴ』を思わせる。あのシーンめちゃくちゃ怖い。
中盤に登場するブッチャーという幹部はまんまクリント・イーストウッド監督2014年の映画『アメリカン・スナイパー』に登場する敵幹部の通り名だ。

ゼロダークサーティにもあった、情報を持ち去るシーン。そのまんまだ。

ちなみにゲーム的には壁に固定するというアクションが追加されて、家庭用機でも擬似的なリーン(頭を傾ける動作)が出来るようになった。まぁこれがあるからといってそこまで有利にならないところが良い塩梅。難易度もレギュラーで遊んでいたけれどなかなかに死んだので歯応えがありました。
あ、今回は偉い人の言葉がありましたね…って宮本武蔵!?

正直歴代キャンペーンとしては、そこまで凝ったシステムもなく、ミニゲームやサイドミッション的なモノもないのでかなりあっさりしており、プレイ時間も1日あればクリアできてしまうけれど。その代わりのCOOPモードなのだろう。
今までにはなかった暗視カメラによる狭い家屋の制圧ミッションや、お決まりの長距離のスナイパー戦などバリエーション豊かに楽しめたのでゲームとしては面白かったです。ゲームとしてはね。

暗視カメラの視点は実写感強くて凄い…というより怖い!

時は2019年。ついにCoDの時間軸が現代に戻ってきた。しかし僕にはそれが良かったのかどんどんわからなくなってきた。
思えば未来のエグゾとか義体とかトンデモ兵器で、気の良いロボット兵士や宇宙戦闘機でよくわからんフワフワした傭兵屋や火星の連中とドンパチしていたほうがゲームやエンタメ的には良かったんじゃないかなと思ってしまうのであった。アレだけ嫌だった未来世界が今では恋しい。

まさかこんなにヒリついた雰囲気で次々と嫌な気分を味わうことになろうとは。グラフィックは素晴らしいし、ゲームとしても面白いけれどやっぱりこのストーリーはさすがに辛すぎますね。
暴力は恨み恨まれ、負の連鎖が続く。本作は暴力では何も解決しないことをコレでもかとぶつけて来るパンチの強い、強すぎる作品でした。


DATA

コールオブデューティ モダン・ウォーフェア
発売:アクティビジョン
開発:Infinity Ward
対応ハード:PS4、Xbox ONE、PC
発売日:2019年10月25日
ジャンル:FPS



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