ゲェッ!乳首が三つ!【 007 黄金銃を持つ男 】(1974)
シリーズ随一の変なボンド映画
ボンドに殺人予告をしたのは謎の殺し屋フランシスコ・スカラマンガ!殺されちゃたまらん!こうなりゃ返り討ちだ!
まぁそんな歴代007映画のワーストを飾る事の多い本作ですが、改めて見るとこれが面白楽しい。
本作は変な映画です。しょっぱなからサイケな殺し屋バトル、そして謎の憎たらしい小男ニック・ナック。
そこからのボンドのアジア珍道中は山あり女あり力士ありで見応えたっぷり。バンコクでボンドが力士に苦しめられるんだから最高ですよ。なにも考えない方が良いです、きっと意味はないので。更に敵方もボンド殺害のチャンスをみすみす空手道場で逃がすというザルっぷり。なにも考えない方が良いですよ、特に意味はないと思うので。
さらにあの男の中の男ジェームズ・ボンドが子供に助けてもらったのに金を踏み倒し子供を川に投げ落とすというクズっぷりも披露。そりゃないよ…。
でもあの宙返りカースタントは本当に凄いですよね。何度も見たくなります。でもあのマヌケなSEは何故付けたのか…。
好敵手はあの名優
そしてスカラマンガことクリストファー・リーも何故こんな映画に出てしまったのかマジで謎ですが、ボンドに対抗するかの如くご存知、FPSでは最強の銃の象徴となった黄金銃を始め、空飛ぶ車にはビックリガジェットには驚きです。はじめて見た時は「なんてガキ臭いオモチャだ!」と思いましたが、今は欲しくてたまりません。
そして007映画の中でも純粋に007と戦いたくて仕方が無い男というのも珍しいですよね。(ただそれまでの過程がいらなかったんじゃないかとも思いますが…。)
ただし本当の見せ場であるはずのスカラマンガvsボンドの戦いが意外とショボいのが残念。ビックリハウスのギミックが冒頭と同じセットというのがなんとも頂けない。トドメの一撃も一流の殺し屋スカラマンガならなんとかなったんじゃないかと思わせてしまうあっけなさ。
そしてスカラマンガを倒した以外の今回のボンドの活躍は背中を何度も狙われ、変装はバレ、力士たちの戦いには負けて捕まり、追跡には失敗し、ほとんど上手く行っていない。でもまぁ終わりよければ全て良しなのが007映画。あと最後のニック・ナックとの戦いは完全に蛇足ですね…。
しかし本作はただただ、面白おかしいだけではない、悲しき運命のボンドガールであるスカラマンガの愛人アンドレアの存在、そして彼女の最後がなんとも悲しい。サブになるボンドガールの運命だがその中でもただただ気の毒である。それに比べメインボンドガールであるグッドナイトのなんと能天気な事か…。
そんな真面目な一面も一応はありつつ、全体に漂う異様な雰囲気と、世界存亡の危機を全く感じず、ペッパー保安官の罵声が飛び交う…やっぱり変な映画でした。
DATA
007 黄金銃を持つ男
公開年:1974年12月21日
製作国:イギリス / アメリカ
上映時間:124分
監督:ガイ・ハミルトン