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既視感と秋葉原【 アキバズビート 】 (PS4)
妄想で埋め尽くされた秋葉原を救え!
秋葉原という街はご存知の通り特殊な街だ。ゲームありアニメありなんでもありの趣味の街。そんな街でニートをやっている主人公の日常は開始直後に崩れ始める、駅前に現れる謎の巨大スピーカー、知らないアイドル、謎のオブジェ。しかし主人公達にしか見えていないらしい。
どうやらコレは誰かの想像した「妄想」が具現化して起きてしまっている。おかげで駆け出しアイドルは売れっ子、斜陽のメイド喫茶は商売繁盛などなど良い事があるらしいけれど一つデメリットがそれは日曜日というこの日が永遠に繰り返されてしまう事。それは困る!新作のアレや明日放送のコレが観たいのがあるのに一日が繰り返されているなんてたまらん!こうなったらこの妄想達をぶっ壊して明日を手に入れてやる!
…というアクワイアが放つアキバズトリップからのアキバシリーズ第二弾のRPG「アキバズビート」だ。
目玉はなんといってもHD画質で忠実に再現された秋葉原の町並み、一度来た者ならわかるであろうこの再現力。企業名はどれも違うが細かなテナントまでそれっぽく作られているところには感動だ。本当に秋葉原を歩いているかのような錯覚にまで陥るグラフィックはさすがである。
空虚で物足りない秋葉原
しかし本作の初見の魅力は正直このくらいであり、あとはどこか既視感を、ちょっと安っぽさを感じるかもしれない。
戦闘はテイルズシリーズに良く似ているし、ダンジョンの雰囲気や作りは近年のペルソナシリーズだ。隠す気の無いそのまんまな作りに驚いた。そのせいか本作は発売三ヶ月ほどでネット上での定価が半額以下という残念な事になってしまっている。
だけど戦闘はしっかりと気持ちよく遊べるし、ダンジョンもそれなりにやり応えはある。難易度もやや低めで丁寧に作られてはいるが、残念な部分は多い。秋葉原の街を再現しておきながらその実ハリボテのようにごく一部を除いて店内にはほとんど入れず、ゲームセンターやメイド喫茶など秋葉原ならご存知という所には一切入れないし、ミニゲームなども用意されていないので側だけのハリボテの世界にいるようだ。
又ストーリーの大体は一方通行で会話に選択肢は無く、ただただプレイヤーは話を眺める側になってしまっている。そして話を進めるため秋葉原を行ったり来たりするのだがそれも広いとはいえ、マップは秋葉原オンリー。新鮮さはどんどん薄れていく。思えば他のRPGのように新しい街、新しい大陸などが本作にはダンジョン以外に無い。そこを補塡するたのイベントとのバランスも非常に物足りない。これでヨドバシカメラ側や万世橋、末広町あたりも行けたら面白かったのだが…。
雑だが豊かなキャラクター達
だけどそんな負の部分が多く見え…というプレイしていると沸々と悪い点がどうしても気になってしまう。しかしそんな本作の牽引力を維持してくれているのは個性豊かな仲間達とストーリーだろう。
ジュブナイルアドベンチャーとして若い主人公達の迷いや、不安、失敗、挫折そしてそこからの成長といった要素を扱い、リアルな秋葉原と時代性が相まってなかなか面白い。ただ他の作品と比べると回りくどかったり、一部のキャラクターに対して「お前面倒くさすぎるだろ!」とツッコミを入れてたくなる箇所は多々ある。また話が進むにつれてストーリーがだんだんややこしくなってきて登場人物がなにをしたいのか、なにを言っているのかわからなくなる箇所があるのはご愛嬌。演出面も立ち絵のポーズが一つだけなど、もうちょっと色々して欲しかったなぁ。
ただメインのストーリーはありきたりにならずプレイヤーを良い意味で裏切る展開を見せてくれるのでついついやめ時を失ってしまう。
キャラクター個別でのサブイベントなども用意されており(その実ペルソナの劣化コミュだが)、キャラクター達一人一人の個性に深みを与えてくれるし。メインストーリーより面白かったりするときもある。秋葉原だけあってご当地ネタ(店名などはもじってあるがわかる人にはわかる)、アニメやゲームなどのパロディや小ネタが仕込まれているのも嬉しいところだ。ヨシノさんはいいぞ。
やはり値段が安くなってしまうには安くなってしまうだけの理由がある。本作の場合その第一印象の悪さと、浅く見えてしまう作りが良くなかったのだろう。しかしその反面、シンプルなRPGをプレイしたい人には丁寧な作りでわかりやすく、遊びやすく、間口が広い作りなのでライトユーザーには取っ付きやすい作品だろう。
DATA
アキバズビート
発売 / 開発:アクワイア
対応ハード:PS4、Vita
発売年:2016年12月15日(PS4版)
ジャンル:アクションRPG
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