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極上のサイバーパンク活劇【 スーパーマリオ 魔界帝国の女神 】(1993)

アニメ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」に乗じてこんな記事を載せるのもアレだけど書いておきたい。この実写マリオが素晴らしいということを…。ちなみにアニメ映画のおかげで本作も売れているようですね。恥ずかしながら僕も品切れが怖くて急いで買いました。

出会いは「困惑」

小学生の頃、当時親に「マリオの映画を録画しておいたぞ!」と言われてワクワクして当時テレビ放送でVHSに録画された本作を見たことを覚えている。しかし当時観た時の記憶は困惑しかなかった。
どう見ても舞台はゲームとは別世界のどこか、どう見てもクッパじゃないおっさん、どう見てもヨッシーじゃない恐竜、ハゲた中年マリオに髭のないルイージなど挙げればキリがない相違点と独特の気持ち悪い描写に「コレジャナイ…」と思ったのは今でも覚えている。
思えば子供として当然の感想だったし、間違いじゃない。その後はネット上ではネタに挙げられ、「まぁそうだよな…。」とも思っていた。

再会は「最高」

なら今見え返すとどうか…大人になってNetflixで観たが、この映画…最高じゃないか。

見ればわかる、元からあのゲームを再現することにそこまでこだわっていないことに。そして当時の流行りであったサイバーパンクテイストを盛りに盛りまくった世界観がたまらなくカッコいい上に作り込みがとても丁寧でとにかく楽しい。クッパの街「ダイノハッタン」の街並みのセットはもちろん、人々のトゲトゲした衣装に髪型、行きゆくゴテゴテした車、ティッシュ箱にいたるまで隅から隅まで作り込まれた小道具、まさに現代アメリカとは違う、異世界にしか見えない世界は最高としか言いようがない。

今からでも遅くないからこのパトカーのミニカーを作って売って欲しいし、今からでもいい!この世界のオープンワールドゲームを任天堂に作って欲しい!(んな無茶な)
そんな次々と現れるサイバーパンク描写にワクワクしないわけがない、特に警察署のシーンはたまらん。なぜ受付係の机に美女が座っているんだ。何故わざわざ急停車するケーブルが付いているんだ。タクシーが白骨死体をつけたまま走っているぞ。
無駄に弾ける火花がたまらん。役者もボブ・ホスキンスのマリオも最高だ。ロジャー・ラビットよりこっちのほうがいい役してる。
マリオたちを助けてくれる巨女ビッグ・バーサも最高だ。ってこの名前ってプクプクって意味だったの!?

とはいえマリオと全然関係ないわけではない。所々にあるマリオ要素もなかなか凝っており、敵がファイアボールを射出する「フレイムガン」に、スーパースコープにそっくりな「逆進化銃」、特にボム兵そっくりの「ボム爆弾」はあたりは最高だ。(子供の頃はここだけ嬉しかった)
あのスライダーシーンはもしかしてマリオ64に活かされているのか!?

継承されるサイバーパンク魂

それにサイバーパンク映画としても、後の影響があると僕は思っており、特にサイバーパンク要素をごった煮したAAA級ゲーム「CyberPunk2077」の終盤で登場する高所から降りてもノーダメージのブーツ「レトロスラスター」は、本作の「ジャンプ・ブーツ」そっくりなのだ。誰も指摘してないから不安だけど、これはきっと本作を意識して作ったに違いない!

高いところからも降りることが出来る反重力ブーツ「レトロスラスター」
解説は『決してビンテージ品ではない。むしろ最先端技術の結晶だ。』

そして公開されたアニメ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」では本作との類似点もかなり多く、本作を意識していると思える部分も結構多い。特にアニメ映画のラストの戦いは本作が予算の都合上できなかった幻ラストを再現しているのかもしれない。(ここら辺はブルーレイの冊子による山内社長の言葉に書いてあるぞ。)

Blu-ray版は最高

そしてこのBlu-ray版は超凄い。愛が詰まっている。
本編の画質の凄まじさはもちろんのことだけど、本編のセットをこれでもかと観れるのも最高だ。
付録の冊子にはジャンクハンター吉田氏による秘蔵コラムがあり、我らが任天堂山内社長の本作に対する読み応えしかない話が載っている。

更に本作を監督たちが振り返るドキュメンタリー「THIS AIN'T NO VIDEO GAME」が収録されており、コロコロ変わる脚本など監督夫妻が直面する困難な撮影と当時の評価、そして現在の評価が泣けてくる。更にルイージ役のジョン・レグイザモや美術スタッフたちの話が面白い。いやぁ大変でしたね…。そして当時のメイキング映像も収録。あのヨッシーがストップモーションアニメでも無く、CGでもなく、テクノロジーが詰まったアニマトロニクスの塊だったことには衝撃だ。たまんねー!

ちなみに当時のパンフレットも持っているけど、こちらもイメージイラストや小道具の写真など満載で読み応えたっぷりだ。古本屋で見つけたら是非ゲットするべき一冊だ。見るだけでワクワクするぞ!

本作はストーリーの展開もかなりスムーズでダレ場なく次々と展開していくので飽きずにワクワクして見ることが出来る。たしかにゲームと違うし、ドラマはハッキリ言って無いし、展開はかなりとっ散らかっているけれど、とにかく...とにかく楽しいんだ。万人にオススメできるかと言われたらそうではないけど、この楽しさはやはり唯一無二だ。


DATA

スーパーマリオ 魔界帝国の女神
公開年:1993年
製作国:アメリカ
上映時間:105分
監督:ロッキー・モートン、アナベル・ヤンケル


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