ドラマ 「アイのない恋人たち」にたくさん存在する余白の話。
こんばんは。
昨日の初投稿に引き続き、ドラマ「アイのない恋人たち」のお話です。
この作品の魅力は7人それぞれの人間味あふれるキャラクターや、そこにぴったりハマった役者さんたちの絶妙なお芝居の掛け合い、1話の中で展開されるコミカルとシリアスのバランスの良さ、などなどたくさんあるのですが、私がいいなぁと思うのは、ストーリーに余白があるところ。
全てを説明してしまわないで「このシーンの合間に何があったんだろう?」って想像させてくれるから、誰かと語りたくなるし、何回も観たくなるのです。
例えばそれぞれの登場人物の部屋に置かれている小物たち。
日常の姿を描いていることもあって、毎回少しずつ置き場所が変わっていたり、新しいアイテムが追加されていたりする。
真和のデスクの上にはマウスを持つ手の疲れを軽減するための、かわいい柴犬のリストレストがあったり、キリンの形のペンがペン立てにあったり。他にも、読みかけの少年ジャンプが置かれてたり、磁気ボールがついた孫の手?みたいなのが無造作に置いてあったりする。全体的に「きっとPCの前にずっと座ってて疲れてるんだね・・・」って思うようなラインナップが中心です笑
リモートで男子3人が話す冒頭の定番シーンで真和はいつも何か食べているのだけど、乾きものとかハムとかカップ麺とか、インスタントなものばかり。温野菜とタンパク質中心の食生活で健康に気をつかっている多聞とは真逆のセレクション笑
ある意味仕事以外のことにこだわりがない真和らしいとも言えるのだけど、でも、こういうのも元を辿ると家庭環境の影響が大きいのかなって、その余白の部分を想像してしまう。妹のお誕生日会で手をかけた素敵なお料理が並んでいた多聞の実家に対し、複雑な家庭環境でお父さんも忙しかっただろうし、手の込んだお料理が並ぶ食卓とは縁遠かったのかなって考えてしまいました。
そして、前回の投稿でも書いた第3話のブックカフェでの「愛するということ」の本に関するエピソード。真和と絵里加の2人が同時に上の方にディスプレイされているこの本に手を伸ばし、
「ごめん」「いえ・・・」
「・・・何?」
「「今みたいなシーン、ドラマとかによくにあるな、と思って」
「恥ずかしくて絶対書きたくないけどね」
っていうちょっとキュンとするような素敵なやり取りが描かれます。
でも、第2話のラストで真和が「4回目も会っちゃダメかな」と絵里加に気持ちを伝えた時には「愛するということ」の本はあの位置じゃなくて、もっと目立たない下の方にある。
絵里加の心の準備ができるまで待つからまた会いたいという真和とのやり取りの後、本を手に取ってあの位置に移した絵里加の気持ちを想像するとなんだかとても微笑ましくて。
このドラマのこういう余白で語る部分がすごく好きです。
余白と言えば、先日同じくこの作品にハマっている仲間たちとの会話の中で盛り上がったのが「ブランケット」の話。
1話のラストで「あなたが書いた脚本、読んでみたい」と言われ、家の外の公園のベンチで絵里加に読んでもらっているのだけど、その時に絵里加が膝にかけていたブランケットが真和の部屋のソファーにあるものと同じだったと教えてくれて、なんて重要なアイテムなんだ!ブランケット!ってなったのでした。
真冬の夜の寒い公園で読んでもらうのは申し訳ないから「よかったら部屋で・・・」って言ったけど、「ここでいいです」って言う絵里加も想像できるし、脚本の原稿を取りに行った後、いったんはドアを開けかけて、寒いからブランケットも持っていこうと一緒に持っていく真和の優しい一面も想像できる。
その後、部屋を訪れた絵里加が一緒にドラマを観てる時にも同じブランケットが膝にかけられていて。
愛のない男と言われてるはずの真和の何気ない行動に優しい愛が隠れてることが、1話からさりげなく描かれてたんだなーと嬉しくなった場面でした。
さて、あと2時間ほどで第6話の放送です。
プロデューサーさんが「以前、脚本を読んでむせび泣いたと書きましたが、完成したものを観て、みんなを、どんな事があってもくじけず、がんばれと抱きしめたくなる思いになりました。」と書かれていた第6話。しっかり見届けます。