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研究のアイデアはどこからやってくるのか?

 こんにちは、博士課程(早くも4年となり焦りを感じている)の荻間です。今日は、タイトルにある通り、研究アイデアの着想方法について振り返ってみたいと思います!その前に・・・

 先日、韓国の済州島で開催されたアジアスポーツマネジメント学会に参加してきました。

今年も無事にポスター発表してきました!

 そこで、Dr. Joon Sung Leeによる「How can you find & develop your research idea?(どうやって研究アイデアを見つけ、発展させるか?)」というテーマのスチューデントセミナーに参加しました。始まってみると、私以外の参加者は全員韓国人で、少し驚きましたが・・・笑

 それでも、教室は満員で、研究の着想をどうやって得るのかは研究者共通の悩みなのだと実感しました。

Dr. Leeが紹介した4つのTips

 セミナーでは、研究アイデアを見つけるための4つのTipsが紹介されました。

1. 研究者として考えよう!
・楽しむだけでなく、批判的な視点も持とう!
・常に「なぜ」「どうやって」を自分に問いかけよう。

2. パントリーにもっと多くの「材料」を蓄えよう!
・材料が多ければ多いほど、さまざまな料理が作れる。
・様々な学問分野から多くの理論や文献、手法を蓄えよう。
 →より多くの研究アイデアが生まれる!

3. 他者と協力しよう!
・自分のアイデアを他者と共有することで、新しい研究の機会が開ける。
・他者の意見に対してもオープンな姿勢で耳を傾けよう。
・お互いをサポートし合おう。

4. 「快適ゾーン」から抜け出すことを試みよう!
・学際的アプローチの重要性。
・ただし、まずは特定の分野での専門性を確立する必要がある。

Dr. Joon Sung Lee (2024). "How can you find & develop your research idea?" AASM conference 2024. 

 各Tipsを先生が執筆した論文と紐付けて解説してくださったので、とても興味深く学ぶことができました。

私の研究アイデアの着想

 このセミナーを受けて、自分自身の研究アイデアがどのように生まれたのか振り返ってみたいと思います!

 子どもの頃から毎年訪れていた野沢温泉村。そのなかで、年々、外国人観光客が増えていくのを肌で感じていました。気づけばウィンターシーズンには外国人で溢れ、街中で聞こえるのは英語ばかり。この状況を地元の人たちはどう感じているのだろうか?そんな疑問が私の研究の出発点でした。

今年から共同研究している台湾の先生たちと!

 その疑問を解消するために、実際に現地を訪れ、住民の方々にお話を伺いました。これが私の初めての論文として掲載された研究①となりました。


荻間英樹・醍醐笑部・作野誠一・木村和彦(2022)スキー場再興をめぐる観光地の変容―野沢温泉村を事例として―. スポーツ科学研究, 19, 21-32.
https://waseda-sport.jp/paper/2201/2201.pdf


 その後も定期的にスノーリゾートを訪れて、「最近どうですか?」といった質問から現場の声に耳を傾けるようにしました。同時に、自分の考えを共有し、「私はこう思うのですが、どう感じますか?」とフィードバックをいただくことで、より深い理解を得ることができました。これは、Dr. Leeが紹介したTips③の「他者と協力しよう!」と同じアプローチですね。

 しかし、現場の声を研究として昇華させるためには、豊富なインプットが欠かせません。そこで、様々な文献や理論を読むことを習慣化し、Tips②「パントリーにもっと多くの『材料』を蓄えよう!」を行っていきました。

 読めば読むほど、先行研究に納得させられることも多く、「なるほど、そうだったのか」と感心するばかりでした。また知識が増えれば増えるほど、世界が広がっていくような気がして、研究するのが楽しくなってきたと思うようになっていきました。それでも、すでにやられている研究があるなら、私の研究はどこにオリジナリティがあるのかという壁にぶつかってしまいます・・・

 だからこそ、Tips①の「研究者として考えよう!」が重要だと、最近は強く実感しています。常に批判的な視点を持ち、「なぜ?」「どうやって?」と問い続けることが求められます。博士号取得にむけて、この批判力も養っていきたいと感じる日々です・・・!

振り返りとこれから

 改めて振り返ると、研究アイデアを得るためには自分の頭の中だけで考えるのではなく、以下の点が私の研究スタイルでも実践していると感じました。

  • 現場の声を拾うこと。

  • 豊富なインプットを得ること。

  • それらを学術的な枠組みで批判的に捉えること。

 そのためには、自分自身も確証がなくても常に動き続ける必要があります(常に答えがある研究はないということですね!)。そこから新たな視点やアイデアが生まれるのだと実感しました。

 これからも初心を忘れず、Dr. LeeのTipsを活かしながら研究を続けていきたいと思います。博士号取得を目指し、専門性を深めつつも新たな挑戦を恐れず、「快適ゾーン」から一歩踏み出していきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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