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「質感」から見つめる空間デザイン/展示デザイン/鎌倉画廊

【目次】
概要
企画
ー質感とは
ー空間デザイン、展示空間 、鎌倉画廊における質感とは
ー海外と日本の展示手法の違い
実践(質感ポスター作成)
振り返り
まとめ(展示の難しさ)

概要
私たちは、鎌倉画廊内における質感に注目した。
そもそも、日本の空間デザインは、意識を向ける対象(五感など、展示物の構成要素)を限定してこなかった。例えば、枯山水や茶室は、見る対象が決まっておらず、どこを鑑賞しても良い空間である。
逆に、西洋の空間は意識を向ける対象を限定してきた。例えば、鑑賞会や教会の説教などは対象が定められている。
展示空間に五感情報をプラスすることで、意識を向ける対象を限定してこなかった空間デザインの歴史を汲んだ展示空間を作られるのではないかと考えた。

その上で空間デザイン、展示デザインそれぞれにおける質感の在り方について考察したところ、
空間デザインにおいては、「構成要素である形、素材、光、色が表現したいコンセプトと一致しているか。」
展示デザインにおいては、「視覚以外の五感を刺激して作品を際立たせるための演出ができているか。」
これらが質感の在り方を指定するべき物差しであると考えられる。
鎌倉画廊においては、白を基調としており全体的にシンプルな印象で、展示物以外の要素を削ぎ落とすことで展示物に自然と目線がいくような質感作りがされていた。

同じ質感でも時間帯や背景の色によっても見え方が変わると考え、それを私たちは作品として1枚のポスターにまとめた。それが『鎌倉画廊の時間が変化させる質感のカタログ』である。

企画

質感とは
触覚や視覚で感じることができる表面の特徴のことです。
物体の表面の見え方や感じ方を指し、表面要素(凹凸、溝、隆起、気孔など)の大きさ、形状、配置によって決定されます。
質感には、粗い、滑らか、柔らかい、硬いなどがあり、様々な形容詞で表現されます。木や石、草のような自然のものから、布や紙、プラスチックのような人工的なものまで、さまざまな質感があります。
また、アートやデザインの分野でも、構図に視覚的な面白さや奥行きを出す働きをします。例えば、アーティストが絵画の表面に質感を出すためにさまざまな筆のストロークや技法を用いたり、グラフィックデザイナーがレイアウトにさまざまな質感を用いてコントラストや視覚的な魅力を出したりすることがあります。


内容説明用ポスター

空間デザイン、展示空間 、鎌倉画廊における質感とは
日本の空間・展示デザインの特性
日本の空間デザインは、意識を向ける対象(五感など、展示物の構成要素)を限定してこなかった。例えば、枯山水や茶室は、見る対象が決まっておらず、どこを鑑賞しても良い空間である。
逆に、西洋の空間は意識を向ける対象を限定してきた。例えば、鑑賞会や教会の説教などは対象が定められている。
展示空間に五感情報をプラスすることで、意識を向ける対象を限定してこなかった空間デザインの歴史を汲んだ展示空間を作られるのではないか。

鎌倉画廊における展示デザインについて考える上で、空間→展示→鎌倉画廊 の順にデザインについて考察した。

・空間デザインにおける質感
空間デザインについて考えた際、「コンセプト」というワードが出てきた。空間デザインをする上で、コンセプトに合ったものかどうかが重要であり、出来上がった空間が快感か不快を判断する基準にもなると考えた。他にも、空間デザインとは、印象を操作する大きな要因、空間における目的に奥行きを持たせるものという案も挙がった。
議論をする中で、「五感」というワードが上がった。空間デザインの構成要素として、形、素材、光、色などが挙がった。空間デザインは、五感に訴えかけるものであり、居心地を構成する要素であると考えた。

居心地を構成する要素
コンセプトに合ったものかどうか→快感か不快かを判断するもの
五感に訴えかけるもの
その空間における目的に奥行きを持たせる
印象を操作する大きな要因
構成要素→形、素材、光、色

・展示デザインにおける質感
展示デザインにおける質感とは、空間デザインにおける質感から視覚への刺激を削いだものであるべきだと考える。
展示デザインは展示物の鑑賞において主に用いる視覚を邪魔しないで、視覚以外の五感を刺激することで、展示を見たときの感情を増幅させるものであることが理想だ。また、展示のコンセプトに合わせた質感で作品を際立たせるための演出をすることも重要だ。

・Kamakura Galleryにおける質感
次に、今回の展示場所である鎌倉画廊におけるデザインについて検討した。各々が鎌倉画廊に下見に行った際に抱いた印象は、白を基調としており、全体的にシンプルで展示物以外の要素がやはり削ぎ落とされている。しかし、他の展示会場と異なる点として、窓があり日差しがよく入ることが特徴的である。そのため、時間帯によって同じ場所でも見え方・感じ方が変わる。
この、時間帯によって同じ場所でも見え方・感じ方が変わることこそが鎌倉画廊の質感であり、この質感を鎌倉画廊に来るべき理由に昇華できると我々は考えた。


画廊内の質感ポスター

実践
質感ポスター作成
失恋しそうな夜の天井、つまらない飲み会のトイレのドア、怒られてうつむいたときのつま先、
ざらざら、つるつる、ひんやり、ほかほか、さらさら、べとべと、しっとり、からから・・・
質感を見つめるとき私たちは自分を見つめている。これは鎌倉画廊の同じ場所の5枚の写真。
探して見つけて比べてみれば、いまの自分が見つかるかも。

振り返り
私たちは、鎌倉画廊の壁や床、天井などの質感を時間ごとにまとめて、実践で示しているようなポスターにした。しかし、あくまで鎌倉画廊は画廊であり、大学の最終授業のような発表の場ではなかったことを理解できていなかった。そのため、時間ごとに写真を撮ったこと、人の感情の動きに注目したのは面白かったが、それをうまく伝える表現手法ができていないため、来場者に伝わりにくいものとなってしまった。
また、作成した2枚のポスターの内容の繋がりが説明をしないと見えずらいものになっており、この展示を通して何を伝えたいのかをはっきりと説明することができなかったため、私たち自身のテーマに対する深堀りも充分ではなかったように思う。

まとめ
今回の展示で私たちは、画廊における展示の難しさを実感したと共に、質感というものを改めて考えるきっかけとなった。
ありがとうございました。


メンバーの様子

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