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梅雨が明けたら(3)

花は咲いたら枯れてしまうように、いつか別れてしまうのだろうか。形は色々あるだろうけど、離れることは決まっている。最愛の人が、そばにいる最愛の人を失う瞬間ほど辛い瞬間はないだろう。気持ちが晴れる日なんて来ないのだろうか。
土砂降りの雨が続く日でも、晴れは訪れる。いつかは晴れると信じている。

後先のことを考えない方がいいと思った。
今目の前にある、自分の好きというものを大事にするべきだと思った。

雨がだんだんと小降りになってきた時に、

「好きです。」

と伝えた。
直接顔を見て言えなかったが、内気な僕が直接言葉にできたことを褒めてほしいくらいだ。

「私もです。」

と確かにそう言った。雨が隠すことをやめた今、聞き間違えるはずがない。確かにそう言ったのだ。

「付き合ってください。」

そう言った時の事だった。
雨が止んだ静かな晴れ間には、空が祝福をするように虹が見えたのだ。幸せな気持ちになった2人は、手を繋いで歩き始めた。今日はもう友達としてでは無い。ひとりずつがふたりになったのだ。初々しい、にやにやしてしまうようなふたりが映る水溜まりは笑っているように見えた。

[完]

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