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【林業日記3】山に道をつくる意味。林業における道づくりとは?
こんにちは。夫婦で林業をしている嫁のセイカです。
さて今回は、林業における道作りの話。
林業では木を伐って、木材を搬出し、市場や買い手に届けることでお金が生み出せます。
そしてその木材搬出のためには、森林内から外への「道」が必要不可欠となります。
林業の奥が深いなと思うことのひとつに、すべての山にその道がつけられるわけではなく、地形や地質などを見極めた上で、路線を決め、またその道づくりにも技術と知識を要します。
「架線※」などを使って搬出する方法もありますが、道がつけられるか否かで山の価値は決まると言っても過言ではなく、そのようなことから考えても「道」というものがいかに大切かがわかります。
(※架線とは、丸太を運び出す際に、集材装置や運材用空中ケーブルなどを使用して搬出する方法で、道が通じていない山からも搬出することができる技術です。)
ここで言う「道」とは、「作業道」とも呼ばれ、基本的には4輪駆動の2トントラックなどが通れる比較的狭い道ですが、道をつけることによって山の状況が変わることもあり、下手をするとそれが原因で土砂崩れや風倒被害を引き起こす可能性もあります。
そのためにも路線をしっかりと見極めること、最低限の支障木の伐採、水の流れがあるところや地盤の弱いところをどうしても通らざるを得ない場合には木組み(丸太組み)をするなど、道づくりでは考えるべきことがたくさんあります。
(写真上:「洗い越し」と呼ばれ、川に道をかける様子。木組みをします)
私たち夫婦が今施業している現場は、そんな道づくりからはじまりました。
3トンサイズのショベルカーを使って、夫・ばたさんが長さ100mの道をつけたのですが、その道をつけていく様子は感動そのもの!
「道ってこうやってできていくんだ!」
と、林業をする前には道がどうやって作られるかなんて考えたこともなかったですが、この世界に入ったことによって、新たな分野に興味が沸いてきました。
今回100mの道をつけたうち、比較的傾斜が少なく安全に作業ができるというところで、私も機械操作に慣れ、今後道づくりができるように、練習がてら道を2mくらいつけさせてもらいました。
夫のばたさんや普段道づくりの講師の方がショベルカーを扱っているときにはアーム・ブーム・バケットと呼ばれるショベルカーの作業してくれる部分をまるで自分の手のかのごとく、自由自在に使いますが、いざ自分が乗ってみるとその難しさを痛感します。
こればかりは慣れが必要なようですが、ショベルカーに初めて乗った身としては果たしてそんな風に乗りこなせる日がくるのかは到底想像がつきません。
道をつけるということは、木が立っている部分を通過するところも出てくるので、そうなるとその路線上にある木は「支障木」と呼ばれ、伐採する必要があります。
とはいえ、道幅を拡げて木と木の間を開け過ぎるのことは、山にとって好ましくないので、最低限の伐採本数で済むように路線を考えることが重要なのです。そのためにも、道をつける予定の路線上を先に全て伐ってしまうのではなく、道を少しずつ延ばしていく中で、変更があるかもしれないという頭で、目と鼻の先にある木だけを伐るようにします。
最近では、道づくりが最も大事だということで、路線を見極めるために長年その道で活躍されてきた方を講師としてお招きし、踏査(とうさ)※を一緒に行い、道の路線を確定させる勉強をしています。
(※踏査とは現地の山を歩き回り、地形をしっかり確認して路線を確定するための調査をすることを指します。)
昨年末の仕事納めとして、実際に自分たちでつけた道を使って、間伐した木をさっそく搬出しましたが、なんともいえない感動がありました。
こうやって、木は山から搬出され、自分たちの暮らしに必要なものに形を変えていく。
そして、残された山にある木々は未来の子どもたちのために資源として活かせるように私たちのような林業従事者が整備を続け、それと同時に土砂崩れなどが起きないような山づくりを続ける必要がある。
そして、そんな山がおいしい水を育み、その水で米や野菜が作られる。
人間界においても自然界においても、山というのは循環する社会の中で重要な役目を担っていることを感じます。そして「林業」という職種が廃れることがないようにしていく必要があると痛感しました。
ということで、今回はそんな山においての「道」についてのお話でした。
さて2021年に突入したので、次の記事では今年の目標について綴ってみようかな。
皆様にとってもよき1年となりますように。ハッピーホリデー!
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