「高気密高断熱住宅のせいでアレルギー疾患が増えてるじゃないか!」という意見に対して
先日、以下動画を公開したところ、
「高気密住宅になったせいで、アレルギー疾患が増えたんだから、日本の省エネ基準義務化はすべきではない!」
という類の、おそらく同業者からのコメントがあったので、私の意見を述べておきます。
※この手の勘違いやマウントしたいだけの(同業者と思われる)コメントは、基本無視してますが、健全な施主が混乱することもあると思うので、気になるコメントには、この場で率直に意見していこうと思います。
高気密住宅でアレルギー疾患が増えたのは事実
これは間違っていない。実際に高気密高断熱住宅が普及し始めてから、ぜんそく患者が増えているというデータは、以下記事でも紹介している。
家の隙間が減ったことで、ハウスダストが外に排出されなくなっていることと、アレルゲンであるダニも住みやすい環境になっていることなどが原因。
それなら、高気密住宅じゃなく低気密住宅が良いのか?ってそんなわけがない
アレルギー疾患が心配だから、昔ながらの隙間風ビュービューのこたつがないと暮らせないような家で暮らしますか?と聞いてみたい。
超絶寒い日本の家のせいで、毎年15000人以上の方がヒートショックで亡くなっていますけど、それは無視していいんですか?と聞いてみたい。
身体が冷えることが、万病の元になっていることをご存じないんだろうか?寒さというのは、人間の活動の質を低下させる。
つまり、寒い家に住んでいる時点で、命を落とす危険が高まり、人生の限られた時間の充実度が下がるってこと。
そんなことあっていいわけがなく、ましてや知識の少ない施主にその判断を任すなんてのは、国として無責任だ!という前先生の意見に私は賛同する。
高気密住宅のアレルギー疾患対策は必要
ただし、高気密住宅のアレルギー疾患対策とセットで考えるべきなのは言うまでもない。対策はシンプルに換気だ。
なので私がいつも、換気システムの選び方とメンテナンスが大事ですよ!と言っているのは、皆さんご存じのはず。
住宅業界全体で取り組みが遅れている分野。高気密高断熱住宅を建てる住宅会社は、責任を持って換気の意識向上に取り組む必要があると私は考えている。
まとめ
・高気密高断熱住宅のアレルギー疾患の原因になっているのは事実
・低気密低断熱住宅は命を落とす危険があり、不健康な暮らしを生むので100%推奨できない
・アレルギー疾患対策は換気、換気システム選びとメンテンナンスの意識が大事
(余談)家を建てる施主は国の基準を気にしなくて良い
国の基準はあくまで「ボトムアップ」なので、今家を建てる人にとっては、あまり関係ない話。
詳しくは動画内で話しているが、省エネ基準が義務化されても、あまり良い家にはならない。ヤバい家がなくなるだけ。
これから家を建てる施主はヤバい家を避けたいのではなく、良い家を建てたいのだから、国の基準は気にせずに「せやま基準」をクリアすることを意識してほしい。
国の基準は、あらゆる利害関係者に配慮しながら、時間をかけて変更されていく。つまり、基準が甘く、時代遅れになりやすいということ。
国全体として、私たち住宅関係者としては、省エネ基準義務化はとても重要なことだけど、今家を建てる施主にとては無関係と思うくらいでちょうどいい。
がんばりましょー!