苦境の2024年新日本プロレスを考察する
柱の選手が団体を離脱から始まった新日本プロレス。
若い選手が出るチャンスだと話す棚橋社長、ピンチだぞと話すオカダカズチカ。
自分もオカダ退団時にはこのピンチにどうなるのかとNOTEを出して、この1年見守ってきたが、現状新日本プロレスは苦境にあると、私は感じてしまう。
年間最大のドーム興行を前にしてなぜそう感じるのだろう?また自分が一番の問題点と考える新日本プロレスの格上げ問題について、そして2025年の新日本プロレスはどうなるのかを自分でも言語化することで納得したい。
1.「鎌倉殿の13人」の離脱者
「13人、そりゃ人相も悪くなる」一昨年の大河ドラマ、鎌倉殿13人最終回の台詞である。離脱者が続出している2024年の新日本プロレス、そんくらい離脱したんじゃね?(さすがにねーだろーけど)と冗談で考えたが、数え方によっては、実はなるのだ。
団体の顔、長年のエースでありアントニオ猪木の後継者を昨年に公言したはずのオカダカズチカがAEWに移籍したことは衝撃だった。また時を同じくして新日本の誇る世界最高のレスラーウィルオスプレイ、新日本の生え抜き外国人として主にタッグ戦線で長く団体を支えたタマトンガ。彼の家族であるタンガロア、ヒクレオ。
さらに正式な告知がされているか微妙なところだが、オスプレイのラストマッチでアレックスコグリンが負傷引退。
ここまでで団体を去ったレスラーで6人。
ここに負傷者も相次いだ。現在は復帰したがマスターワト、タイトルマッチで離脱したYOH、犬を避けようと交通事故にあった田口隆祐が離脱した状態でのスーパーJr.だったことは記憶に新しい。
そして今12月現在の怪我離脱はG1で負傷した上村、ワールドタッグリーグで負傷したヘナレ、カラムニューマン、G1後に新入団したにも関わらずその次のシリーズで負傷してしまったジェイクリー。癌が発見されて治療にはいったエルファンタズモの5人だ。
ヘビー級レスラーの11人、さらに年始に参戦を表明し、ベルトも戴冠したニックネメスとマットリドル、彼らは結局何かのメインストーリーに関わることなく良くわからんまま新日本プロレスから離れていった。
これで13人。そりゃ外道さんの顔も険しくなるし、棚橋社長の腹もでかくなる。
ベルトを獲ったでいうとモクスリー、ニュージャパンカップに来たジャックペリー、G1参戦の竹下もいるが、あれはシリーズ限定のゲスト参戦で、予定どおり去っていった感が強い。予定になかった離脱者が13人いて、その度にストーリーを練り直しになっているなら、そりゃうまく行っていない感も出るのもやむを得まい。
2.格上げの難しさ
以前に会社の朝礼で新日本プロレスの選手育成について棚橋がオカダを、オカダがジェイを育てたことを例にスピーチをした記憶がある。あのレインメーカーやスイッチブレードを育成した新日本プロレスが、うまく選手を格上げできていない。
現場やフロントで意見が割れているのか、あるいは上記の離脱者続出でうまくストーリーが練れていないのか。
その最も代表的な例が海野翔太問題だ。ニュージャパンカップを優勝、G1も準優勝した辻だが、彼が立つのはG1の準決勝で戦ったフィンレー。なにも成し遂げていない海野が年間最大のビッグマッチのメインで最強のベルトに挑戦する。本人というよりそれまでにファンがメインに相応しく思う選手に格上げ出来なかった会社の問題であろう。
かく言う私も「どうせ東京ドームのメインでもまたザック・セイバーJr.の間接技に苦しんで、試合を止めようとする父海野レフェリーに対して『止めるなぁ!』とか小芝居やるんだろうな」と思ってしまうのだ。
少なくとも海野レフェリーがメインレフェリーである間にはメインの試合ではない方がいいのではないか?と思ってしまう。
レインメーカーショックを起こしたあのオカダカズチカですら東京ドームのメインで棚橋に勝ったのは3回目である。
海野翔太がもしザック・セイバーJr.に勝利してしまったとしたらどうなるんだという怖いもの見たさと、オカダにとっての棚橋は辻や海野、上村にとっての誰になるのか。
最も人気のある内藤がレスラーとしてはしんどくなった今、新日本プロレスが苦境をどう脱するのか楽しみにしたい。