KENTAのG1を見て

新日本プロレスのKENTA選手のG1をこの1月見守って、非常に勉強になった。以前からバックステージやSNSの使い方が上手いレスラーとして知られていたが、今年のG1ではそれが爆発したのだ。試合やバックステージ、SNSを通じて多くの選手と新しい因縁を作り、注目されてまたYouTubeのバックステージ動画では他選手の2倍近い数字を残している。

そうした盛り上げが評価された結果なのか、G1はAブロックの最終戦まで抜擢され、次のシリーズでは棚橋弘至とUSヘビーベルトをかけて戦うことが決まっている。

KENTA選手のそうした術をなんとか盗めないか?ひとまずKENTA選手の今回のスゴさを3つにまとめて、お気持ち表明したいと思う。

点と点を線にする

その試合の相手へのメッセージ、次の相手への言葉、ラストの「結局俺が何が言いたいかって言うと・・」というもはや代名詞となった決め台詞。1つのバックステージでこれだけ詰めこめるトークスキルは本当にスゴい。

しかしそれだけではなく、その後にSNSの書きこみや試合そのものとリンクさせていることが凄い。例を挙げると1戦目の矢野戦。

試合前にTwitterで「私バレッ党のKENTAです」という投稿をしていた。当時は「若干滑ったな」と思ったのだが、試合になると紹介がやたら長い矢野に対抗するかのように、自分の紹介として選挙の挨拶のような長文をリングアナウンサーに読ませたのだ。

また今回初対決となったグレートOカーン戦では事前のTwitterで過去の試合中の技失敗をジャンピング土下座からかわれ、マジギレしたかのように見せつつ、試合後の半沢直樹コントにつなげてみせた。

事前のSNSの書きこみから「今回は何をしてくれるのだろう」と楽しむことが出きる。結果として試合だけではなくSNS、バックステージもチェックする必要が出てきてますますKENTA選手にハマっていく・・まさにエンターテイナーだ。

対戦相手以外とも因縁を作る

対戦相手との因縁作りにおいて余念がなかった。上記の半沢直樹コントをしたグレートOカーンだけではない。鷹木信悟に執拗に「アイツだけは認めてない」と話すのも今後のドラマを感じさせたし、「俺が世界ヘビーを獲ったら初防衛に指名する」という関係を作ったザック戦は試合も素晴らしかった。

また公式戦だけではない。今回のG1では内藤哲也の欠場、その代替選手として高橋ヒロムとの試合はこれまた話題になった。その試合に向けて盛り上げる中で、対戦するヒロムだけではなく他のジュニア選手(特にエルデスペラード)とも因縁を作った。

さらには飯伏選手とSNSで合戦するなかで棚橋弘至選手の名前を出して「棚橋もやベー奴だな#棚橋目を覚ませ」「#飯伏友達選べ」などと今回のUSヘビーをめぐる争いへ布石を打っていた。

さらにAEWというアメリカのプロレス団体に加入したCMパンクという選手を念頭にして「俺が最高のGo2sleep使いだ」というメッセージも発している。

そのKENTA選手だからこそUSヘビーのベルトへ挑戦する際にバックステージで出した「次の挑戦者を指名したり、もっと盛り上げろよ」「お前にとってそのベルトは客にアピールするためのアクセサリー」という発言もごもっともに思うのだ。

過去と未来

今回のKENTA選手のバックステージには過去の「NOAHのカリスマ」であった過去の自分を話す機会がそこそこあった。高橋ヒロムに向けて自分の経験を話したり、当時しのぎをけずった石森金丸の名前を出したり、ザックセイバーJr.との対決だったり・・・そしてきまって「過去の自分も誇りに思っているし、今の自分もまた誇りに思っている」と話す。

KENTA選手は現在家族と共にアメリカ在住。アメリカで展開していこう、またAEW、インパクトなどの、他団体と協力していこうという新日本プロレスにおいて、いつかはという気持ちは大きいでしょう。そのためには今自分の持ってる経験やスキルを最大限活かそうとしています。

これからもKENTA選手から目を離せませんね。

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