巨人原監督は7回までは動かない
巨人原監督を追いかけて11年。原監督の語る采配についての本を読むのは中国の兵法書を読むのと同じ・・・と言っては言いすぎだが、少なくともキングダムを読むよりは実生活で役立つと思う。
そんな何冊か読んだ本をいくつか触れたい。
コロナで遅れて始まった2020年開幕戦、"原采配"が早速さく裂したと話題になっている。1点を追う7回裏の攻撃、阪神のエース投手西選手から継投に入るところで仕掛けた。8番捕手小林に代打石川、石川がヒットを打つと石川に代走増田、9番菅野に代打湯浅で送りバント、一死二塁の状況を作り1番吉川尚輝が本塁打を打ち逆転に成功した。
仕掛け時と見るや否や果敢な采配だが、選手がなぜこうして力を発揮できるのか?
その秘密は原監督が語るスターティングメンバーと自身の采配にある。
原采配「6回までは選手に任せる。7回からは監督コーチが動かす」
無論例外を言えばいくらでもあるのだが、野手においては信じて送り出したメンバーを6回までは信じて戦わせる。それで優勢なら主力を引っ込め、均衡あるいは劣勢なら阪神戦のように控えのメンバーで情勢を変えようと動かす。
非常にシンプルであり。この哲学が守られてることで副次的な効果もある。
選手の役割が明確になることだ。
先発メンバーは6回までは自分たちに与えられた、任されたチャンスを生かそうとする。また7回までに自分たちの責任で負けていたら下げられても仕方ないと納得する。一方で控えメンバーにとっては7回から優勢ならば主力を休ませる控え、劣勢ならば相手を強襲するための切り札として出番をモチベーションを持って待てる。そしてそこで活躍することで先発の機会を奪い取れるかもしれない。
スタメンと控えの選手の力量差で言えば巨人もかなりの差があるのだが、こうして原監督の哲学によって環境が整えられていることで巨人の選手層というのは実際よりも部厚く感じられているのだろう。。