2020巨人育成ドラフト指名選手の将来予測

2020年のプロ野球もいよいよ日本シリーズを残すのみとなりました。ソフトバンクホークスの戦力は明らかに今年の巨人よりも上です。その相手にどう立ち向かうのか、どう戦うのか・・・はまた今度考えるとして、今回は入団が決まった2020巨人のドラフト指名選手19名についてお気持ち表明したいと思います。まず今回の指名を振り返り、なぜこの指名に至ったのか。そこから見える巨人のドラフトへの考え、そして指名された選手たちの将来像を考えていきます。なお選手の敬称は略します。

1 平内龍太 投手 亜細亜大
2 山崎伊織 投手 東海大
3 中山礼都 内野手 中京大中京高
4 伊藤優輔 投手 三菱パワー
5 秋広優人 投手 二松学舎大付属高
6 山本一輝 投手 中京大
7 萩原哲 捕手 創価大
育1 岡本大翔 内野手 米子東高
育2 喜多隆介 捕手 京都先端科学大
育3 笠島 尚樹 投手 敦賀気比高
育4 木下幹也 投手 横浜高
育5 前田研輝 捕手 駒澤大
育6 坂本勇人 捕手 唐津商業高
育7 戸田懐生 投手 徳島インディゴソックス
育8 阿部剣友 投手 札幌大谷高
育9 奈良木陸 投手 筑波大
育10 山崎友輔 投手 福山大
育11 保科広一 外野手 創価大
育12 加藤廉 内野手 東海大学海洋学部

本指名7名、育成指名12名の合計19名・・・多い!こんなに新人が1度に入ってジャイアンツ寮の生活が上手くいくのか?という不安もありますが、この人数になった理由を自分なりに分析しました。

育成指名12名の理由は

①タイミング。ちょうど2016、2017の由伸時代のドラフトで多くに指名していた育成選手が自由契約になるタイミングで、実際に10名の育成選手が退団しています。また2018、2019年の原巨人でのドラフトは育成の指名があわせて6名と少なかった。このため、入退団のバランスをとっての大量指名となったということがあります。

②ソフトバンクホークスの強さ。去年の日本シリーズでの完膚なきまで敗北したことは、巨人の中(原監督というより球団幹部たち)でも衝撃だったのでしょう。そこで「ソフトバンクホークスのように育成ドラフトをもっと活用しよう」と本格的に見習う姿勢を出したと考えられます。15年の由伸巨人、19年の原巨人のどちらとも20年からの巨人は違うように感じるのはそういうことではないでしょうか。

③阿部巨人に向けて。阿部慎之助二軍監督も気持ちは同じです。また彼も二軍監督としてチームを率いて、またアマチュアとの交流試合で育成選手を使って完敗し「プロとして失礼」と発言していました。これまでの育成選手はプロ本指名>一流大学・社会人>育成選手・独立リーグとした位置付けにいたように思います。これを今巨人は変えようとしているのではないでしょうか。

育成選手たちの未来像、支配下までの道のり

指名された12名の育成選手は一律スタートラインで並んでいるのかというとそうではありません。投手6名(高校生3名、大学生2名、独立リーガー1名)、捕手3名(高校生1名、大学生2名)、内野手2名(高校生1名、大学生1名)、外野手1名(大学生)にそれぞれ支配下までの期待された役割があります。ポジションごとに見ていきましょう

①投手・・・高校生はジャイアンツメソッドでの育成、その他は中継ぎ投手として即戦力になれば支配下へ。

近年のジャイアンツは高卒投手の育成が順調です。2018年に指名された7位戸郷は1年目にデビューしすでに先発ローテの中心選手ですし、同期の3位直江、4位横川も2年目に二軍の先発ローテーションとして登板、一軍でも可能性を感じる投球を見せました。さらに育成指名の沼田も2年目のオープン戦で支配下登録です。球団としてもこれら高卒投手の育成方法にはかなり自信をもっているでしょう。2020年に指名された高校生は育成指名の笠島、木下、阿部の3名。彼らも1年目は身体作りと三軍での登板、2年目に課題を克服しながら二軍で結果を残し、3年目で支配下登録と一軍デビューという言わばジャイアンツメソッドでの成長を目指すことになります。一方で大学生の山崎友、奈良木、独立リーガーの戸田は高校生と違い期待されているのは中継ぎ投手としての役割です。とにかく長所を伸ばし一軍戦力として通用すると認められれば1年目からの支配下登録も十分あるでしょう。

②捕手・・・三軍の試合要員として。現有選手との兼ね合いも

これまでジャイアンツで捕手での育成から支配下登録を受けたのは河野と田中貴の2名がいます。捕手というのはなかなか育ちにくいポジション。現在ベテランの炭谷小林、主力の大城、若手の岸田、育成中の山瀬と役割が決まっています。本指名の萩原とあわせて今回の3名がどう割って入っていくかとなりますが、これらの捕手陣になにかあればグッと支配下の可能性が上がるでしょう。

小林、育成捕手の広畑小山の去就も分からないもありますが・・・一軍3名二軍3名三軍3名とハッキリと分けられやすいポジションなのでまずは比較的指名順位の高い喜多が二軍の正捕手を山瀬、萩原と争えるパフォーマンスを出せるか?前田と坂本は打力を期待されての入団ですので捕手としての経験を積みつつプロのバッターとして成長を3年間で見せれば支配下のチャンスもあるでしょうか。ただ投手と比べるとチャンスは少なく、3名のうち1名がなるかなれないかといったところだと思います。

③野手・・・高校生の岡本は準支配下扱いか、11位保科は即戦力も

3名の野手ですが支配下のチャンスはあります。なぜなら今の二軍三軍の野手は阿部慎之助二軍監督から「アマチュアに失礼」と言われたメンバーから大きくは変更されていません。多くが高卒1年2年の選手で、彼らを超えることができれば二軍出場、支配下のチャンスがあります。本指名の3位中山、5位秋広が強化指定選手として打席を与えられることは決まっているでしょうが、育成1位の岡本にも入団経緯からそれなりの機会は与えられるはずです。あとは彼ら次第でしょうか。12位の加藤はちょっと難しいとは思いますが、いずれにせよプロ入りしてどこを伸ばすかでしょう。

競技こそ違いますが今年優勝したNBAのレイカーズでGリーグから契約を勝ち取ったアレックスカルーソはGリーグの選手がNBAで活躍するためには「求められている役割を理解すること」が重要であり、多くの選手がトイレ掃除の清掃員としての求人に管理職を希望していると面談で話すようなものと言っています。

書いたように高校生か大学生か投手か野手かで求められているものは多少異なりますが、本指名ではなく育成での指名となったからにはそのことをしっかり理解して成長できることを期待しています。

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