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【ネタバレ】信じてきたすべてを、捨てられるか?【エターナルズ評】

 天下を取ったマーベルの新作、『エターナルズ』を観た。

 もはや何が何だかわからなくなっている、昨今のマーベルであるが、いつからかその世界観がMCUと呼ばれ、共通の世界でヒーローが大暴れするようになった。

 僕の人生初MCUは、『インクレディブル・ハルク』

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 別に面白くなくはなかったけど、当時の僕はスパイダーマンに夢中だったし、同じインクレディブルでも、『Mr.インクレディブル』の方が好きだったので、あまり刺さらなかったのを覚えている。

 しかしその後、その世界観の奥深さと面白さに気づき、映画館で『アベンジャーズ』を鑑賞するに至るというわけである。

 そんなMCUも、今作でついに26作目(ドラマは除外)になり、その世界観はグッと広がった。かなり面白くなってきたぞ!

 ただ、正直、僕個人の意見としては、最近のマーベルにあまりついていけていない部分があった。ディズニープラスで配信されたドラマたちも、普通に面白かったけど、やっぱり見続けなきゃいけないのがしんどかったし、それほど入り込めなかった。

 映画単体で見ても、映画史に残る傑作、『エンドゲーム』以後の作品は、正直あまりピンとこなかった。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、今振り返れば割とよかったけど、それ以後の『ブラック・ウィドウ』と『シャン・チー』は1回しか見ていないし、もう興味もない

 MCU追い続けるのしんどいな~となっていた今日この頃、ついに僕の胸に刺さる作品が放たれたのである。その名も、『エターナルズ』

 『エターナルズ』は久しぶりの、アベンジャーズとは一切関係がない(今のところは)ヒーローチームものである。ていうか、アベンジャーズ絡みじゃないMCUって本当に久しぶりなんじゃないか?最初はアベンジャーズと絡みがなかった映画って、2014年の『ガーディアンズ~』以来かもしれないな。

 そんなMCU界の異端児こと、『エターナルズ』を観た感想をここで述べていこうと思う。では最初に僕の感想の基本的なスタンスから。

 アイデア・脚本、いい!


 キャラクター描写、割といい!


 本編、もうちょい短くしろ!


 アクション、勉強してこい!!!


 こんな感じです。では、レッツゴー!



 (以下、ネタバレ含みます!!!)



1.共通の神を、信じる者、信じない者という構図が新しい


 今回のエターナルズ、僕が一番グッときたポイントはコレです。

 やっぱり『インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』を経験した後の我々MCUファンは、今後の展開をサノスと一切関連付けずに考えることなど、できるわけがありません

 サノスの指パッチンは、MCU内の社会の構造を完全に変えてしまいました。冷静に考えたら、世の中の半分の人が突然消えたら、家族とか友人みたいなミクロなレベルから、法律とか税の仕組みとかマクロなレベルまで、すべてが変わってしまうよね、、、しかも5年後に帰ってくることなんて知る由もないわけだから。

 でも、僕がいつも疑問視していたのは、そのサノスの指パッチンを喜ぶような連中が描かれなかったこと。彼の行ったことはたしかに残酷だけど、増えすぎた人口を減らすことで、宇宙の均衡を保つという目的は、なんとか言いたいことはわかるレベルの議論ではあるはず。やり方はおかしいけどね。

 つまり、ジェノサイド(大虐殺)を行ったテロリストを信奉する者が、『エンドゲーム』などでは一切描かれていないことが疑問だった。だって、現実には、イスラム過激派のビンラディンとか、オウム真理教の麻原彰晃みたいなテロリストを狂信する人たちがいるわけだから。サノスのことを妄信する人たちがいてもいいと思うのよ。


 では、この前提をもとに、なぜ『エターナルズ』はすごいのか。


それは、サノスのような絶対的な存在を、仲間を裏切ってまで最後まで信奉する存在がいたということだと思います。


 エターナルズは、セレスティアルズという完璧な存在によって地球に派遣され、サノスのような神的存在である、アリシェムという人物によって思いのままに操られていた"道具"だったにもかかわらず、彼らの真の野望を知り、彼らを裏切る決断をした者が増え始めた。ここまでは今までのMCUでもありました。『シビル・ウォー』では、アイアンマンorキャプテン・アメリカみたいな構図があったし。ただ、この場合には絶対的な存在というものがいなかった。

 しかし、エターナルズの中で内部分裂が起こる。それはセレスティアルズを裏切る決断をした者たちと、その信仰心を捨てないと決めた者たち。それは使命感から、正しいと思ったから、などの理由が語られるが、そのような絶対的な存在が掲げる計画に対して是非を問うというのは、個人的に新しかったなと思った。だってサノスの計画に対して、アベンジャーズは是非を問うていなかったしね。サノスの手下は彼の家来でしかなかったし(エターナルズとは違って、神に作られた存在ではないということ。サノスの手下はあくまで仕事の補助をしてるだけに見える)、アベンジャーズは有無を言わずに殺しに行ったし


2.アクションシーンがもったいない、、、


 本作のテーマとか世界観とかはよかった、、、

 ただ、アクションが弱い、、、

 例えば、足が鬼のように速い、マッカリ

 彼女がイカリスにブチギレてボコボコにするシーンは、アベンジャーズの某足速銀髪ニキと、X-MENの某おちゃらけ足速銀髪ニキと、他社の某ヒーローチームの赤いスーツの足速ニキのアクションシーンを足して割った感じにしか見えなかった。つまり、新鮮味がなかったんだよね。

 あと、当のイカリスのアクションシーンも、彼の能力が目からビーム飛ぶっていうのしかないからか、ワンパターンの描き方しかできてなかった。

 ほかにも、スプライトね。あいつ何してたっけ??


 こんな感じで、アクションシーンは割と退屈

 特にハイライト的なシーンもないし。ヒーロー映画のくせに戦ってるシーンもそもそも少ないしね。

 そこは残念でした。


3.多様性描写がナチュラルでいい!


 昨今の映画でよくある多様性描写

 ゲイが出てきたり、アジア人が"普通の人間"として出てきたり、黒人差別を告発するような描写があったりと、映画の世界から変えていこう、というムードが漂っている。

 MCUも、多様性描写に力を入れているディズニーの傘下に入ってからはそういうのがすごく増えた。でも、『エンドゲーム』の最終決戦中盤の、女性ヒーローチーム終結は、やりすぎだって叩かれたりしてたけどね。まぁ俺もあれは「露骨だな~」とは思ったけど。

 『エターナルズ』もその例に漏れず、多様性描写が多かった。

 そもそもチームのメンバーの多様性が過ぎる。

 白人もいれば黒人もいて、アジア人(インド系・韓国系)もいる。ゲイカップルもいれば、ノンバイナリー(性別未特定)っぽい人もいれば、聴覚障がい者もいる。これだけの多様性がありながらも、アベンジャーズよりもファミリーとしての自覚があるところがすごくよかった。

 それで、彼らの描写があまりに自然で、まったく違和感を感じなかった。『エンドゲーム』の女性ヒーロー終結シーンみたいな露骨さもなければ、マイノリティであることを強調するようないやらしさもない。あくまで、自然体で、ただそこに存在しているっていうのが心地よかったな~と思う。



 そんな感じの『エターナルズ評』でした。どうですか??

 イカロスを筆頭にした、アリシェムという神を信仰する陣営と、メカニックのファストスが作る自作の武器・道具を手に、その計画を阻止しようとする陣営の戦い、言うならば、「宗教 VS 科学」という構図が、宗教の存在意義と、科学との関係性が問われがちな、現代にあったテーマなんじゃないかなと思います

 それに加え、さっきも言ったけど、自然なマイノリティ描写といい、本当に今、観られるべき作品なんじゃないかな、と思いました。


 まだ間に合うぞ!!!

 おすすめです!!!


 また明日!

小金持ちの皆さん!恵んで恵んで!