あるカナダ企業のセブンアイHDの買収提案

セブン&アイHDは、どの方向に進むべきか?

2024年8月、カナダのある企業がセブンアイHD(セブンイレブンの親会社)を買収したいと提案したというニュースが話題になった。そしてセブンアイHD側もその事実を認めた。これが大きな注目を集めている。

買収提案をしたあるカナダ企業とは?

「クシュタール(Couche-Tard)」という企業。西洋の流通業界では「買収王」として知られいる。もし買収が成功すれば、世界最大のコンビニエンスストアグループが誕生することになる。現在、クシュタールはすでに世界中で1万店舗を展開しており、もしセブンアイHDを加えることができれば、アメリカ国内で圧倒的なトップシェアを獲得すると見られている。

クシュタールは「セブンアイHDの株価は過小評価されている」との見解から買収を進めており、セブン&アイのPBR(株価純資産倍率)が1.4倍と割安と評価した。さらに、セブンアイHDの株価は2007年以降ほぼ横ばいの状態が続いている点も指摘されている。

日経255とセブンアイHDの株価推移の比較

日本企業史上最大の52兆円規模の買収提案

クシュタールはセブンアイHDを52兆円(約400億ドル)で買収したいと提案した。この金額は、当時のセブン&アイ株価に40%のプレミアムを上乗せした水準だ。参考までに、以前東芝が買収された際の金額は20兆円程度だったので、その2倍以上の金額となる。

セブンアイHDの反応

セブンアイHD側は「この買収提案は株主にとって最善の利益にはならない」として提案を拒否した。そして「独自のコーポレーションガバナンス強化を通じて株主価値を高める」と述べ、独立経営を続ける姿勢を貫いている。

ただ、株主の間では意見が分かれている。株価と経営はこの10年間低迷している。外国人株主(36%)の間では「企業構造と経営を変えろ」という声が高まっている。

セブンアイHDのホームページから抜粋

日本政府の動向

日本政府はこれまで、海外企業によるM&Aを強く阻止してきた。ほとんどの買収の試みは非公式に阻止され、取締役会で議論すらされないことが多かった。

しかし2021年からコーポレートガバナンス強化を強調しており、2023年には株主のための公正で透明なM&Aガイドラインを発表している状況。

それでもセブンアイHDが政府に「自社株10%以上の買収時に事前審査」を要請し、買収を阻止しようとしているというニュースが出た。これが外国人株主からは日本政府の「コーポレーションガバナンス強化」という方針と矛盾するという批判もある。

結論は?

セブンアイHDがクシュタールに渡る場合、世界最大のコンビニエンスストアグループが誕生する可能性がある。しかし、この件を巡っては、日本政府、セブンアイHDの経営陣、そして外国人株主の間で意見が分かれており、今後の動向に注目が集まっている。

※買収提案時期(2024年8月ごろ)のセブンアイHDのPBR、PER、ROEについて

買収提案時期(2024年8月ごろ)のセブンアイHDのPBR、PER、ROE

最後までお読みいただき、ありがとうございます!
みなさんのご意見をぜひお聞かせください。コメント欄でお気軽にご意見や感想をお寄せくださいね。

それでは、また次の記事でお会いしましょう!🎵

いいなと思ったら応援しよう!