【ネタバレあり】時間は存在しない カルロ•ロヴェッリ
量子力学の世界を詩的にわかりやすく書いた一般的な本は珍しい。
少し物理の知識は必要ですが、それでもネットで言葉の意味を検索しながら読んでもらいたい本。
ちなみに数式は一つしか出てきません。
2020年現在、量子力学の世界を分かりやすく説明している本が世の中に溢れていますが、興味を持つ最初の本でも良いくらいの良本だと思います。
1.時間とは何か?
時間の正体が「熱力学の第二法則:エントロピーは増大する」であるが本書の結論(に近い部分)です。
量子力学のミクロの世界においては時間の概念が消失して、過去も未来も行き来しても不自然では無いのですが、熱力学のマクロな世界においてはエントロピーの増大により時間は過去から未来に流れていきます。
(2017年に量子力学から熱力学第二法則の証明の研究が東京大学から発表されました。誰かに内容を解説して欲しい...)
個人的には、本書の第11章でエントロピーが正体である説明の後に、エネルギーの説明でさらに府に落ちました。
エネルギー保存の法則があるので、ものを動かしているのはエネルギー(石油や太陽光など)ではなく、低いエントロピーである。
なぜ人は山登りをするのか?
言い換えると、なぜ人は山を登る事で、運動エネルギーを消費して位置エネルギーに換えて、また山を下る事で位置エネルギーを運動エネルギーに変換するのか?(雑な表現はご容赦ください)
それは、自分のエネルギーを低いエントロピーから高いエントロピーの状態にする事で熱平衡状態へと持っていく宇宙全体の流れに沿った動きだからとなります。
2. 時間の存在
「過去と未来が違うのは、ひとえにこの世界を見ているわたしたち自身の視界が曖昧だからである。」これが冒頭に書かれていて、その後エントロピーの説明がされたうえで、
第3部の最も詩的な部分に、私たちの今は今しかない事が書かれています。
過去は記憶の中にしかないし、未来は未来の観測した状態によって決められるので、ほぼ予想は不可能です。
時間の存在はこの過去と現在の二つの物理的な状態を比較した上で、流れていると感じる主観となります。
3. 今を生きる
ここは本書を読んで思った事なのですが、
「今を生きる」
は物理的に自然な考えだと言えます。
堀江貴文氏が繰り返しインフルエンスしていますが、
•未来の事を不安視して行動しないより
•とりあえず今行動することで、
•自分で将来を決める観測条件を整えて、
•未来の方向性を創っていく
が幸せな人生になりそうです。