孤塁を守る

最近、こんな表現を見ることは無くなりましたが、意味を調べてみてください。なかなか、イメージが強く焼き付いて離れないような解釈が表示されます。(私自身が少し古風なのかしらん?)

大田区・蒲田、京急蒲田駅に向かう「あすと」というちょっと意味不明のアーケード商店街が有ります。その中に、「〇〇屋」という本当の町の定食屋然とした食堂が有ります。

その店は、蒲田全体を見回しても、恐らく一番安値で美味しい食事を提供してくれている店です。その店がついに値上げに踏み切りました。正直、いつ値上げするのだろうと思ったくらい、他が値上げしても、孤塁を守っていたのです。

と言っても、もともとが安かったので、今回平均100円の値上げでしたが、まだまだ、安値感は有ります。
そして、値上げして10日近く経ちますが、客足は全く衰えていません。

そりゃあそうです、700円台の価格帯がメインなんですから。
あの「美味しいご飯をおかずにご飯を食べる」と、キャッチコピーを出した定食チェーンは、ここのところじりじりと一品ごとに価格を上げてきて、もはや安さは全く感じない店になってしまっています。

それに伍して、依然、価格を抑えた感が強いこの店は、これからも数年はこの価格でやっていくのだろうと思います。
店の運営は、料理番(ご主人?)・ホール・洗い方と盛り付け・副菜準備と会計の4人で切り盛りしています。
(たまに、チョット毛色の変わった太めのおばさんが混じっていますが、)基本、変わらないスタイルを守っています。

このような雑談なしの職場で、しかも、家族的雰囲気を醸しても良いようなスタッフ構成なのですが、注文を受けて、料理をして、会計をして、下げ物をして、机を拭いてと、本当に機械的に時が過ぎていく店も珍しいと思います。

ここでの出色の存在は、言うまでもなくご主人です。30種類以上あるメニューを、いとも簡単に注文を受けてから本当にさっさっさ~と作ってしまうのです。当然のことながら、焼き物と揚げ物と煮物は、同時進行です。
そして、もうすぐ「何と何と何と…がでます。」と声をかけると、配膳の副菜やごはんとみそ汁をお盆に並べていく男性。

ほぼ無言に近い空間でありながら、連携がきちんととれているのに、感心してしまいます。もっとも、こんなことに気づかなければ、別に何ということの無い空間なんでしょうが。

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