鐘突きの極意
大みそかから松の内は神社仏閣に初詣という方がたくさん。そして、神社と言えば、鐘楼=鐘が有ります。
除夜の鐘を五月蠅い(ウルサイ)という少しばかり非常識な方がいるようですが、そのことは、ま、無視して、初詣で鐘を鳴らせる神社仏閣は意外に多いのですが、では、その鐘を上手く鳴らせるかと言えば、実はそうは多くはいないんです。
大概の方は、力一杯目一杯の力を込めて鐘突き棒を鐘に叩きつけるようにして、打ち鳴らしますが、残念ながら、この突き方ではその鐘の良い音を引き出せないことをご存知ないようです。
この時の音は、クワーーーーーーンと甲高いものになります。
さて、叩き方を伝授する前に鐘楼のミニ知識を一つ。
鐘楼は一般的に鐘突き堂などと呼ばれることが多いのですが、この鐘のことを「梵鐘=ボンショウ」と言います。そして、鐘突き棒は「撞木」と言います。
この「撞木=シュモク」に使われるのがどんな木かと言えば、それは「棕櫚=シュロ」の木が圧倒的に多いんですね。其れなので、御寺の境内には、棕櫚の木が植えられていて、次の撞木用になるとのことです。かなり硬い木ですが、鐘を突くにはちょうど良いのだそうです。
シュモクザメの頭の部分が撞木に似ているので、この名前があるんだそうです。
ついでながら、御寺の境内のはずれの方に、木肌がつるっつるの木がよく植えられています。(主に、関西以南)この木は、あの「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の次に出てくる「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す」の「沙羅双樹」の木なんです。
この木の花は真っ赤で一斉に咲いて見事ではありますが、一斉に落ちてしまうので、「縁起が良くないのでお寺の境内に植えられていることが多い」と、京都・大仙院の住職から、高校の修学旅行の際に聞いたことが有ります。
さて、本題に戻って、上手な鐘の突き方をお話しします。
撞木に結んである紐をしっかり持ちます。かるく後ろに引て、一度鐘に当てるイメージを持ちながら撞木を鐘に近づけます。
そのまま、紐を後ろに引っ張って、撞木を鐘の打点に突き当てますが、目一杯の力を8割ぐらいにセーブして、撞木が鐘に当たる瞬間、気持ち力を抜くようにふわっとした感覚と共に、撞木が鐘の打点に当たります。すると、きつい音は出ずに、やや柔らかさを感じるような音が鳴り響きます。この時、鐘は最大音量で歌います。その後、音は減衰していきますが、キレイな長~い余韻を味わうことが出来ます。
ボホワァ~~~~ンンンンン