見出し画像

関係者の話を仄聞

題名からして、ナニソレと突っ込まれそうな話題ですが、話そのものはすでに時効モノです。ただ、その性質上、あくまで匿名で話を続けます。

マイクロフォンという器材は、大事に使えば長~く使えますし、雑に扱えばたちまちにして壊れます。

一般消費者向けのマイクロフォンは、ぼちぼちと売れる商品ですが、プロ向けは大規模施設になると、100本単位1000本単位での商談となります。当然価格が絡んできますが、それ以外にもさまざまな要求仕様がメーカーには出されます。

タッチノイズ・堅牢性・指向特性・感度などなど、およそ素人の知識外の部分でも丁々発止のやり取りが繰り広げられます。

そして、要求が固まった後、対応する製品が使用者に供給され、実践でロードテストを行うわけです。

或る年の暮れも押し迫った或る大型番組を、見に行った知人がいました。
その知人は、翌朝私を見つけると、凄い勢いで話し始めました。

「昨日の××番組、見た?Z社がやっちゃったの。番組で放送として流された部分はうまく誤魔化されていたけど、会場では放送事故にもなり得るような事態だったのよ。マイクの音が出なくなったのよ、これってこのメーカーにとっては死活問題で、………」

聞けば、新製品のロードテストを実番組で行っていたとのこと。
ロードテストはいわばその製品の性能評価の最終試験な訳です。そこで、やっちゃったのですから、受注競争から敗退することになります。
機器の安定性が不足していると烙印を押されたら、少なくともそのメーカーの翌年の入札は、その機器(システム)ではでき無くなってしまいます。

評価試験ですから、当然ながらライバル社の製品も同じ条件で使用されていましたから、彼我の状況は極めて悪いと言わざるを得ません。
一般に、P社・S社・V社などが毎年この評価試験に新製品を出し、お墨付きを貰って初めて次年度分の入札の席に着くことができるのです。

知人によると、この年の本入札はP社になったとのことでした。

いいなと思ったら応援しよう!