見出し画像

小さい人間

落語研究会に入っている友人の話は、普段の話し方からして落語家っぽいところが有ります。話が上手いだけでないその話し方の雰囲気で、20人30人くらいの前でなら、十分楽しませるくらいの実力は供えています。でも、これが100人の前となると、意外や委縮して実力が全く出せない人ってかなりの割合でいますね。

ジャンベというアフリカ・ギニアやセネガルの伝統的なドラムが有ります。
日本ではなじみが薄くて、小さなサークルが細々と活動している時期に、縁あって仲間に入らせてもらったことが有ります。

最初はとても親切に教えてくれる人がいて、「これなら、気持ちよく習えそうだ。」事実、半年間ぐらいはその人のとの良好な関係が続きました。ところが、参加者の技量も少しづつ上がってきたので、一人ずつワンフレーズずつ叩いてみようという時になったら、その方は極端な上がり症なのか、先生が来る前の練習の時には、率先して皆に教えているフレーズでも、まったく叩けないことが有りました。

その時、まだ初心者のとば口にいた私が、なんとなく叩けしまったのです。そしたら、今までの良好な関係はどこへやら、そのあとは口もきかなくなってしまったのです。なんて、狭量なんでしょうと思ったときに、先の落語研究会の件を思い出したのです。

自分の技量よりも劣っていると、親切心丸出しになる人は、実は自分の優越性を誇示したかっただけなんだと気付きました。
つまり、小さい人間だったのです。

これに似たようなことは、権威大好き人間にも当てはまります。
話の随所に、自分の知人を登場させ、その知人がどんなに素晴らしい経歴を持っているかをひけらかし、自分はそのことにいたく感銘していると言い続けます。でもこれは、本人が実力を持ってないということを、口にしているにすぎないのに、「俺ってすごいだろ!」ということを言いたいのです。

確固とした能力を持っているならば、ことさら能力をひけらかすことなく、日頃の行動を目にしていれば、その人が高い能力を持っていることぐらいは、誰でも見抜けます。
それを声高に口にする人は、つまりは他人のバリューを自分のものと勘違いしてることに気が付かないのです。

こうした人間と関わってしまったら、どんな付き合い方をしたらよいと思いますか。一つは徹底的にお追従を並べ立てて、気分良くさせてあげましょう。もうひとつは、他人の話になりそうだったら、「あっ、その人ってすごいんですよね。」と先手を打ってしまいましょう。

あっ、これって、凄いイヤミですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?