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シンチレーション

カタカナだとイメージが湧きませんが、「星の瞬き」のことと説明すれば「あぁ!」と分かってもらえます。
星は一定の輝きではなく、細かく揺らめきのような光を放っています。

でも、これは地上で見るからこう見えるのです。
地球の大気は、気温が微妙に変化しており、細かな空気の動きも有ります。
結果として、その揺らぎの中を通ってくる星の光は揺らいでしまうことになります。

でも、観察眼のするどい人になると、「地平線に近い星ほど揺らぎが大きいように見えるんですけど?」そう、その通りなんです。
どうしてかと言えば、下の図を見て貰えばすぐに理解できます。


天頂に近くなればなるほど、星からの光は通過する大気の厚みが薄くなっているのがお判りでしょう。
これが、星の瞬きの多い少ないを決めているのですね。

この星の揺らぎは、人々の生活から排出される熱に起因していますから、山里の奥深い地域では、そう言いた外乱を起こす要因がぐんと減ります。
ですから、たとえば高尾山の頂上のように、人口密度が低くても、周囲の町は多くの人々が生活していますから、揺らぎは避けて見ようがありません。

これが、八ヶ岳の麓のような生産活動や生活活動が極端に少ない地域では、排熱の量が非常に少ないですから、星は瞬きが非常に少なくなります。
こういった要因のために、天文台は人里離れた場所に設置されているのです。

ただ、これは光による観測の場合ですので、大気の揺らぎに影響を受けない電波望遠鏡は田舎である必要がない?いいえ、都市部は盛大な電磁波の発信源を数多く存在しますので、やはり、人里離れた場所でないと、観測には適さないということになります。

つくばエクスプレスが、単一の路線なのに直流区間と交流区間を持つという、一見不経済な設備を持っているんのは、地磁気の研究機関のそばを通っているからなんです。
茨城県石岡市柿岡にある気象庁地磁気観測所での地磁気観測への影響を避けるための措置です。後から鉄道を作るときには、こういったことを十分に調査してからでないといけないという、数々の制約が発生してくるのです。
(閑話休題)

星の瞬きは、その現象そのものはロマンチックな舞台装置としては地味ではありますが、バイプレイヤーとしての恋人同士の想いを引き上げてくるものでもあります。
そんな気持ちで、夜空を見上げてみてください。

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