京王線17人殺傷事件、摂津市三歳児虐待殺人事件、小田急線10人殺傷事件。その根底にあるもの。

「ケーキの切れない非行少年たち」

この本の中でも語られている通り、一般的にIQが70未満だと知的障害とされるそうですが、IQ70~85(全体の約16%)程度の人たち(境界知能)は、「普通」の中に入れられるものの、勉強や人間関係、社会への適応に非常に困難を感じることが多いそうです。そして非行少年たちはそういった知的、認知的問題を抱えていることが多く、社会的サポートを必要としていると指摘されています。

IQとはなんなのか

おそらく多くの人は自分の知能指数がいくつなのか分からないまま生活していると思うし、知る必要も特にはないと思うのですが、要は「理解力」「分析力」「判断力」「的確性」「集中力」「記憶力」などの能力を、設問を解くことにより数値化しているというものです。

IQが高ければ効率よく勉強できますが、勉強そのものは学習により知識を増やす行為であり、また試験を受けるなどの行為が必要な為、必ずしもIQと学歴は一致しません。

IQ125以上の三歳児もいますし、お医者さんはIQ100~110程度が多いと言われています。

IQの高い人は脳のスペックがいいということ。学歴が高い人は勉強を頑張った(或は家庭のサポートに恵まれていた)ということです。

IQの中央値は100前後にあり、圧倒的大多数がそのあたりに位置します。そしてIQは20離れていると会話が成り立たないとも言われており、低IQも高IQも中央値とはコミュニケーションに困難を感じやすく、社会への適応しにくさを感じます。

社会に適応するということ

タイトルにある「根底にあるもの」とは、「社会への適応能力の無さ」と「知能指数の低さ」だと思います。この二つが伴ったときに、法的逸脱行為へと加速する危険性が高まる。

実際に数値を測ってみないことには分かりませんが、多くの場合犯人はおそらくはIQ100以下である可能性が高いと思います。堅実性があり家庭環境が良く勉強を努力し適切な進学が出来たとして、良くて偏差値55くらいが目安になるかと思います。

非行少年のように子供のうちにすでに法的逸脱行為が始まるのは、家庭崩壊や親からの虐待、ネグレクト、学校に馴染めない、勉強で落ちこぼれる、虐めに合うなどの困難に遭遇していると思いますし、大人になってから自暴自棄になり大きな犯罪行為に手を染めるのも、仕事が出来ない、社会に馴染めない、恋人とうまくいかないなどの挫折が根底にあります。子供を虐待し逮捕される親たちも、生活保護を受けているなど社会に適応できていない人たちが多いように思います。

虐待が負の連鎖をすると言われがちですが、私は虐待育ちであり社会への適応能力はゼロですが(笑)、虐待の連鎖はしていません。実際に臨床データで見ても、虐待を受けて育った子供が大人になり子を虐待する側に回るというのは1/3くらいの確立のようです。

ちなみに私は母親からの教育ネグレクトにより学歴はありませんが高IQです。

虐待を受けた経験により、集団生活への適応困難(自律神経失調症、頭痛、めまい、胃痛、嘔吐などの体調不良)と、コミュニケーション嫌悪や拒否、徒労感などを抱えていますが、学習と自己規制能力、感情のコントロールなどが長けていると、法的逸脱行為や暴力性というものは発露しにくいのではないかと思います。

「バカの壁」の高い壁

私はヤフーニュースサイトでヤフコメをよく書き込むのですが、返信欄には色々な人が書き込んできます。中には完全に文脈が読めていない人や、意味が理解出来ていない人、噛み合っていない人の書き込みもあります。

大抵の場合相手は私を馬鹿だと思って攻撃してきますが、流行語にもなった「バカの壁」にもある通り、そもそも脳のスペックが低い人は「理解力」「分析力」「判断力」「的確性」「柔軟性」などが乏しいので、自分の知らないことを学んで理解するということが困難であり、理解するまでに非常に時間がかかります。

ヤフコメ内での体感として「話せば分かる」はある一定以上のレベルではないとほとんど無理です。しかし理解する者の人数が増えていくと「みんながそういうからそうなんだろう」というレベルでの「鵜呑み」が発生して、大多数の意見に移っていくことがあります。

眞子さまへの集団リンチに関しても、ヤフコメ内で公益性や公平性、報道理念や法的、人権的見解について問う声を上げたことにより、話が通じるレベルの人たちは多く認識が改まったように感じますが、問題なのは「話が通じるレベルじゃない人たち」です。彼らにとって正しいのは理解できない難しい理論ではありません。押される「そう思う」の数こそが彼らの正義です。「これだけの数がそう思うを押しているのだから自分たちは正しい」という彼らの歪んだ認知能力を正す方法があればぜひ教えてほしいものですが、おそらくそれが難しいから世の中には刑罰があるのでしょうね。

相手が馬鹿だと本来伝達可能であるはずの情報が伝達不能になる。

この高い高い「バカの壁」は、高IQにとっての中央値以下へ感じる高い壁ですし、中央値以上の人たちが低IQの人たちに対して感じる高い壁でもあります。

困難やストレスは逸脱行為に走りやすくなる

様々な犯罪や逸脱行為の背景を探りたがる人たちは多いらしく、その原因を是が非でも「育て方」のせいにしようとする人たちが沢山いますが、私自身虐待育ちで最悪の育てられ方をしていますが、42年間とくに人に危害を加えることもなく、逮捕されたこともなく、何事もない無難な人生を送っております。虐待を受けていた当時は自殺を何度も試みており、希死念慮も強いですが。

犯罪者が生まれることを「親のせい」「育て方のせい」で処理するのは正確とは言えません。別に虐待受けてなくても糞人間は糞ですし。

シンプルに法則性を求めるとしたら

①家庭崩壊、虐待、ネグレクト、学校や職場での虐め、挫折経験などの強いストレス

②それを忘れさせてくれるほどの強烈なドーパミン分泌を得られる行為(痴漢、盗撮、ペドフィリア、性犯罪、性行為、スリル、万引き、ギャンブル、薬物、アルコール、ネットでの誹謗中傷、脅迫、虐待やDV・虐めなどの暴力行為、モラハラ等)を行うようになる

ということであり、そこで知的能力や自己抑制機能が高く感情のコントロールが出来る人の場合、理解や分析、思考による創意工夫などで適切かつ健全なストレスコーピングが可能な一方、そうした知的能力に支障があると、困難がそのまま法的逸脱行為へと繋がりやすくなる。

またどのような行為でドーパミン分泌が強くなされるのかという遺伝子的な傾向が暴力性だった場合、殺人や虐待などの重大な犯罪を犯すことにつながる可能性が高まる。

犯罪をどう防ぐのか

・知能指数が低め

・家庭や学校・職場での困難

・ドーパミン分泌による快楽でのストレス発散

の三つが揃った時、人は犯罪行為に走りやすくなるのではないかと思います。その為

・知能指数が低めの子供たちに適切なサポートを行う

・家庭、学校、職場でのコンプライアンスやモラルを高め、虐めを防いだり、助けたりできるネットワーク作りや、困難から挫折した人たちが社会に復帰しやすくなるシステム作り

・ペドフィリアや痴漢、盗撮、未成年買春などに関しては、ポルノの規制によりそういった情報や行為でドーパミン分泌が起こる機会を体験させないよう社会でモラルを高める

・攻撃、暴力、薬物使用を含むあらゆる過剰なドーパミン分泌の危険性。その行為そのもののリスク、及び脳のダメージによる抑制機能の低下やリスク回避能力の低下、鬱や統合失調症の発症率が高まり、また、鬱や統合失調症は認知症の発症リスクを高めることなど、知識の共有と適切なストレスコーピングを学ぶこと

など複合的な社会での取り組みが、犯罪を防ぐことにつながるのではないかと思います。

一朝一夕にどうにかなる問題ではありませんが、一つ一つの積み重ねが改善につながっていくと思います。

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