牌譜添削②雀豪3さん

さて、今日も牌譜添削行ってみます。
今回の依頼主さんは玉の間900戦弱打って、雀豪3。まずは雀聖になるために何か示唆が出せればなと。頑張ります!

●成績概観

主さんの成績

着順傾向

1位から順に約24.4→27.9→24.4→23.4%。
安定段位も豪2.44。直近300戦は少し上向きですがそれでも雀聖には満たない。少しテコ入れが必要そうですね!

攻守バランス傾向

和了率20.88%、放銃率11.11%。
守備力は既に平均より優秀で申し分ないと思います。一方、攻撃面は少し物足りないでしょうか。打点も低いので打点効率は下位3割。守備型雀士でいくにしてもこの数値では厳しいので、攻撃面のテコ入れは必須になりそうです。
さらに、この守備力があるにしては、着順分布が良くない。ラス率はもう少し低い数値が残せていてもよいのにな?と感じるということは、おそらく点数状況判断も苦手なのではないだろうか。そんな仮説をもって検証してみました。

●主さんのスタイル

10個程度牌譜を見て、以下のスタイルに見えました。
・やはり守備型。基本安全第一で序盤からスリムな構えを躊躇わない。
・後手を引いた場合は中抜きでのベタオリを躊躇わず、あまり粘らない。

段位戦配分には適応しやすいスタイルだと個人的には思います。

ただ、やはり仮説通りのポイントが気になる事例がいくつかありました。
以下課題2点について、見直しをしてみてはいかがでしょうか。

●牌譜検証をして感じた課題

課題①スリムにして損をする局面を理解する

強者の中には、序盤からスリムにすることを否定する人もいます。しかし、多井プロのようにスリム派でも強い打ち手もいるのは紛れもない事実。私自身スリム寄りですし、主さんのスタイルには肯定的です。
ただし、「スリムにすることで明確に損する局面や牌姿」もあると考えます。具体的には「スリムにしなくても安全が確保されている時」や、「勝負手で待受ロスが大きすぎる時」ですね。主さんは特に後者のポイントで気になる事例が複数ありありました。

課題②点数状況に応じて手組や押し引きを変える

主さんはここが少し苦手かな?と感じました。特に序盤の切り出しにおいては、局の「テーマ」を決めておくことが重要になります。主さんにおいては、とりあえず点数状況を無視して手を進めてしまい、勝負時になってしまった時に遅ればせながら「うーん打点足りない…」等を悩んでしまっているのではないかな?と推測しています。

●事例集

①8/9 20:02の半荘南2局

打3pとしたところ

これは素直に南切が良いでしょう。自分の手は69mを引かない限り3対子の苦しい形。3pから横伸びで良形変化する可能性は貴重です。また、そもそも3pは対面に現物、親は発ポン後にチーをしていないので下家以外には安全度が高い牌です。
南切が良いと思いますが、どうしても安全牌が持ちたければまだ打8pの方が良いでしょう。この手、ペン7pを引いたとて…?という感じです。3p横伸びした時に78mを外していく流れで、うまくいけば下の三色なんかもわずかにあります。

②8/9 13:19の半荘東1局

打5mとしたところ

これも少しスリムすぎに感じます。
こちらは親でドラドラの勝負手。しかしペン3pのネックを抱えている状況なので、マンズの横伸びは貴重です。東の縦重なりも鳴ける手になって重要なので、2m切が良いでしょう。
上家のスピード感が気になるのはわかりますが、2mが通ってて早々に7mを切った後に手出しが二つ入っているので、5mはそこまで危険な牌ではありません。また、こちらがドラドラで役牌のポンならば、打点も3900以下の可能性が高いです。むしろ親リーチが来るのを怖がっているはずなので、こちらが弱気になっては思うつぼではないでしょうか。

➂8/9 13:19の半荘南3局

リーチドラ1聴牌を拒否して白を切り出し

点数状況判断の課題です。これは素直にリーチで良いでしょう。
ライバルとなる3着目の上家とは5800点差。ツモってもかわしてオーラスを迎えられない点が気になったのだろうと推測していますが、これはやりすぎです。
まずもって下家の2副露を見れば、もう迂回している時間はありません。ラス目からリーチが来れば下りてくれる可能性もあります。
また、そもそもこの手から白を切って逆転できる手になる可能性は「34種類ある牌の中から3sを引いた時だけ」です。迂回して作り直して下家より早くそれを上がりきるというシナリオは確率が低すぎます。それよりもよほどこの69sをツモって一発や裏ドラのおまけつきの確率の方が高いです。
仮におまけがつかなかったとしても、アガっておけばオーラスの逆転条件がかなり軽くなっていることも大きいです。3000点差以内に迫っておけば、親にベタオリを許さなくできます。2000点差以内に迫っておけば、脇のマンガンツモで親被り逆転します。このあたりも点数状況把握としてもう少し重視するとよいでしょう。
この局、実際回している間に下家が仕上がり、痛恨の放銃となりました。

④8/9 13:19の半荘南4局

初手、打白とするが

これは打1mがいいでしょう。
痛恨の放銃後、ラス回避にはマンガン直撃か跳満ツモ条件。配牌にドラがないので、意識しないと作れません。
メンタンピン自摸一盃口(+一発赤裏)コース、リーピン自摸一通(+一発赤裏)の他に、索子のメンホンのパターンがあります。その場合白がキー牌になることもわずかながらあり得ます。ただ、それより重要なのは「いずれのパターンにも1mは不要」という点です。序盤から局のテーマをしっかり考えた打牌が選べるようにしたいです。

⑤8/9 13:19の半荘南4局

打7sとしたところ

流局して同じ条件で迎えた一本場。ここは打2pがいいでしょう。
ここもおそらくドラを使っての跳満で頭がいっぱいだったのだと思いますが、456のタンピン三色という絶好の最終形を見落としています。おそらくこれは主さんもミスの自覚があるのではないかと推測していますが、こういうミスが起きるのも序盤に局のテーマと最終形の構想をする癖がついていないからだと思われます。

⑥8/9 9:04の半荘東1局

5s2pと切り出していくが

これは1mを落としてほぐしたいです。この例はスリム損課題とは少し違うかもしれませんが、主さんは5ブロックあったら早々にブロックを決め打ち、孤立牌のくっつきによる良形変化を軽視しがちな傾向があると思いました。ドラ3の勝負手ではあるが形は弱い3対子形で苦しい。よってなんとか良形を作ってアガり切りたい意識があれば、5sや連続形の2pが貴重に見えてくるのではないでしょうか。

⑦8/9 9:04の半荘東4局

初手打1sとするが

これは素直に字牌を切りたいです。
手牌にはドラも赤もなく守り気味でも悪くはなさそうに見えますが、重要なのは自分はラス目の親番であるという点です。この局面、相手は全員親リーチが嫌で仕方がない状況です。愚形でもリーチと発声すれば全員向かってきにくい状況であること理解し、ブロック数が足りないこの手ではしっかり横伸びのある数牌を残したいです。

⑧8/10 22:03の半荘南2局

8sプッシュが痛恨の放銃

ここはオリに回りたいところですね。
自分の手もドラ3で勝負手ではありますが、相手はラス目で自分はもう親なし。対面への放銃だけは絶対に避けなければいけない意識が欲しいところです。役はダブ南トイトイでマンガン以上、7s4枚飛びにも関わらず生牌の8sはS級危険牌です。かつ、自分の手はこのド終盤でまだイーシャンテン、そして聴牌時にはもう一枚危険牌を切り出さなければいけない構えであることを考慮すると、対面への放銃という最悪のシナリオになるリスクを冒す局面ではないと思います。

⑨8/10 22:03の半荘南4局

ここから打4mダマを選択

ラス目のオーラス、三着目までは5500点差。
4mと2sのどちらを切るか、そしてリーチかダマかの4つの選択肢がありますが、4m切りダマは最も劣ると思います。まず、ダマのままだと赤5sツモの奇跡でしか逆転ができません。手替わりを待つならば4mを残した方が優秀なくっつきです。思い切ってリーチをしてツモりに行くか、2sを切って手替わりを待つかのどれかになろうかと思います。個人的には2s切ダマがおすすめです。7mが通ったばかりなのでまさかの直撃ポロリもあり得ますし、7mをツモればあがれます。マンズが横に伸びれば8m引きのフリテンだろうが迷わずリーチ、ツモれば何でも逆転です。うまくメンタンピンツモドラ裏なんてことになれば、微差二着目で西入してトップまで見えますものね。

●まとめ

牌譜主さんの我慢強い守備寄りのスタイルからは、麻雀に対する熱意がすごく伝わってきました。上記2点課題が解決されてあと少しの勝負強さが磨かれれば雀聖昇段はすぐにでも達成可能だと思います。
牌譜添削という性質上どうしても少し偉そうな書きぶりになり申し訳ありませんが、牌譜主さんに少しでも良い気付きがあればうれしいなと思う次第であるとご容赦頂けますと幸いです。
主さんの雀力向上を心より応援申し上げます。

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