牌譜添削➂雀聖2さん
さて、今回の牌譜主さんは雀聖2さん。
添削のメインは~雀豪をターゲットとしていたものの、ありがたいことに雀聖さんからも何人かリクエストをいただきました。個人的には、雀豪→雀聖の間には超重要な大きい指摘があることが多い気がしていますが、雀聖と魂天の差は本当に紙一重で、かつ細かい部分の積み重ねになるので私の実力では添削難易度が高いため外させていただいていました。が、頂いたからには頑張ります。
●成績概観
着順傾向
安定段位は雀豪3.8。でも打数が多くおそらく上達していると思い直近500戦を見てみると…
既に魂天!!
昇天おめでとうございます。以上で牌譜添削を終了します。
…とも言っていられないので、頼って頂いたからには何かしら力になりたい!この成績を維持すれば魂天にはたどり着きますが、ラス率をもう1%くらい減らすと格段に聖3坂を登るスピードが変わると思います。
攻守バランス
和了率も放銃率も文句なし。さらに平均打点が結構高め。
また、牌譜主さんも「上ぶれで勝っているだけな気がして…」とおっしゃっていたのでその可能性はしっかり見ておきたいと思います。
●主さんのスタイル
10半荘くらい流し見をして、主さんのスタイルは以下に見えてます。
スリム進行型
和了率23%とは裏腹、かなりのスリム派雀士でした。このスリム派でこの成績とすると、和了率は少し上ぶれなのかもしれません。実際、リーチ成績がかなり良さそうではありました。
打点重視型
結構、打点のある進行に思い切っていくタイプで、裏ドラがいっぱいのっているわけでもなさそうなので、こちらは特段上ブレではなさそうでスタイル通りかと思います。
Mリーガーで言うと近藤誠一さんタイプに近いかなと感じました。
●牌譜検証をして感じた課題
実力差が大きくない中なので偉そうに指摘もできませんが、感じた点を2つほど提案させていただきます。
①スリム進行の考え方
二人目の添削の方(https://note.com/seven_pairs/n/na47a94028973)と同じコメントになりますが、私自身はスリム派に肯定的ながら、スリムが損する局面もあることは理解しておくべきと思いました。
また、1~3巡目の選択でスリムにして待受ロスを許容しておきつつ、7-8巡目の一番守備力が問われるタイミングでは結局ブクブクになっている進行が多く見られました。
麻雀は、「10巡目までに80%の確率で誰か一人は聴牌している」というデータがあると言われています。(ソース無しすみません。。) なので、スリムにするときは二段目に差し掛かった時に受け駒を持つ意識で進めると良いと思っています。
②ラス回避への執念
ラス率1%ダウンのために、実際にラスを引いた半荘を厚めに拝見しました。その中で、ダンラスの状況からもう少し回避に強く執着してもいいかな?と思う局面がありました。ラス率1%は、100半荘に一度。ラス回避に執着し、奇跡の逆転を1%作れるかどうかで安定段位は大きく向上するはずです。
●事例集
①8/13 22:56の半荘 東1局
これは個人的には字牌を先に切りたいです。むしろ対面の仕掛けに対しては字牌の方が将来危険ですし、相手は子なので絞る必要もありません。
また、この他にも牌譜主さんは両面ターツから一つ離れた数牌を早く切りたがる傾向が強いなと思いました。ターツが十分形で足りている時は良いのですが、そうでないときはここでいう5sを引いて絶好の手替わりがあること、さらに雀頭がない時は36sのノベタン受けがあることはもう少しだけ重視してもいいかなと思いました。
②8/13 22:56の半荘 東2局
ここも字牌から切り出したいです。今回は自分が親番なので、スリムに受けるメリットが少ない&ロスした時のダメージが大きいです。この8mは7m引きはもちろん、9mを切っての雀頭使いやもう一枚8m(終盤場合によってはポン)でのタンヤオ変化に使える牌です。字牌は2つもあれば十分と思うので、ここは素直に中か、守備力が気になるなら白を切るのが良いと思います。
➂8/13 22:56の半荘 南3局1本場
こんなもん切るしかないだろ…という牌姿に見えますが、ラス回避ルールなら私はオリます。雀聖配分はそのくらいラス回避に執着を見せてもよいバランスに感じています。
④8/13 22:56の半荘 南3局2本場
逆にこれはかなり7sをプッシュしたいです。どうせ7sを切らなきゃアガりも聴牌も厳しそうなこの牌姿、対面のアガリも自分のノーテン流局もほぼラス確実。となればこれは勝負の一手に感じます。結果論ではありますが、実際次巡3p引きで聴牌逃し、対面から一発で8pを捉えられてました。
⑤8/13 22:56の半荘 オーラス3本場
ここは打9mとしたいです。
逆転の条件は満直跳ツモ。ここからそれをなすにはいずれも遠いですがタンピン赤裏期待or染め手しかありません。いずれにしても9mは不要になります。
実際、次巡1pをツモって染め手に向かいますが、マンズと索子の処理が遅れて手詰まりになります。ここで9mから行っていれば、詰まる前にすべて手牌をピンズと字牌にできていました。残念ながらアガれてはいませんでしたが、100半荘に一回を起こすにはこういうチャンスの積み重ねだと思っています。
⑥8/13 22:56の半荘 オーラス5本場
これだけ逆転の可能性がある手はなかなか入らないのでプッシュでいいと思いますが、さすがに7pから切りたいです。親がリーチなので、アガれなくても流局すればもう一局できることを忘れず、少しでも生き残る道を探りたいです。
⑦8/14 14:10の半荘 オーラス
別の半荘のオーラスですが、この9pも消極的すぎるかなと思います。4ブロックしかないところからさらに1ブロックつぶしてしまいました。役牌を重ねてのアガリを重視したんだと思いますが、ここまでできてくればリーチやマンズの鳴き一通も十分見えます。これは役牌を一つ切りたいです。上家に鳴かれにくい自風の西がいいでしょう。
⑧8/11 22:37の半荘 南3局
自分ドラドラのチャンス手、ブロックも足りていない状況なのでこれはスリムすぎると思います。放銃したくない局面ではあるので西は残していいかなと思いますが、せめて中から切り出したいです。中も別に安全ではないのに対して、8p周りのロスが大きすぎるかなと思います。100歩譲って字牌二つ残すにしても2度受け回避で2mからがいいでしょう
⑨8/11 22:37の半荘 南3局続き
しかしこの局、下家からリーチが来てしまいスリム受けが吉と出る結果になりました。と思いきや、せっかく残した中を切らずに打9m。これは恐らくミスの自覚があるのではと思いますが、中から切っていきたいです。
恐らくラス回避ルールに強い方の多くは同じ思考が頭に浮かんでいるのではないかと思いますが、この局下家に打って3着目でオーラスを迎えると、次局親の4000オールでラス終了になります。そのくらい、絶対に放銃してはいけない緊張感のある局面だと認識頂くと良いと思います。
⑩8/5 14:27の半荘 南2局
少し前の対局になりますが、両方の課題に該当する象徴的事例だったのでピックしました。このトビ寸の状況での役牌ドラドラのチャンス手。スリムに受ける要素は一つもない気がします。おそらく七対子等を見て端牌に寄せることを考えたのだと思いますが、ノーテン流局も許されないこの状況。さすがに打中が良いと思います。両面くっつきすれば2sを打って6ブロックながら手厚く受けることができます。
●まとめ
牌譜添削という性質上、どうしても少し偉そうな書きぶりになった点お詫び申し上げます。しかも最近絶好調で、スリム高打点の勝利パターンを既に確立されているため、勝っているうちは余計な変化を加えなくてもよいかもしれません。ただ、将来厳しくなった時に見返していただくと良いかもしれません。平均打点の高さは、安い躱し手をアガれていないとも解釈することができます。個人的な予想としては、下ブレがくると一気に和了率が下がるタイプではないかなと思っています。そんな壁に当たった時に、少しでも見返して参考になる部分があれば幸いです。