牌譜添削⑫雀豪1さん
さて、調子が良いので今日2本目の牌譜添削シリーズです。
●成績概観
今回の牌譜主さんは雀豪1さん。昇段したてなのか、ほとんど金の間でした。
おお、直近は下振れを引いて苦労してらっしゃる…と思ったら最新牌譜は9/24!(本日10/10)
ちょっと下振れに心が折れてしまい、お休み中でしょうか。そして実際に牌譜を拝見したら、こりゃ休みたくもなりますわ…という不幸牌譜でしたね。心中お察しいたします。
添削依頼を頂いて長らくお待たせしてしまった私にも責任の一端を感じています。なんとかここで主さんのやる気を取り戻せるような添削をお届けしていきたいなと意気込んでまいります。
●牌譜検証をして感じた課題
吐きそうなくらいの下ブレ牌譜の中にも、これはもう少し工夫できたのでは?という点がありました。
課題①ドラを切る手組が苦手
打点を作りたいのか、切ることを恐れているのか、いずれの心因が強いのかはわかりませんが、ドラやドラ周りを大切にしすぎて牌効率を落としすぎてしまっているケースが散見されました。
ドラは使ってアガって初めて価値を発揮します。手に残しておいてもアガれなければ意味がありません。むしろ、アガれないときはただの高打点放銃の種です。使えないと判断すれば、敵に聴牌される前に早めに切り飛ばすことも時には重要です。
課題②敵に先制聴牌されたら相当不利であることを理解する
副露を増やすスタイルチェンジに取り組んでいるという主さん。副露はスピードが速くなるメリットと引き換えに、手牌の安全度が落ち、終盤の押し引きの難易度が上がります。そんな中、終盤アガりがかなり厳しくなっている状況での不用意な危険牌切りが散見されました。当然のことではありますが、終盤になれば自分のアガれる確率は下がっていく反面、危険牌の放銃率は上がっていきます。この辺りはもう少し慎重になる必要があるかもしれません。
課題➂ビハインドな状況で大振りする&一貫性がない
直近の牌譜が下振れ期間だったためビハインド状況の手組を拝見することが必然多くなりましたが、少し高打点を狙いに行きすぎかなという局面がいくつか見られました。また、大振りしようとしたけど途中でヒヨってしまったり、慎重に言ったのに途中で大振りしたくなったのか、一貫性がなく中途半端になっている局面もありました。途中で局面が変われば一貫性は無くても良いのですが、正直なところ単なる心変わりだろうなと感じた場面が多かったのも事実です。
●事例集
9/24 16:44の半荘東3局
国士無双狙いでしょうが、さすがに大振りしすぎです。中ホンイツが現実的に狙える手ですので、ここは1pを切りましょう。
9/24 03:13の半荘東1局
無謀だと思います。ここはスルーしましょう。
既に9巡目でこの牌姿。今から1mを落として回っていったのではアガリ切るのはかなり厳しいという感覚をまずは持ちたいです。
加えて、既に対面のリーチを受けている状況では、オリ中心にならざるを得ません。そんな中、オリるための安全牌が乏しい手格好の中、チーして手を狭め、さらに安全牌を引けるかもしれないツモ番を放棄するのはデメリットが大きすぎます。
9/24 03:13の半荘東3局
放銃(しかも裏裏。。)になったのは結果論ですが、ここは丁寧に現物の37mを打ってオリるべきでした。
理由は2つあり、
1. 自分の手牌価値が低い
既に敵に先制リーチを打たれている中、自分の手はまだ3シャンテンです。また、これから切らなければならない牌も危険牌だらけで、とても押せる牌ではありません。北ぐらい…という気持ちがあったかもしれませんが、どうせオリることになる牌で北の放銃リスクを負う必要はありません。
2. 他家への安全度
どうせオリになるのであれば、対面や下家から「リーチ」と来てしまった時に切れない牌を先に逃がしておくべきです。そういう意味でも北はまだ切るべきではありません。
9/24 03:13の半荘南1局
ブロック数が足りているので悪くは無いですが、私はここでr5pを逃がします。r5pは打点の種ですが効率的には不要です。親番の6巡目でゼロメンツ、効率を狭めている余裕はありません。いったん打点は落ちますが、進行によっては123の3色やチャンタまで狙える手です。また、敵の先制がきたら切りにくい牌でもありますので、対面が切ってきたこのタイミングで合わせ打ちしてしまいたいです。
9/7 18:52の半荘東1局
ダブドラの東を切りたくない気持ち、非常によくわかります。。そして、切らない前提にすると雀頭いらなくね?の発想もよくわかります。しかし8mにも残しておく価値は無いため、ここは素直に8mを切りましょう。そして怖いかもしれませんがすぐに6pが入ったら東を切ってリーチの一手です。当然他家のテンパイ気配次第ではありますが、巡目が早ければヒヨる必要はありません。
9/7 18:52の半荘東1局2本場
巡目が遅いかつ敵のリーチを受けている状況で、このポンは無謀です。1枚見えのドラ7m、真ん中の4p、生牌の中の3種類しか聴牌受けが無い手です。ワンチャンスとはいえ1pを勝負する価値に見合いませんし、ましてや聴牌時に危険牌7pを切らなければなりません。ここは諦めてスルーし、4sを合わせ打ちしていきたいところです。
9/7 18:52の半荘東4局
3mを切ってしまっており、ここはドラ4mを合わせ打ちしてイーシャンテンでを維持したいです。下家が怖かったのかもしれませんが、むしろ唯一放銃リスクゼロで打てるのが今です。また、そうしてもドラを切りたくない場合も選択は9sになるでしょう。南を切ってしまってはシャボ受けもカンチャン受けも死んでしまいますが、9sを打てばシャンポン受けが残り3mを引き戻せば安全に南を切って進行できます。
9/7 18:52の半荘南1局
一貫性が無いです。即リーかダマ完遂のどちらかですね。特に途中でリーチに踏み切りやすくなる状況の変化もない(むしろ5mが1枚見えて後退)と思います。個人的には、出アガリ率は低そうですので即リーでツモりに行きたいです。また、この聴牌に至るまでの手順も少し不思議でした。
9/5 21:02の半荘東2局
打7m時点であーホンイツやりたいのか、と思っていたらこの打8s。途中で無謀に感じてしまったでしょうか?ここは攻守ともにホンイツでよいと思いますので、4mか5pを切りましょう。ホンイツに行かないのであれば2打目に8sです。
9/5 21:02の半荘東4局
少し不用意だったかもしれません。もう3段目に差し掛かる中、自分はまだ2シャンテン。放銃に最新の注意を払って7mでオリか、粘るにしても9mからでしょうか。
9/5 21:02の半荘東4局
これも西を重ねて47p待ちで頭がいっぱいだったでしょうか。6pを残しておけば69pが絶好の聴牌待受でもあるため、これは8m一択ですね。ドラが出ていく手組を過度に恐れる必要はありません。
9/5 21:02の半荘南2局2本場
これは2mか南を打ちましょう。
恐らくこれまでの傾向を見るにドラ5mを使いきれる待ち受けを広くとりたい気持ちからでしょうが、効率を犠牲にしすぎです。345の3色をやりたいにしても、この愚形だらけのシャンテン戻しはやりすぎです。また、2mを切っても4mは受けられますし、5m縦も受けられます。実は1mを切ってもドラが使いやすくもなっていないのです。
9/5 21:02の半荘南3局
断ラスの南3局で焦る気持ちはわかりますが、さすがに大振りしすぎです。清一色ドラで跳満より、リーチ自摸タンヤオ赤+αで満貫~跳満の方がはるかに現実的です。
9/5 15:58の半荘東2局
やりすぎだと思います。この巡目で敵に先制されて自分はノーテンなら、かなりオリ主体です。そんな中ツモ番を放棄、現物8sを消費、打1pをしてしまっては次巡以降ノーガードになってしまいます。また、聴牌打牌の3pも相当危険です。ここは素直にスルーしてツモリにいって安全牌を期待、危険牌を掴めばオリ、面前聴牌した時だけ2p一牌勝負くらいが限界だと思います。
まとめ
正直なところ、他にも指摘したかったポイントはたくさんありました。しかし、下ブレ中はメンタルもブレがちでミスも増えるのである程度やむを得ないと思います。「思い出したくもない悪夢を思い出させやがって!」となってしまったら申し訳ありません。
でも、牌譜から主さんが麻雀が好きで一生懸命に打ってきた気持ちは良く伝わってくるような気がしました。だからこそ下ブレが無念なんですよね。
ただ、こうして振り返るとほら、復帰して私の提案通りドラを思いっきり切り飛ばす手順を試したくなってきませんかー??