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#純文学
【連載小説】純文学を書いてみた1-3
前回……https://note.com/sev0504t/n/n4594cf565e0c
純文学を書きたかったけれど、これは純文学なのか……兎に角がんばります。
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母の遺品を整理しているときの父は静かだった。それは整理ではなく、むしろごみ出しの用意のようなもので、本当に大事なものがあるかは僕に尋ねてきた。
「なあ、これ母さんのマフラーか?」
「うん。だいぶ前のだね。これ
【連載小説】純文学を書いてみた1-1
初めての作品。じっくり育てていきたいです。よろしくお願いいたします。
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僕がまだ小さくて言葉も記憶も曖昧なときに、母はカール・ブッセの詩を書いてトイレの壁に貼った。
山のあなたの空遠く
「幸い」住むと人のいう
ああ、われ人と尋ねとめゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸い」住むと人のいう
喪失感はゼロではない。