カモメを動物病院に持っていった時の話
丁度1年前の春、いつもの様にイケスに船を着けて仕事をしようとしたら、網の上にちょこんとカモメが座っていました。
イケスにカモメが留まっていることは日常風景なのですが、このカモメ、船をイケスに着けても全然逃げません。普段なら一度飛び立って隣のイケスやフロートに留まり直すのですが。
気になって近づいてみると、自分から逃げようとするのですが、明らかに様子がおかしかったです。飛び立とうとはするものの、その元気がないから飛べないように感じられました。動き時代はまともだったので骨折はしていないようでした。
弱った野生動物に手を出すことは一般的に好ましくないとされていますが、このまま放置したら仕事に支障が出ますし、暑い網の上で生き絶えた後カラスに突かれる運命はあまりにも可愛そうだと思ってしまいました。
とりあえずタモ網で捕獲した後、新聞紙を敷き詰めたダンボールに入れました。さらに猫にやられない様に、日陰に停めてある自分の車の上に置いておくことにしました。
さて、このカモメをどうしようかと考えて、ダメ元で何件かの動物病院に事情を話したら、運良く対応して頂ける病院が見つかりました。
仕事を定時で上がり、車の後部座席にカモメを乗せて、病院に預けに行きました。得体の知れない感染症が怖かったので、窓全開で車を走らせました。野鳥は稀に送られてくるものの、カモメは初めてとのことでした。カモメの状態が良くなることを願って、その日は病院を後にしました。
余談ですが、この日は職場でBBQがあって、カモメ焼く⁇みたいなやりとりが結構ありました。いやいや食わんて(笑)
後日動物病院からカモメが亡くなったとの連絡がありました。まあ回復は難しいだろうなとは思っていたものの、すこし残念ではありました。
獣医師さんの話では、まず鉛弾で撃たれた動物を食べたことによる鉛中毒を疑って解毒剤を打ってくれたみたいです。またスーパーでキビナゴを買ってきて与えて下さいました。吐き出してしまったみたいですけど。
見ず知らずの人が持ってきた野生のカモメに、そこまでして頂けるととは思っていませんでした。さらに国から補助金が出るから料金は要らないとのことでした。自分3万円くらい自腹で払う覚悟あったんですけど、杞憂に終わっちゃいました。
本当に、カモメの面倒を見て下さった獣医師の方には感謝してもしきれません。
この様な事があって、思ったのです。
普段イケスには糞を落とすし魚のエサを横取りするし網の上羽毛だらけにするので追い払っているカモメを動物病院に連れて行くなんて、なんか矛盾した行いだなと。
しかしそんなカモメでも必死に生きようとして編み出したやり方がそれであるだけで、全然悪気はないわけですよ。
なので、職場の人に否定された訳ではないですが、自分がした行いは養殖業者として間違ってはいないし、むしろ誇りに思っています。
これからもそんなカモメ達とも共存しながら仕事を続けて行くのだろうなと思います。アイツら邪魔しかしませんが(笑)
最後まで読んで頂き、ありがとうございました^ ^
#養殖業 #野生動物#保護#共存