劣等生の美学

劣等生だからおもしろい。

国家資格を持っていても、実務能力がない人がいる。

きっと子どもの頃からテスト勉強が得意で

世間一般では優等生と呼ばれてきたのだろう。


ゴルフでいうと

他人のスイングの批評はできるが、自分はヘタクソ、というタイプ。

「どうしたらスコアが良くなりますか」などと直ぐ先生に聞く人だ。

私は勉強が苦手だった。

中学生のとき知能テストで空間認識力だけは飛び抜けていたが、

他の能力はからっきしだ。


だが数学は好きだった。

特に幾何学的パターンに興味があった。

コンパスや三角定規を使ったり、私にとって算数は遊びだった。

高校1年の模試で、数学だけ、たまたま全国2位になった。

勉強でいい思い出はそれくらいかな。

そんな劣等生の自分でも何とか美大を卒業し、社会に出てからは山あり谷ありだが、

どうにかこうにか自力で生き抜いてきた自負はある。

今の図面作成の仕事も、学校で教わったものでなく、現場で叩き上げられて習得した技術だ。

情報の丸暗記は私には未だに苦手だが、長年かけて積み上げた”技術”の方は

少しは誇れるかもしれない。


ただ、私のような独特なタイプは会社ではなかなか評価はされない。

学歴、地位、肩書。。。名刺や履歴書に記載できる”わかりやすい”基準が優先される。


だが私が好きな人というのは、ゴミ溜めのように頭の中が使えもしない情報、雑学、横文字等でいっぱいの人でなく、

本物の”知恵”がある人、少しばかり”偏った人”癖が少々あっても”自力で”生き抜ける人・・・。


”劣等生の美学”で生きる人たちだ。


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