これから先は自分の歌を歌っていく。
子どもの頃からずっと音楽が好きだった。入り口はダンスミュージックで、初めて自分のお金で買ったCDはw-inds.の1stアルバム「w-inds. ~1st message~」だったが、そこからロックを聴き、ヒップホップにハマり、邦楽・洋楽を問わずあらゆるジャンルの音楽を雑多に聴き漁りまくった。まだサブスクリプションなんてなかった時代だが、祖父が私のことをだいぶ甘やかしてくれていたので、欲しいCDはだいたい手に入れることができた(Spotifyのようなサービスが主流になるなら、こんなにCDなんて買わなきゃよかった!)。今でも私の実家には、それらのCDが山のように眠っている。
歌うことは得意ではないが、好きだった。中学時代には夜な夜な浴室で歌を歌い、近所の人に苦笑いされることもあった。w-inds.の橘慶太さんが好きだったので、当時の彼の歌い方を真似して、喉を締めるような歌い方で歌っていた。しょっちゅう音程は外すし、歌唱力もない。平均的な男性より高いキーで歌うことはできるが、変声期にずっと歌い続けていたせいか声も悪い。それでも歌うことが好きで、大学時代はよくカラオケにも行った。オリコンに入るような流行りの音楽はあまり聴かないし、知らないので、一緒にカラオケに行く友人は私の歌う歌がわからず、白けることも多かった。だが、それでも私は空気を読まず、自分の好きな歌を歌うことをやめなかった。
ずっと他人の歌ばかり歌ってきた。いつだって誰かの書いた歌詞に感動し、励まされ、救われていた。そんな自分に転機が訪れたのは、坂爪圭吾さんという方の音楽に出会ったことがきっかけだった。彼は34歳(現在の私と同じ年齢だ)で音楽をはじめ、「一日一曲作る」をスローガンに何百曲もの曲を作られた方だ。坂爪さんの作る音楽はコード進行こそ簡単なものが多いが、特に歌詞の切れ味がものすごく、読んでいて「うわああーー!!」と叫びたくなるほど胸に刺さるものも多い。彼の曲があまりにも好きすぎて、いつしか「坂爪さんの曲を自分でも弾き語れるようになりたい…!」と思うようになり、職場の同僚にお古のギターをもらって、私は独学でギターを始めた。
ある時、坂爪さんの曲を練習していることをnoteで記事にして(※現在その記事は削除済み)、「年内には自分でもオリジナル曲を作りたい」的な甘ったれた目標を書いたところ、なんと坂爪さんご本人が直々にコメントを書いてくださった。そこには「今月中に一曲お願いします🔥」と書かれていた。不思議なもので、それまで作曲の経験(もっといえばギターの経験自体)がまったくない私だったが、坂爪さんにそのコメントをいただいた途端、絵文字のとおり心に火がつくのを感じた。絶対やってやるぞと思った。そうして数日間必死で作曲に取り組み、完成したのがこの「MY LIFE」という曲だ。
ギターを始めたばかりの素人が作った曲で、使っているコードも「G」「D」「Em」「C」というたったの4つだけ、歌詞も坂爪さんに向けた極めてパーソナルな内容になったが、自分なりの決意表明のような曲ができたように思う。人間、本気で作ろうと思えば作れるものなのだなと感動した。作曲のノウハウも知らない、ギターも歌も下手くそ、それでもパッションだけでなんとか形にできるものなのだな、と。「年内にはオリジナル曲を」なんて書きはしたものの、正直、内心「たぶん俺には作れないだろうな」「もうちょっと上手くなってから取り掛かろう」と諦めていた部分が大半だった。でも、やれば、やる気が出る。はじめると、はじまる。これは本当だった。
それから現在まで、私は自分の曲を作って歌い続けている。同僚にもらったギターは知人に譲って、自分用にGibsonのHummingbirdというアコースティックギターを買った(Hummingbirdは坂爪さんが使っているギターで、本当は彼とまったく同じモデルのものが欲しかったのだが、彼のHummingbirdはOrville by Gibsonモデルといって、現在では入手困難なものだということが発覚したため断念した)。先ほどのオリジナル曲「MY LIFE」の中で、「これから先は自分の歌を歌っていく」という歌詞を書いたのだから、その決意を全うするという意味でも、一生付き合っていけるギターが欲しかった。目ん玉が飛び出るくらい高価だったが、「俺にとってアコギは生涯コイツだけ!」という気持ちで、これからずっと死ぬまで弾き倒していこうと思う。
YouTubeに、作ったオリジナル曲(デモ音源)を順次公開している。すべてiPhone直録り&弾き語りによる一発録りなので、ところどころ音程が外れていたり、ミスっていたり、ストロークにビビりがあったりと出来栄えはあまりよくないが、それでも勇気を出して公開する。上達や完成を待っていたのでは、いつまで経っても作品を世に出すことができない。下手くそなら下手くそなまま、荒削りなまま、剥き出しのまま、それでも「これが今の俺だ!!」と、胸を張って提示していく。聞き苦しいところも多々あるかと思いますが、もしお手隙の時にちょこっとでも聴いていただけたり感想をいただけたりしたら死ぬほど嬉しいです。皆様、よろしくお願いいたします!!