「イツモアリガトウ」を言ってほしくて「ヒマラヤ」 第2回
先日お客さんに嫌味を言われる。
「こういうの(こういう仕事)、初めてですか?」と嘲笑しながら帰りがけに。言われても仕方がない不甲斐なさに自覚があった。
理不尽なことを言われた方がただムカついて終われたかもしれないが、100%自分が悪い。
でもモヤモヤや疲れを感じる権利くらいはあるはずだ。
自分への苛立ち、指摘された事実。誰かにぶつけるには理不尽すぎる気持ちを抱えていた。
そんな時私が行くのは「ヒマラヤ」。
インド料理屋さんだ。店員さんは全員ネパールの方。(インド料理はネパール料理を内包しているらしい)。
店員さんは時々しか訪問しない私のことを覚えていてくれて、その上いっつも優しい。
日本語はほとんど通じない店員さんだが、私もネパール語、英語を話せないので一生懸命ジェスチャーや指差しで希望のメニューを伝えるが、伝わらない。
私の言いたいことが全然分からない苛立ちを感じでもおかしくないだろうに、
いつもニコニコ、日本語で
「ダイジョウブデスカ?」
と言ってくれる。
やり取りに癒されながら、待ちわびた料理はどれもおいしく、しかも安い。
「ちょい飲み おつまみメニュー」を頼んで何かカレーを頼むのが私の定番コース。
「ちょい飲み おつまみメニュー」はアルコール、量多めなおかず2品で900円。どうかしてる。
おつまみメニューを食べながら、パソコンを開いたり本を読んだり。
コミュニケーション多めのお店のような感じで紹介してしまったが、話しかけない限り基本的にほって置いてくれる。
待ちわびたカレー。この日は玉ねぎたっぷり「マトンドピヤザ」。
そして私にとっての真骨頂、お会計。
深々とした
「イツモアリガトウ」
を言ってくれる。
“いつも”とお世辞にも言えないほど訪れていないのに、行く度に心の底からのその言葉を言ってもらえる。
違うメニューが出てきたりすることも一度や二度ではない(この日もそうだった)が、そんなことを上回ってもその言葉を言ってほしい。
善意を利用しているかもしれないが、
言葉は偉大だ。
私は偽りないこの言葉を言ってほしくてヒマラヤに行くのだ。
SHOP DATE
インドアジアンレストラン バー ヒマラヤ
住所:東京都新宿区上落合2-28-1
営業時間:11:00~15:00、 17:00~23:00
定休日:なし
https://tabelog.com/tokyo/A1321/A132104/13186384/
企画メシ4期の有志で寄稿するコラム集、「コラム街」。
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