あなたの知らない旧裏面 初版カードの世界
こんにちは、ポケモンカードコレクターのせとうちレモンと申します。第2回目の記事は最近注目を集めている旧裏面 初版カードについて紹介したいと思います。
(この記事を読むのにかかる時間は約40分です)
旧裏面 初版カードとは?
今から約25年前の1996年2月27日にゲームボーイ専用ソフトとしてポケットモンスター 赤・緑が発売されました。そこからおよそ8か月後の1996年10月20日にポケットモンスターカードゲームの拡張パック 第1弾 & 第1弾 スターターパックが満を持して登場します。これら2つの拡張パック&スターターパックに封入されていたカードのうち、発売からある一定の期間内に製造・発売されたカードを初版カードと呼びます。
かいりきリザードンと呼ばれる高額なカードはこの初版カードの一種で、初版カードは現存する数が少ない為、希少価値がついて高値で取引されています。
初版カードと再版カードの違い
初版カードは"マークなしカード"と呼ばれることも多いのですが、再版カードとの特徴的な差異はカードの右下に通常印刷されているレアリティシンボルの有無となります。その他にも誤記レベルの差異が存在しています。
自分が持っているカードが初版のカードなのかを知りたい方は、過去にコレクターの方が有益な記事を作成してくれていますので、下記の記事をご覧ください。
1. ポケモンカード(旧裏面)収集ブログ
(by さたくさん)
2. ポケモンカードの旧裏面初版・マークなしの見分け方について解説する
(by マリクちゃんさん)
なぜ初版のカードは貴重なのか?
初版のカードは上で書いたように、再版のカードと僅かな違いあるのみで、特別な加工が施されている訳ではありません。カードのイラストを眺めて楽しみたいのであれば再版のカードを買えばそれで充分ではないでしょうか?しかしながら、現在流通している初版カードの多くは再版のカードの十倍~数百倍の価格で取引されています。この記事を公開した2021年11月時点では、初版のピカチュウは何と駿河屋で約12万円で販売されています!
なぜ初版カードはこのような高価な価格で取引されるようになったのでしょうか?過去のツイートや動画なども交えて考えてみたいと思います。
要因(1) 発行された枚数が再版と比較して少ない
初版と呼ばれるだけあって、初版のカードの製造枚数は再版のカードと比較するとかなり少なくなっています。初版(マークなし)カードがいつまで製造されていたのかは今となっては不明なことが多いのですが、1996年12月12日に発売されたギフトパックにはマークなしのカードが封入されています。下記はギフトパックから初版カードが出てくる貴重な開封動画です。
また、別の方の証言では、1996年12月22日~23日に開催された第5回次世代ワールドホビーフェアで購入した第1弾 拡張パックからレアリティマークありの再版カードが出てきたという情報もあります。
ちなみに、2017年3月5日に発売された拡張パック第2弾 ポケモンジャングルの販促CMでは、初版のカードと再版のカードが混ざって登場します。ピジョン、コラッタ、パウワウ、フシギダネ、ジュゴン、ディグダ、ドガース、ルージュラは初版、エレブー、ポリゴンは再版となっています。話が少し逸れますが、1997年6月20日に発売されることになる第3弾 化石の秘密のカードも一部登場していますが、試作段階のもののようで、イラストが違っていたりエキスパンションマーク&レアリティマークがありません。
長くなってしまいましたが、1996年10月20日に発売されて、およそ2~3か月後には再版への生産に順次切り替わってしまったと考えられるため、ごく限られた期間のみ生産された希少なカードということになります。
参考情報ですが、こちらの早稲田大学IT戦略研究所が2005年に作成した資料によると、『ポケモンカードは、1996 年 10 月 20 日発売から 6 ヵ月後の 1997 年 3 月末までに、8,700万枚が出荷された。』との記載があります。初版の製造期間を発売~3か月間と仮定し、単純にこの数字を2で割ると、おおよそ4,350万枚の初版カードが製造されたと推定できます。
追記:記事公開後にTwitterのフォロワーさんから新情報を頂きました。めざせ!ポケモンカードマスターという書籍の情報によると、1997年1月31日までにスターターパック50万パック、第1弾拡張パック120万パック、計4,200万枚が出荷されたようです。また、別の書籍:ポケモン・ストーリーによるとアニメ放送開始前(1997年4月)までの平均製造枚数は1ヵ月あたり1,631万枚だったようです。より詳細な数字が判明しましたので、初版の製造枚数についてもう少し細かく推測をしてみようと思います。
1996年12月22日~23日に開催された第5回次世代ワールドホビーフェアで販売された第1弾拡張パックからは再販カードが出たという情報から、印刷・パック詰め後、卸業者を経由して会場へ搬入するまでの期間を考慮すると1996年12月上旬頃には再販カードの生産が始まっていた可能性があります。その場合、1997年1月生産分は1ヵ月分すべて再版カード、1996年12月生産分は年末年始の生産ライン停止を考慮して約0.5か月分は再販カードの製造を行っていたのではないかと推測します。1997年1月31日までの出荷枚数4,200万枚から、1.5ヵ月分の生産平均枚数2,447万枚を引いた数、約1,753万枚が初版の製造枚数と考えることができます。 (ここまで追記)
要因(2) 美品カードの現存数が少ない
少し前に初版カードが高値で取引されていると書きましたが、高値で取引されるカードの多くは御三家やピカチュウ、キラカードを除いて美品のカードです。発売当時(1996年)はトレーディングカードゲーム黎明期で、ポケモンカードをスリーブに入れて遊ぶ文化などもありませんでした。(例えばトランプのカードをスリーブに入れて遊ぶ人はいないですよね) また、当時の小学生は放課後に校庭や公園の遊具の上で地べたにカードを置いて対戦することも当たり前だったので遊んだカードがボロボロになるのは当然です。
また、コレクションの面からみても公式カードファイルが発売されたのが1997年6月13日と、ポケモンカード第1弾の発売から約8か月も後のことで、綺麗にカードを保存できる環境も無かったといえますね。
また、今となってはポケモンカードは高値で取引されるようになりましたが、数年前まではポケモンカードに価値が付くという認識は一般的に無かったように思います。そのため、引っ越しの際に捨てられてしまったり、家族に無断で処分されてしまった、断捨離で思い切って処分されてしまったカードも沢山あるのではないでしょうか…。
要因(3) ロマンがある
発売以来、ポケモンカードは全世界で341億枚以上(2021年3月末時点)※のカードが販売されましたが、旧裏面 初版はこれらのカードの原点と言って良いと思います。ウォルト・ディズニーが遺した言葉に「すべては一匹のねずみから始まった」というものがありますが、ポケモンカードシリーズにおいては、「すべては102枚のカードから始まった」と言えるカードたちです。
※出典:数字でみるポケモン
旧裏面 初版カードと似た立ち位置のカードとして、MTG(マジック:ザ・ギャザリング)のアルファ版、ベータ版、アンリミテッド版というものがあります。世界初のトレーディングカードゲームであるMTGの初期出荷分260万枚をアルファ版、その追加出荷分として印刷された780万枚ものをベータ版、さらにその後に発行されたカードをアンリミテッド版と呼びます。
2021年7月にポケモンカード専門店 晴れる屋2が秋葉原にオープンしました。晴れる屋はMTG専門店でしたが、晴れる屋がポケモンカードにも参入するということで、MTGコレクターがポケモンカードに注目するきっかけとなり、上記のアルファ版、ベータ版に近い旧裏面 初版カードの存在が知られることになります。MTGのアルファ版、ベータ版、アンリミテッド版を集めるのと同様に、MTGコレクターの方がコレクションを始めたことも初版カードの注目度が上がるきっかけになったと考えています。
いずれにせよ、初版カードを集めることで、ポケモンカードの原点のカードが自分の手元にあるんだという、コレクターにとっては所有欲を満たしてくれるロマンある魅力的なカードであることに間違いはありません。
初版のカードはそれぞれ何枚存在する?
旧裏面の初版カードを入手するには、下記3つの方法がありました。
(1) 第1弾 拡張パック (1996年10月20日発売,10枚入り)を買う
(2) 第1弾 スターターパック (1996年10月20日発売,60枚入り)を買う
(3) ギフトボックス(1996年12月12日発売,120枚入り)を買う
(1) 第1弾 拡張パックのカードの封入内訳は下記の通りです。
●…6枚、◆…3枚、★…1枚 合計10枚
(2) 第1弾 スターターパックの封入内訳は下記の通りです。
●…20枚、◆…8枚、★…2枚(キラ1枚、非キラ1枚)
エネルギー…30枚 合計60枚
(3)ギフトボックスはスターターパック2個入りなので内訳は(2)×2です。
※以下、新情報により初版カードの推定製造枚数が変わった為、記事公開時から一部内容を修正しました。
めざせ!ポケモンカードマスターという書籍の情報によると、1997年1月31日までにスターターパック50万パック、第1弾拡張パック120万パックが出荷されたので、この販売比率を元にすると、初版の総出荷枚数(約1,753万枚)のうち、約1,237万枚が拡張パック向けのカード、約516万枚がスターターパック向けのカードということになります。
まず、(1)の拡張パック向けのコモン●カードは約1,237万枚×0.6=約742万枚、アンコモン◆カードは約1,237万枚×0.3=約371万枚、レア★カードは約1,237万枚×0.1=約124万枚存在する計算になります。
次に、(2)&(3)のスターターパック向けのコモン●カードは約516万枚×0.333…=約172万枚、アンコモン◆カードは約516万枚×0.1333…=約69万枚、レア★カードは約516万枚×0.03333…=約17万枚、エネルギーカードは約516万枚×0.5=約258万枚存在する計算になります。
拡張パックとスターターパックのカードを合計すると、コモン●カードは約914万枚、アンコモン◆カードは約440万枚、レア★カードは約141万枚になります。各レアリティ●◆★のカードは32種類ずつ存在していて、同じレアリティの中での封入確率はばらつきがなく、均等であるとすると1種類のカードにつき、コモン●カードは約28.6万枚、アンコモン◆カードは約13.8万枚、レア★カードは約4.4万枚製造されたことになります。
ここから25年の歳月を経て現存する枚数となると、小学校のクラス(1クラス40人とする)の中に1人~2人程度カードを捨てることなく大切に保管していた几帳面な子がいたとして、(2人の場合)上の数から1/20まで減って、現存するコモン●カードは約1.43万枚、アンコモン◆カードは約6,900枚、レア★カードは2,200枚になります。意外と多い?少ない?いかがでしょうか?
※これはあくまでも素人による考察なので真相は不明です。
旧裏面 初版カードを入手するには?
旧裏面 初版カードが欲しいと思って近くのカードショップに足を運んだとしても、おそらくほとんどの店舗は取り扱いがありません。ブックオフやホビーオフ、○○鑑定団や○○倉庫などのリサイクルショップはタイミングによっては店頭に並ぶ可能性はありますが、あまり期待はできません。都内を中心に旧裏面 初版カードの取り扱いのある店舗を紹介します。
1.おたちゅう。秋葉原2号店トレカ館
(所在地:東京都千代田区外神田)
関東周辺で一番おすすめができる旧裏面 初版取り扱いショップです。旧裏面専用のショーケースが存在し、お手頃な価格で初版カードを入手できます。ストレージ(値札なしは1枚20円)も充実していて、運が良いとお買い得な初版カードをストレージから入手することも可能で、お宝探し感を味わえます。ショーケースの初版コーナーにクイックスターターギフトのポケモン交換おじさんが陳列されていることが多いので注意が必要です。
2. エルドラード
(所在地:東京都千代田区外神田)
おたちゅうと同じ小暮広末ビルの6Fにあります。2021年の秋ごろから旧裏面カードの取り扱いをするようになりました。コレクター向けの価格設定なので、1000円~の値段設定が多いです。基本的に美品はコモン●で3000円~になります。値札にA~Dの状態表記がされているので、わかりやすいです。カードを購入すると折れ防止の厚紙と一緒に封筒に入れて渡してくれます。
3. 駿河屋秋葉原トレカ・ボードゲーム館
(所在地:東京都千代田区外神田)
こちらの店舗も先ほどのおたちゅう、エルドラードのすぐ近くにあります。知名度の高さや通信買取による幅広い買取により、初版カードの入荷も多いです。美品は白い値札ラベル、傷有品は黄色いラベルになっていることが多いです。比較的安価に旧裏面 初版カードを購入することが可能です。ストレージは大量の旧裏面カードがあります。(値札なしカードは1枚30円)
通販サイト:こちらにはかなりの在庫があるのでおススメです。
4. 秋葉原チェルモ
(所在地:東京都千代田区外神田)
昔、旧裏面カードを買う際にかなりお世話になりました。ストレージにある旧裏面カードの数は秋葉原で1番だと思います。移転して秋葉原駅からは少し歩きます。ショーケースに少しだけ初版の取り扱いがあります。2021年春時点ではストレージの値札のない旧裏カードは1枚当たりコモン●が30円、アンコモン◆が50円、レア★が80円でした。
5. Clove Base 秋葉原
(所在地:東京都千代田区神田)
秋葉原駅の電気街口とは反対側のビルにあります。広々とした空間に整然とショーケースが並べられていて、ゆっくりとカードを見ることができます。コレクター向けのカードが多いので値段も高級路線です。コレクションも充実してきて、ワンランク上のカードに手を出したい方におススメです。
通販サイト:こちらにはコレクターからの委託販売品もあり、思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれません…。
6. 晴れる屋2
(所在地:東京都千代田区外神田)
2021年7月にオープンしたポケモンカード専門店です。ポケモンカード専門店なのでもちろん旧裏面 初版カードの取り扱いもあります。お値段は高めですが、その分探していたカードが見つかるかもしれません。店舗前にオリパの自動販売機があり、深夜早朝でも在庫があればカードが買えます。旧裏オリパから初版カードが出てきたという報告もあります。
晴れる屋社長のトモハッピーさんのYoutubeチャンネルで公開されている旧裏初版カードの大量買取動画は一見の価値ありです。
7. トレカの洞窟 タワー店
(所在地:東京都千代田区外神田)
JR秋葉原駅の電気街口を降りてすぐの好立地の店舗です。店舗入って奥の階段を上った2Fに旧裏面 初版カードのショーケースがあります。状態があまり良くないカードは安価で入手できます。
8. BIG MAGIC 池袋店
(所在地:東京都豊島区東池袋)
2021年6月頃に初版買取ツイートがバズったことにより、大量の買取品が店頭に並んだことで盛り上がりました。値段もお手頃なものが多いので、初版をこれから集め始める方にはおススメの店舗です。
9. まんだらけ 渋谷店
(所在地:東京都渋谷区宇田川町)
渋谷駅からセンター街を抜けた先にある秘密基地のようなお店です。タイミング次第ではショーケースの中の初版在庫が充実しています。比較的状態の良いカードが安価で手に入ることがあります。初版に限らず昔のカードなどの取り扱いが多いです。
10. magi 中野ブロードウェイ店
(所在地:東京都中野区中野)
2021年8月に中野ブロードウェイにオープンしたTCG専門フリマアプリmagiの実店舗型ショップです。ショーケースに初版カードが結構並んでいます。オープン後は値札が貼っておらず不便だったのですが、現在では値札が貼られるようになって見やすくなりました。カメラでQRコードを読むとカードの状態を大きな画像で確認でき、店員さんを呼ばなくても詳細確認が出来るのはなかなか便利だなと思いました。
ここでは紹介できなかったお店にもまだまだ取り扱いがある店舗は存在しますので、穴場やお気に入りの店舗を是非探してみてください…!
旧裏面 初版カードコレクションの世界
Twitterで旧裏面 初版カードのコレクションが画像付きでツイートされているものをいくつかご紹介します。PSA鑑定品はまた別の機会に紹介したいと思いますので、今回のツイート紹介からは除外しています。こちらにツイートを掲載したことで、投稿者の方にご不快な思いをさせてしまいましたら申し訳ございません。速やかに掲載削除いたしますのでご連絡下さい。
これから旧裏面 初版カードを集め始める方へ
この記事を読んでいただいているということは、旧裏面 初版に興味を持っていただいているという方が多いかなと思います。また、既にコレクションを充実されている方もいれば、これから集め始めたいと考えている方もいらっしゃると思います。旧裏面 初版カード(エネルギーカードを除く96種類)をコンプリートしたい!とお考えの方へ私からのアドバイスのようなものを書かせていただこうと思いますので、宜しければ読んでいただけると嬉しいです。
その1 旧裏面 初版カードとの出会いは一期一会!
昨今は旧裏面 初版カードに注目が集まってきて、カードショップやフリマサイトなどで見かける機会も増えてきましたが、25年以上前に発売したカードで絶版となったカードです。現在進行形で製造が続けられていて、ポケモンセンターやコンビニなどで購入できる最新のポケモンカードとは事情が異なります。買わずに後で後悔しても時間は元に戻せません。次に出会える機会がいつになるかわからないカードたちですので、悩んだら買い!です。
その2 美品にこだわらずにまずは集めよう
旧裏面 初版カードは高いイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、美品にこだわらなければコモン●、アンコモン◆のカードは100円台から購入できるチャンスがあります。25年も前のカードですし、子供たちが触ってきたカードなので、状態のお察しのものが多いです。美品が流通する機会はめったにありません。そのため、美品カードが店頭に並ぶ際には高額になりがちですし、美品を求めるコレクターの手にすぐ渡ります。一般的に古いカードのコレクターは握力が強いので、一度手にした美品カードが再度流通する可能性はあまり高くないのです。コンプを目指すのであればどんな状態でも良いのでまずは確実に集めていき、良い状態のものが見つかったら差し替えていく…というのが鉄則です。
その3 掘り出し物を狙うなら店に足を運ぼう
旧裏面 初版カードを集めているコレクターは日本のみならず海外にも多く存在します。海外のコレクターはヤフオクやメルカリを見ていて、良いカードがあれば代行業者を通じて購入していきます。日本のコレクターも主要サイトはチェックしていますので、ライバルは多く、掘り出し物は残っていないと考えた方が良いです。入荷時にTwitterなどで告知のある店舗は告知後すぐに購入しないと売り切れてしまいますが、告知なしで入荷する店舗もあり、そのような店舗を見つけてこまめに訪問すると掘り出し物が見つけられます。また、通販やネット上で購入すると、画像では確認できなかった擦り傷や汚れのがあって思っていたより美品ではなかった…とがっかりすることもあるかもしれません。
その4 コンプを目指すならば懐と相談しながら
有名なかいりきリザードンを含めて、旧裏面 初版カードには高額なカードが存在します。かいりきリザードンはそれなりの状態でも20万円以上の価格で取引されますし、★キラカードは少し傷があるものでも1万円以上の価格になります。ポケモンカードブームに乗じて旧裏面 初版カードもどんどん価値が上昇してきています。しかし、カードとの出会いは一期一会ではあるのですが、短期間に焦って集めようとすると、どうしても割高なカードを買うことにもなりますし、ご自身の懐と相談しながらご自身のペースで集めていくことをお勧めします。旧裏面 初版コレクターは同志を歓迎しますので、購入品をTwitterなどでツイートすると全力でいいね!します。
旧裏面 初版カードの偽物は存在するか?
ここまでに旧裏面 初版カードは貴重なカードであると説明しましたが、果たして偽物のカードは存在するのでしょうか?この時期を執筆している2021年11月時点では明確な旧裏面 初版カードの偽物の存在は確認されていないと思われます。しかしながら、旧裏面のカードには通称屋台レアと呼ばれる偽物のカードが存在します。当時、お祭りの怪しい屋台で売られていたくじの景品に使われていたことから、屋台レアと呼ばれています。
上記画像の左側が正規品の旧裏面ポケモンカードで、右側が偽造品の屋台レアです。偽物は一目で見ても印刷が荒く、黄色っぽい印刷になっています。
偽物の拡大画像です。レア加工も正規品とは異なっていて、細かい粒がカード全体に広がっていて、弱く輝くような加工になっています。イメージとしてはコロコロコミック付録のひかるミュウの加工に似ています。全体的に陳腐な見た目になっていて、いかにも偽物だなという印象を受けます。
全面ホロのカードのように、カード全体にキラ加工が施されています。本来のキラ加工が施されているはずのイラスト部分の背景は、印刷されたホロの模様があるだけで、角度を変えても模様は変わりません。
比較用に本物のわるいカイリューの拡大画像も掲載しておきます。本物はクリアな印刷で、キラ加工も角度を変えることではっきりと模様が変わるようになっています。
続いて裏面の比較です。裏面下部のコピーライト表記の箇所を拡大すると、正規品は文字の印刷が濃く、はっきりとしています。一方で偽造品は文字の印刷が薄く、不鮮明になっていることがわかります。
また、偽造品はカードの紙の厚さが違うので、裏側から強い光を当ててカードを透けさせると違いがあります。正規品は紙の厚さがあるため、あまり透けません。偽造品の方は紙が薄く、裏側から強い光を当てるとカードが透けてよく見えてしまいます。
次に旧裏面 初版カードと再版カードを別の視点から見分ける方法はないか考えてみます。なかなか言葉にして説明するのは難しいのですが、初版のカードの裏面は光に反射させると下記画像のような、ワニ革のような模様がわずかに浮かび上がって見えるような気がします。
下の画像は旧裏面初版カードの拡大画像です。カード表面全体にざらざらとしたような凹凸がありますが、この凹凸が周期的な模様(ワニ革)のように見えるような気がします。
次に再版カードの拡大画像です。こちらもカード表面全体にざらざらとしたような凹凸がありますが、周期的な模様には見えず、不連続な模様の凹凸の集まりのように見えると個人的に感じています。
このワニ革のように見える凹凸の模様は手持ちの初版カードに共通して見られる特徴でした。裏面が擦れて状態が悪くなっているものでは確認が難しくなりますが、初版カードを見分ける特徴と言えるかもしれません。もし仮にこの特徴が初版カード特有のものであれば、マーク有無で判別が出来ないエネルギーカードの初版・再版を判別することが可能になりそうです。しかし、この凹凸の特徴を持つカードが初版カードのみなのか、再版カードでも比較的初期に生産されたカードでは同じ特徴を持つのかは不明です。仮に初版・再版を見分ける手段に使えなかったとしても、今後偽物のカードが出てきた際に、正規品と偽物を見分ける手段としては有効ではないでしょうか。
旧裏面 初版カードは誤植だらけ?
旧裏面 初版カードには多くの誤植が存在します。一番有名なのは、リザードンの誤植で、本来リザードンは「かえんポケモン」ですが、なぜか「かいりきポケモン」になっています。身長・体重データも間違っていて、なぜかゴーリキーのデータが使われています。誤植の多くは再版時に訂正されていますが、再版時に訂正されなかったものも存在します。ここでは、再版で訂正された誤植と訂正されなかった誤植を紹介します。
再版で訂正された誤植
(1) 【特種能力】⇒【特殊能力】
一部の★レアポケモンが持っていた、【特種能力】が【特殊能力】に訂正されました。対象ポケモンはフシギバナ、リザードン、カメックス、フーディン、カイリキー、マルマインの6体です。
(2) 「かいりきポケモン」⇒「かえんポケモン」
上で紹介しましたが、リザードンは本来「かえんポケモン」ですが、なぜか「かいりきポケモン」になってしまっていました。「かいりきポケモン:身長1.5m、体重70.5kg」が本来の「かえんポケモン:身長1.7m、体重90.5kg」に訂正されました。
(3) 図鑑ナンバーの訂正
フシギバナの図鑑ナンバーがNo.068(カイリキー)になっているのと、ライチュウの図鑑ナンバーがNo.025(ピカチュウ)になってしまっていました。それぞれ本来の図鑑ナンバーのNo.003とNo.026に訂正されました。
(4) ゴースのわざ 「みちずれ」⇒「みちづれ」
ゴースが持つわざの名前が「みちずれ」から「みちづれ」に訂正されています。わざ名を漢字で書くと"道連れ"なので、正しい日本語に直されました。
再版で訂正されなかった誤植
(1) 「 炎」エネルギーカード
まずは下記のヒトカゲとリザードの初版カードをご覧ください。
注目して頂きたいのはわざ欄にある文章です。どちらも書かれている文章の内容は同じなのですが、なぜか「炎」エネルギーカードの記述のところでリザードの方には不自然なスペースがあります。これと同じ謎のスペースはキュウコン、ウィンディのカードにもあります。
(2) ニドラン♂ つのでつつく
ニドラン♂が使えるわざの「つのでつつく」ですが、原作のゲーム版では「つのでつく」として登場します。その後、ポケモンジャングルで登場するサイホーン、サイドン、トサキント、アズマオウが使えるわざは「つのでつく」に変更されました。しかし、カスミのトサキントのわざとして再度「つのでつつく」が登場します。果たして同じわざと考えて良いのでしょうか?
(3) ウィンディ
でんせつポケモンのウインディ。カード名は「ウィンディ」と書かれていますが、正しくは「ウインディ」です。(イは大きい) 右下の説明欄には、「中国の言い伝えのある伝説のポケモン。」と記載がありますが、こちらも少し日本語が変な気がします。「中国の言い伝えにある伝説のポケモン。」の方がしっくり来る気がしませんか?
(4) ユンゲラー
右下の説明欄に「超能力少年がベットから目覚めると…」とありますが、正しくは「超能力少年がベッドから目覚めると…」ですね。寝具は英語だとBedなので、ベットは誤りです。
(5) ブーバー ほのおパンチ
ブーバーが使えるわざの「ほのおパンチ」ですが、原作のゲーム版では「ほのおのパンチ」として登場します。ブーバーは20th Anniversaryで復刻しましたが、そこでも変わらず「ほのおパンチ」のままでした。公式の見解としては誤植ではないということでしょうかね…。
(6) ハクリュウ
ウィンディと同じくポケモンの名前の誤植です。正しくはハクリューです。紛らわしいとはいえ、名前を間違えられるのは不憫ですね…。
(7) ミュウツー
右下の説明欄に「研究ために…」とありますが、正しくは「研究のために…」です。ミュウツーも20th Anniversaryで復興していますが、こちらは「研究のために…」と誤記が訂正されました。
おわりに
旧裏面 初版カードについて書きたいことを自由に書き連ねたら総文字数10,000文字を超える長い記事となってしまいました。2021年に25周年を迎えたポケモンカードゲームの原点と言える旧裏面 初版カードは昨今、注目度が高まってきていますが、これを機にもっと多くの方に魅力を知って頂けると嬉しいなと思います。旧裏面 初版カードはポケモンカードゲームないしはトレーディングカードゲームがここまで発展してきた歴史を語るうえで欠かせない重要な文化的財産でもあります。初版カードを所持しているコレクターはこの文化的財産を後世に残していくという使命もあると考えています。コレクションカードの保管という視点で、PSA鑑定やBGS鑑定の需要も高まってきており、鑑定品の話も絡めてご紹介するべきだったと思うのですが、PSA鑑定については別の機会で詳しく紹介したいと考えていたため、今回はあえて触れませんでした。今後は初版の美品を集めようとするとPSA鑑定品は避けて通れなくなると考えていますが、まずは初版コレクションの導入記事として今回の内容としました。コ口ナ禍によりトレーディングカード界隈では投資や高騰予想などの言葉が飛び交うようになりましたが、アフターコロナの時代に果たしてどんな世界が待っているのかは現時点では誰にもわかりません。コレクターとしては、後で後悔することが無いように自分の信念を持ってコレクションを続けていきたいと思うばかりです。
次回予告
次回は、旧裏面カードやカードダス・トップサンのポケモンカードを求めて地方のリサイクルショップやカードショップを巡る記録 「旧裏探訪 北海道篇」をお送りします。果たして地方ショップに懐かしのカードはまだ存在するのか!お楽しみに…!