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KAAT神奈川芸術劇場でのラボラトリーはなんだったか<1>

これは私個人のことだけど、美術史を学んで美術館キュレイターになりたいと思って、ポストが少なくて諦めざるをえず、新聞社に就職して事業局でようやく、美術展運営に携わることができた。
小さいころから画集を見るのが好きで、絵の、平面の世界が好きだった。
なのに唐突に現代サーカスに出逢い、美術がどこかに吹っ飛ぶくらい、サーカスに没入していった。
いま、舞台芸術をやっていますなんて言うけど、じっさい、現代サーカス以外の舞台芸術はほとんど何も知らなかった。劇場の機構や、ほかの舞台芸術の創作の仕方、公演の仕方は全くといってよいほど知らなかった。
他の舞台芸術界と別の、真っ白な画用紙に落とされた絵具である現代サーカスは、萌芽期の1980年代から「総合芸術」を展望して育てられた。サーカス技術は必須の要素だけれど、それ以外のあらゆる表現活動が受け入れられ、「型」はなかった。
何でもあり!どんな玩具も手に取り放題だよと言われた子どものように、1990年代の現代サーカスアーティストは、とにかく好き勝手、360°自由自在、思いつく限りのことを試した。
助成金は沢山あったし、受け取るカンパニー数はまだ少なかった…。
まさに、地上の楽園のようだった。
きっと、そうだったと思う。

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