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真に開かれた美術館を目指して・・・・ 「金沢21世紀美術館」(2004年開館)
(「新・美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2020.11.14> 主な解説より引用)
「奇跡の美術館」とも呼ばれている「金沢21世紀美術館」。2018年の来館入場者数は258万人を数える。コロナ禍の今でも、来館者は絶えないという。何が人をこの美術館に引きつけるのか・・・
島 敦彦館長は語る。「人々の心をつかむアートがある。お客様にとっても、実物に触れることがいかに切実なのか。今回のコロナで再発見されたのでは」と。
現代アートで輝く金沢21世紀美術館は、兼六園に隣接し、金沢駅からもアクセスが良いこともあるが、驚異的な集客の一つには、企画展やイベント展以上に、常時展示されている「常設作品」にこそ、その秘密があるという。
主な常設作品は、その全てが建物との一体化を意識して、企画設計段階から組み込まれていったというが、公立の市立美術館にしては、これは「画期的」を遥かに超える「革命的」な展示手法であり、整備手法でもあったに違いない。普通の発想では、「ありえない企画」である。
建築設計に携わったのは、妹島和世氏+西沢立衛氏による建築家ユニット 「 SANAA」、金沢21世紀美術館の設計・建築は、日本建築学会賞作品賞(1996年 2004年)、ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展金獅子賞(2004年)、同プリッカー賞(2010年)に輝いている。
◯「スイミングプール」(レアンドロ・エルリッヒ作 2004年)
プールの中は、いわばステージ。中に人がいて、体験して初めて作品が成り立つ作品。
◯「Origine du Monde (世界の起源)」(アニッシュ・カプーア作 2004年)
「知覚の揺さぶり」を感じさせるブラックホールのような黒い穴の存在について、同館チーフ・キュレーターの黒澤浩美さんは、「ものが行き着いた先に、光が届き切らずに消滅してしまうので、深さがわからないという視覚的な仕組みを利用している」と語る。
◯「緑の橋」(パトリック・ブラン 2004年)
100種類もの植物を、本来は地面に植えるべきところ、壁のように垂直に植えた「垂直庭園」として植樹し、開館以降今もなお、成長・増殖を続けている。
◯「カラー・アクティビティ・ハウス」(オラファー・エリアソン 2010年)
色の3原色、シアン、マゼンタ、イエローの色ガラスの壁が、一点を中心に渦巻き状のパピリオンを形成している作品である。見る場所や見る人の動きによって、光の領域が混じり合い、異なる色を通して、人と風景に偶然の出会いをもたらしている。
前・副館長の黒澤伸さんは、「金沢市は、最初の図面を作り始める時点で、将来運営に携わる学芸員を雇い入れました。それで設計者と一体となって、建物自体を作っていく<コミッション・ワーク>の手法を導入し選定しました。公立の美術館としては、すごく珍しい作られ方でした」と。
「現代アートには客が入らない」「伝統的な街にそぐわない」「どうせ失敗に終わる」
同館の敷地内に開館に漕ぎ着けるまでには、並々ならぬ相当な「反対論」も、あちこちから渦巻いていたという。
蓋を開けたら、開館1年目の来館目標者数は、30万人程度としていたところ、入館者数の実績は、約5倍を超える157万人となった。
スイミングプールの作者エルリッヒ氏は語る。「このようなインスタレーション作品を常設作品に組み込もうという美術館側の決断が、どれだけ大きいものであったか。このプロジェクトを支持してくれた全ての人々の熱意と先見の明の証です」と。
この美術館を取り囲む街中の市民が集うあらゆる拠点に、アート展示スペースを広げようとする「KAMU」の皆さんによる活動も一部紹介された。
KAMU Center(2020.6月オープン)、KAMU skyおよびKAMU Black Black(2020.10.24オープン)などである。
アートトラベラーの寺島しのぶさんは、「なにか拠り所、なにか寄り添ってくれる感じ。自分の目で見て、自分の心で感じるっていうこと。感情を動かしていくことが、生きていくっていうことにつながる・・・」と感想を述べた。
(番組を視聴しての私の感想コメント)
京都芸術大学の学友の一人が、卒業研究レポートで「金沢21世紀美術館」を取り上げていたのを思い出した。
私自身は、残念ながらまだ訪れていない美術館ではあるが、コロナが終息したら、角川武蔵野ミュージアムの全面開館(2010年秋 東京・所沢市)同様に、真っ先に訪れてみたいミュージアムの1つになった。
今回特に印象に残った点(感想と意見と提案)を、3点あげてみる。
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