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噴水でローマを劇場都市に変貌    「トレビの泉」 (ニコラ・サルヴィ 1762年作)

<「美の巨人たち」放映番組(2016.4.2) 本作品解説より引用>

 市内には、およそ5,000の噴水がある。そんな中でも、おそらく世界で最も有名な噴水であろう「トレビの泉」。

   ポーリ宮殿の壁と一体となったデザイン。中央に水を司さどるネプチューン(ポセイドン)、左に豊饒の女神ケレス(デメテル)、右に健康の女神サルス(ヒュギエイア)が配置されている。

 また、この泉の水源でもある、全長20キロの「ヴェルジネ水道」は、約2,000年も前から、変わらぬ水源として、今でも機能している。

   さらに市内の至るところに、ベルニーニ作の彫像が建てられている。「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」という格言が残されるくらい、市内の至るところで目にする。

<番組を視聴しての私の主な感想コメント>

 「トレビの泉」で最も印象に残ったのは、「流れる水」そのものを都市の舞台装置とした点。ドラマチックであり、個性的であり、マイナスイオンを市内の中心地で浴びられるその水量は、1日8万トンにもおよぶという。

  ライフラインのひとつでもある「水」は、「空気」などと同じように、「あって当たり前」のものではある。

   しかし、最古の都市の歴史を振り返っても、「水」との共存を、芸術にして演出してしまう住む者にとっての「アート志向」の試みは、時代と時間を超える「生活価値」のひとつといえるのではないか。

    ふと、京都の「洛水庭園」(1909年 小川治兵衛 作)を思い浮かべた。 

観る側の姿勢や感性・美意識が問われることでもあるが、五感で味わう庭園と同じように、訪れるだれもが「トレビの泉」も五感で味わう「泉」であってほしい。

 都市としてのローマは、歴史遺産がその都市と日常の風景に溶け込むように共存している。まさに「劇場都市」と言われる所以でもある。

 日本ではどうか。京都、奈良、鎌倉などがすぐに思い浮かぶ。

   それよりも、これからの500年〜1000年を展望して、未来遺産<レガシー>として継承できるものを、どれだけ持ち合わせているのだろう。独自に創造できているのだろうか。

 2020東京オリンピック・パラリンピックでも、「真の未来遺産<レガシー>とは」として今を生きる我々に、まさに問われているテーマでもあると感じた。

写真: 「美の巨人たち」テレビ東京放映番組(2016.4.2)より転載

(同番組視聴者センターより許諾済) 

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