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忘れえぬ 忘れえぬ【観劇/感想】

2021.4.21(水) 12:15会場 13:00開演
坂本裕二 朗読劇2021「忘れえぬ 忘れえぬ」、「初恋」と「不倫」
 松岡茉優さん、風間俊介さんの回

観に行ってきました。個人的な忘備録。
この情勢的にどうなんだ、とかいろいろあると思いますが、それは置いておく。

私が自分で申し込んで観劇にいくのは、おそらく2回目。ツイッターでふとこの朗読劇の情報を目にしたのがこの公演を知るきっかけだった。もともと坂本裕二さんの名前は何となく知っていた。「カルテット」や「anone」「Mother」「Woman」など、よくわからないけどすごく好きになる・気になってしまうドラマは坂本裕二さん脚本であることが多かった。ちょっと調べてみると、「坂本裕二節」のような言い回しを目にしたしちょっと独特な世界観はこの人ならではなのかと納得した。その坂本裕二節を堪能できる朗読劇、考えただけでワクワクした。
さらにこの公演に出演する方々はそうそうたるメンバーで、これは是非観たいと思ったのと同時にチケットを取るのには相当な運が必要だと覚悟もした。

先行抽選では申し込んだ回はすべて外れ。
一般販売では見たときには全公演売り切れ。
追加抽選でやっと1公演、席が取れた。

12:40頃会場に着き、思いのほか前の方のほぼど真ん中の席に座った。

「おい おまえ」
静かな雰囲気の中、この一言で一気に物語の中に入っていった。イメージの中にある風間俊介さんの優しい雰囲気とは違った、とげとげしい声だった。

「おい、おまえ様」
ちょっとツンとしているけど聡明さもある声で松岡茉優さんが答えた。文句を並べながら、しっかり返事はする。どこか憎めない素敵な子だと感じた。

物語が進むにつれて、彼らがどんなところで過ごし、どんな色を見ているのか舞台上に自然と見えてきた。そして会話の中で色や景色の情報が多いのは朗読劇だからではなく、彼らが耳が聞こえないからだろうと思いついた時はちょっと切なくなった。
普段私が使っている擬音語は実際の音を真似ているものとイメージで表現しているものがあるのにも初めて気づいた。湖面が西日に照らされて「キラキラ鳴っている」という表現、彼らの中では間違いなく鳴っているし、聞こえているのだと思う。あまりにも綺麗な響きで涙が出そうになった。

結論から言うと、今のところ、私にはちょっと難しい物語でたぶん話のすべては楽しめていない。それでも、すごく惹き込まれたし素敵な時間だった。情景が目に浮かんで、モリくんとキオちゃんがそこに居た。幼い頃に一緒に過ごしたあの何とも言えない感覚は、私にもあり今でも特別だと感じる。少しの行き違いが、どちらの気持ちも分かるし、どうしようもないし、見守ることしかできなくて悲しかった。

明確すぎる結末は無かったと思う。いろんな解釈ができる話だったと思う。でもそれが、リアルというか二人を身近に感じられて一緒に時間を過ごした気持ちになった。あの後彼らはどう過ごしていくんだろう、できれば静かに少しの幸せと温かい言葉と一緒に過ごしてほしいと思う。西日を見る度にしばらくは彼らのことを考えてしまうだろう。

ああ送れなかったんだなと思っていたメール、あとになって送っていたんだと知り、返事が返ってきた時。そこで結末を迎える展開も世の中にはある。でもそこで終わらず、そうだよな、そうは行かないよな、と思う二人だった。

物語終盤、風間俊介さんが涙を読み上げていく姿がとてもかっこよかった。

カーテンコールは確か3回?だったかな?このご時世だからか、特に話したりせずに手を振って挨拶して終わりだった。アイコンタクトして、笑いながら去っていく姿が印象的だった。

松岡茉優さん、緑の髪色似合ってたなー。ふんわり笑う方だけど、凛とした声をしていてすごく素敵だった。

本当に素敵な時間だった。
書籍が発売されたら買ってまたあの時間に戻りたいと思う。初恋と不倫、の方はしばらくしてから買おうかな。

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