まえがき

先日、会社で朝礼時のスピーチ当番が回ってきた。
話すことがお世辞にも上手いとは言えない私は、3日前くらいから何を話そうか、仕事中もずっと考えてしまうほど憂鬱だった。

どことなく気だるい雰囲気で行われる朝礼だし、真面目に聞いている人は社内の半分もいないんじゃないかとは思う、適当にやってしまえばいいのだけれど私は社内では普段口数も少ない方で、ここで発した言葉が他人の中での私の人格形成に関わるのではとか、無駄なことを考えてしまいぐるぐるしていた。

結局朝礼では、大学時代に出会った今でも大好きな映画について話した。
たぶん、それなりに、そつなくこなせたと思う。出社前にシャワーを浴びながらイメトレした成果が少しはあった。

どれだけの人が真面目にきいてくれて聞いてくれていたか分からないけれど、その朝礼が終わった直後にお喋りで居酒屋の店員みたいな人に、誰にでも気さくに明るく話せる人という意味、「自分もその映画好きなんですよ!」と話しかけられた。
けれど、私は憂鬱な朝礼から開放されたい気持ちで一杯で、しかも重度のコミュ障なせいもあり、たいした返事もできず変な空気になってしまった。
その映画の監督さんが好きで他にもいろいろ見ていること、他にもおすすめあるかとかも話したかった。今でも思い出してへこんでいる。

朝礼自体はまあまあだったけど、なーんかなあ、上手く返せよな自分、という気分でその日は退社。

帰りのエレベーターで他部署の方と一緒になった。

弊社のエレベーターは四人も乗ったら狭くなるくらいの小さめのエレベーターのため、基本相乗りはしないようにしている。理由はもちろん気まずいから、というものだけど、こうやって字に表すと自分の社交性のなさに笑えてくる。

タイミングが良いのか悪いのか、ちょうどエレベーターが到着したところで前を通りかかってしまい、乗らないとさすがに変だなと判断していつものように階段へは向かわずにエレベーターに乗った。私と他部署の女性の二人だった。

気まずい。なにか話さないといけないか?でも話題もない。何もこの人について知らない。とかいろいろ一瞬の内に考えていたら、ふとその女性が「今日、朝礼で映画の話してましたよね。」と話しかけてくれた。

かなり嬉しい。話し掛けてくれたこと、内容を覚えていてもらえたこと、どちらも嬉しかった。

「映画のタイトルなんでしたっけ?おもしろそうだから見てみたいって思って」とさらに続いた。

嬉しい言葉が続いて一気に気分の良くなった私は、映画のタイトルを教えプレゼンをちょっとだけして別れた。犬だったら尻尾がぶんぶんなってたと思う。


自分が思っている以上に、自分が好きなものに興味をもってもらえたことが嬉しくて衝撃を受けた。これまでだって、同じような経験がなかった訳じゃないし、いろいろ共有してきたと思う。でもなぜか今回すごく自分の中で響くものがあった。

今この世の中で直接人と話すことが少なくなったと思う。お酒を飲みながら、好きなものの話。つい力が入って声が少し大きくなって、ジョッキをテーブルにドンと置いて喋る、みたいなの暫くやってない。やりたい。

私は映画を見るのが好きだ。
たくさん見てるのか、と言われると全くそんなことないけど、平均値を50としたら57くらい好き。こだわりもそんなにない。詳しいわけでもない。けど、好きなものを共有したい欲が自分に結構あることを知った。

そんなわけで、観た映画についてこれから書こうと思う。映画レポ的なやつありすぎるし読まれるか分からんけど。

飽き性の私が今回はどれだけ続くのか。

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