あんのこと【映画/感想】
Prime Videoで配信開始されていたので今日観た。本当は映画館で見たかったけど、どうしても都合が合わなくて行けなかった作品。
どこか別世界だけど、近くにもある、不思議な感覚だった。
私が小学生の頃、同級生で不登校になっていった子たちと照らし合わせてしまった。繰り上がりでその子達と同じ中学校に在籍していたけど、不登校の子の数は減ることはなく、少しずつ増えていった。学校に来るのは年に3回あればいい方だった気がする。卒業式だけは担任の先生たちが無理矢理揃えてた。
もうそれが私達の日常だったから、当時何とも思っていないし話題にもならなかったけど、今思うと普通じゃなかったと思う。
あの人たちは今どうしているんだろうか。
杏ちゃんの髪型がいわゆるプリンになっているところに始め、どきどきした。髪の毛を染めようって思いついて染めるんだけどメンテナンスが行き届かないから染め直しまでいかない、というか。
そのせいで色落ちがどんどん進んで色がガビガビになっていく過程が見えた。そこにいる人だ、と感じた。
実家のごみの様子にもリアルさを感じた。
分別まではするんだよな、だけど捨てに行けない、捨てに行こうと思うけど、その曜日に出しに行けない。忘れたり、次でいいやとか後回しになったり。
私達自身がだめになった時と重なった。
ゴミ袋には入れてるし、不衛生じゃないからまだセーフとか思ってたんだよね。捨てたいんだけど、そこまてリソース回らない感じ。
コロナの前兆にもざわざわした。だんだん人と合わなくなっていく、物理的にも心理的にも閉鎖的な状態にならざる得なかった時期。うまくやっていけた人たちもいたと思うけど、私はできなかった側だったから、辛さを思い出した。あの時期しか今後味わうことないんだろうな、じわじわ自分の範囲が狭まっていく感覚がなにより辛くて怖かった。
つきなみだけど、人との繋がりって必要なんだなと感じた。一人暮らししてる時期に通っていたコンビニのおそらく店長さんに顔を覚えられてて、特に会話はないけど、挨拶に「いつもありがとうございます」って言われてたの嬉しかったんだよな。私がここで生活をしていて、それを知ってる人がいてくれてるというのが嬉しかった。1人ぼっちじゃないと思えたのが嬉しかった。
今、特に都心部で一人暮らしすると隣の部屋にどんな人が住んでるか、人数・性別までも知らないままだったりすると思う。時々聞こえてくる物音で生活リズムをなんとなく把握してるぐらいだと思う。
近所付き合いって本当に面倒くさいし、できるだけ遠巻きにしたいけど、自分のことを知ってて、たまに気にかけてくれる人って必要だと思った。他人から認知されてるって案外支えになる。
この映画のラストにそんなことを考えさせられました。