「ちょっと待った」のススメ
「これはいいかもしれない!」というアイデアが閃くと、すぐにでも実行したくなることがあります。
お店だと、新商品やイベント企画、レイアウト変更など、閃きの波に乗る勢いで進めるものの、思い描いたような反応や状況が得られない、ということも少なくありません。
閃いたときにオススメしたい、教訓も含めた「ちょっと待った」について。
逸る気持ちにこそブレーキをかける。
売り手と買い手の新しい出会い方を考えるべく、「売り場ではなく、試す場」というアイデアを閃いた私は、このアイデアは展開次第で日本中の売り場を変える仕組みができる、と逸る気持ちが抑えきれずにいました。
「ちょっと待った」
誰に何を言われても進めるつもりでいた私が、企画にブレーキをかけた理由は2つあります。
反応の正体を見極める。
1つ目は、反響の読み違いを認識したこと。
ありがたいことに、先述したアイデアのきっかけを綴った記事には多くの「いいね」をいただいています。
しかし具体的アイデア「試す場」の記事は、前記事ほどの反響ではありません(閲覧母数の違いはありますが)。
人の反応には2パターンあり、どちらの立場から反応してくれているのかを見極める必要があったのです。
【課題解決における共感の立場】
(1)課題そのものへの共感
(2)解決アイデアへの共感
課題共感の場合、解決への期待表明が大半であり、解決方法によっては共感できない場合もあります。一方で、解決アイデア共感の場合、アイデアのブラッシュアップが重要です。
今回の場合は、課題への共感が多数。
ニーズはあってもジャストアイデアが本当にベストなのか、冷静に世間の反応を見極めるタイミングとなりました。
課題の解像度をあげる。
2つ目は、「ちょっと待った」の声をいただいたこと。
懐疑的な意見にも向き合うと決めていたものの、「手法(試す)が具体的すぎる」という、アイデアの骨子を見直す意見には正直気が進みませんでした。理解してもらえなくてもいい、なんて思いながら落ち込みもしつつ、気にしてしまう性格なので振り返ってみました。
すると、試す場が楽しく、来たくなる要素は何か、と細かいディテールばかりを最近は追っていたことに気づきました。
改めて俯瞰してみると、売り場には、売り手と買い手の関係を変える要素が大きく3つあります。
【売り手と買い手の関係を変える要素】
(1)場所のあり方
(2)人のあり方
(3)コンテンツのあり方
試す、はコンテンツとしてのアイデアです。
もしかすると、売り手または買い手のスタンスの改善によっても関係性は変えられるかもしれません。(例えば入店時に挨拶が成立すれば、関係は変わるのか、など)
現場の解像度と課題の解像度をあげること。
閃きに固執していると無視しがちな要素をもう一度探ってみたいと思っています。
閃きは消えない。
私が「ちょっと待った」をオススメするのは、閃きは消えない、という確信があるからです。行動したい、という熱量はかけがえのないもので、悩む前に動けることはとても重要です。
それでも回り道というのは、閃きの影になった可能性を探ることでもあり、閃きに戻ってくることも許してくれます。
世の中の流れや気持ちの変化は速いからこそ、「ちょっと待った」という視点で思考や行動を見つめてみると新しい発見があるかも、しれません。