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今月のせとかわ Vol.8 制服を着た私たちは無敵だった

初めまして、クミコと申します。生まれ育ちは倉敷・児島、大学進学を機に上京し、今は社会人もうすぐ2年目です。大学を卒業するころにコロナが流行りだしてしまい、地元には1年ほど帰れていません。うどんと瀬戸内海が恋しいです。

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はやくももう3月ということで、出会いと別れの季節…卒業シーズンですね。
今回せとかわさんで何か書かせていただけるというお話をいただき、私が瀬戸内を離れて外から見つめなおしてみて、私なりに「かわいい、いとしい」と思うものを最近再発見しました。それは「学生服・制服」です。

児島は繊維、そして学生服の街

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児島は古くから繊維の街で、ジーンズ関連のお店が連なるジーンズストリートや染色工場、工房、衣料品関係の会社などがたくさんあります。母も学校用ジャージなどを作る会社で働いていたし、地元の歴史や産業を学ぶ授業でも必ず繊維の話が出てくるし、ジーンズの工場見学は小学校の目の前だったし、児島のせんい祭は毎年行っていました。

そんな中で私の最も身近に存在していたのはやはり「制服」。児島の学生服は全国でもナンバーワンのシェアだと聞きます。近所には学生服の歴史を学べる記念館なんかもあります。
そのため公立の小学生も制服を着ます。私は小学校ではセーラー服やサスペンダースカート、スカーフ、えんじ色のつば広帽子。中高ではブレザー、リボン、セーラー服を着ました。どれも可愛かったな。

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中高は吹奏楽部だったのでとにかく毎日練習があって、ほぼ制服しか着ていませんでした。いざ遊ぶぞ!となると私服に困るぐらい…。そのため、岡山で過ごした18年間の想い出はどうしても制服を切り離しては語れません。

青春は制服と共に

初めて採寸した時の「これから新しい世界に行くんだ」と緊張する感じ。着なれない制服に身を包んで教室で「友達出来るかな」とソワソワしている感じ。スカーフをうまく結べなくて、皆で結び合いっこする感じ。
みんな黒靴下なのに1人だけ白靴下を履いてきた時の恥ずい感じ。夏に下着が透けてないか鏡でチェックする感じ。少しでもおしゃれに着こなしたくて、半袖を折り、ブレザーの前は閉めず、ボタンを開け、リボンを下げ、スカートを数センチ切って、先生に怒られる感じ。校則ギリギリのカラーカーディガンとか着ちゃう感じ。(この辺は大体明るくて可愛い女子の話。私は膝下スカートだった。)

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補講中に突然、閉めていたブレザーの第2ボタンが弾け飛んで大笑いしたこともあったし、寒いのに頑なにタイツは履かず、脚丸出しでチャリを漕いだり。冬場はセーラー服の大きな襟にみんなで手を突っ込んで暖を取るのがあるあるで、それが何人も連なって蛇みたいになっていた。友達は彼氏や好きな人から第2ボタンを貰えなくて凹んでいた。

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児島駅から毎朝見える海が輝いていたり。桜並木をチャリで通学したり。終わらなかった宿題を朝早く来て教室で終わらせたり。部活終わりにチャリでイオンまで行って、プリクラ撮ったりショッピングしたり。瀬戸大橋線で初恋の人の制服姿を見つけてときめいたり。友達の家でBBQや花火をしたり。テスト期間なのに公園で全力でブランコを漕ぎまくったり。勉強のために図書館に行ったはずが、散歩がてら行った美観地区観光が楽しすぎたり。受験の願掛けに皆で神社に行ったり。演奏会も習い事も冠婚葬祭も、思い出される景色にいる自分はほとんど制服姿なのです。

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制服を着た私たちは無敵だった

思い返すと、どれも取り止めもない日常であり、印象的な出来事というわけでもないけど、でもふと思い出した時にいとしさが込み上げるような瞬間でもあると思います。
皆といられればそれが全てだった日々。何が面白いのか分からないけど、とにかく面白くてずっと笑ってた日々。目の前のことに精一杯食らいついて、全てのことに全力で一喜一憂していた日々。小さなことでも大事件だった、慌ただしい日々。思い返すと、なんだかあの頃の私たちは“無敵”だったな、と思いました。

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もうあの頃には戻れないけど

そしていま、24歳になった私は、「毎日あんなに飽きるほど制服を着ていたのに、もう制服を着て過ごす日々は戻ってこないんだ、もう制服を着ることは出来ないんだ…」と思うと悲しくなりました。そしてたまに「あ~あ、女子高生になりたい。」と思います。おそらく、女子高生の時のあのなんともいえない“無敵感”みたいなのに、ノスタルジーと羨ましさを感じているのでしょう。

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大学生の頃、制服を可愛く着こなして、友達とテーマパークに行ったこともあったけど、それはもうコスプレでしかなくて、そこにはもう青春みたいな、生々しい若さみたいなのはなくて。制服は10代までの限られた期間の特権で、ダサかったし完璧じゃないんだけど、無敵だったあの日々そのものに、私はいとおしさを感じていたんだと最近気づきました。
私の瀬戸内での生活そのものが私にとっての青春であり、それは制服に詰まっていたんだなと思いました。もうあの頃には戻れないけど、あのいとおしかった日々を忘れないように、ここに記しておこうと思います。

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