Share Re Green - 農の文化・はたらきを日常に取り戻す - 立ち上げ
はじめまして。
Share Re Green 代表の瀬戸山匠です。
早速ですが、2019年 1月20日、ラオスの農村のような「応援し合える関係性」を日本の地域社会につくることを目的に掲げ、Share Re Greenという組織を立ち上げました。
僕は、大学2年生のとき、東南アジアのラオスという国で「小学校を改築する」という活動をはじめました。その当時、東日本大震災のすぐあとというタイミングでもあり、国際協力系のボランティアが盛んで、特に「学校を建てる」という活動は、まさにテンプレートのように流行っていました。
約1年半、改築活動に没頭し、無事学校が建って周りを見渡すと、その流行は過ぎ去り、多くの人たちは次のステップへと進んでいました。
僕はといえば、その後インターンを経て社会人になりながらも、いまも相変わらず年に2回はその村に通い、気づけば8年の関わりになりました。
その関わりの中で、ラオスの農村で飛び交う貨幣ではない「贈与」で成り立つ経済の在り方や、何かやろうとしてときに応援し合える関係性に衝撃を受け、その仕組みを、貨幣経済が進む日本の地域社会に、どのように取り込めるのかを真剣に考えはじめ、Share Re Greenを設立するに至りました。
Share Re Greenのコミュニティ観
Share Re Greenでは、コミュニティにおいて「応援し合える関係性」を築くために、「コト」の贈与経済を促進します。
よく、「世の中の進化はスパイラル状に進む」という話を聞きますが、いまのつながりが希薄になった時代において、「贈与」という行為は希少になっているように感じます。「贈与経済」とは、ただ誰かに何かをプレゼントするだけでなく、相手からのプレゼントを受け取る義務が生じ、そのプレゼントに対して「返礼をする」義務があるという、「契約」ではなく「儀礼」をベースにした経済の在り方です。
この「贈与経済」は、貨幣が主流になる前の時代、世界中で当たり前のように根付いていました。しかし、時代の流れで、貨幣が物神化することで、贈与経済の存在は文化から薄れていきました。
しかし、ラオスの農村では、貨幣が浸透してきているいまでも、贈与経済をベースとした地域社会が当たり前のように存在しています。その背景には、強い宗教観や、経済発展の速度の違いもあり、おそらくいまの若い世代にはめんどくささを感じている人も多いことでしょう。
現在の日本の経済の中で、「贈与経済」と声高に叫んでも、なかなか響きづらい。でも、地域社会の中ではいまもその文化の根底は残っており、その片鱗は、ネガティブな言葉で表現されることが多いように感じます。要するに、贈与経済はめんどくさいのです。しかし、その「贈与」の文化が強く残っているラオスの農村で感じたあの心地よさ、無条件の安心感は、決してネガティブなものではありませんでした。
だから、半周遅れのトップランナーであるラオスの農村から学んだ贈与経済の在り方を、このShare Re Greenという小さなコミュニティで導入し、試してみたい。スパイラルを意識して、あえて「コト」というキーワードを強調し、プロジェクトの枠を超えた知識や技術、つながり、才能の贈与経済が起きる仕組みを散りばめていきます。
農/農村の文化・仕組み・行動を日常に取り込む "Agrification"
人間が農耕を始めてから約1万年。短く見積もっても産業革命までの長い間、私たちの先祖は長い間、農耕を中心とした農的暮らしを営んできました。DNAレベルで刻み込まれた環境、暮らしが劇的に変わってから約150年。その急激な変化に、さまざまな歪みが生じ、多くの課題があらわになっています。
近年、日本でも「農的暮らし」という言葉を耳にするようになってきました。ドイツのクラインガルテン、ロシアのダーチャなど、欧米で根付く週末農業の文化に注目があつまり、市民農園というかたちで郊外を中心に実践されています。
しかし、市民農園の利用者の多くは60歳以上の高齢者で、最も多くの課題を抱えている生産者世代や子供たちは、農的暮らしとのつながりを持たない。現代の人々の暮らしは、はたらく日と休日の2層構造になっています。多くの場合、はたらく日は5~6日、休日は1~2日。睡眠時間を抜いて、1日の7割は働いている状態らしい。
仮に、週末農業が忙しい生産者世代にも開けてきたとしても、暮らしの7割は現代的な忙しい状況の中にさらされる。この現代的な状態は、人間の長い歴史から見ると、「不自然」ではないでしょうか。
そして、その「不自然」が、前述したさまざまな歪みを生んでいるのでは。よって、暮らしの7割である、「はたらく」という行為に、「農」「農村」の要素を組み合わせて、より自然な状態にアップデートすることが、「歪み」を改善する一助になると考えています。
Share Re Greenがラオスの農村のような「応援し合える関係性」を日本の地域社会につくるために、その農村の基盤である「農」を日常に取り込むことが重要だと思っています。
その「農を日常に取り込む」とは、単にプランターで野菜を育てることでも、野菜を毎日食べることだけでもないのではないでしょうか。
私たち人間のDNAには、農耕民族としての記憶が刻まれている。
だから、その文化や仕組みなどの要素を日常に組み合わせることで、不自然な状態を自然な状態に、アップデートする"Agrification=農化"を推進し、世の中、社会を少しでも良くしていきます。
※ "Agrification" は、Gamification(ゲーム化)という言葉を参考にした、造語です。
忙しくて「消費」になってしまいがちな朝食を、コミュニケーション溢れる「楽しみ」な時間に。野菜ペーストでつくった「やさいクリーム」を開発し、パンに絵を描く「やさいのキャンパス」という「美味しい絵の具」のようなプロダクトを開発中。いつかはラオスのフォーサイ村で製造したい!