『断易ナビ』~勝負占から学ぶ鬼谷古法断易の教科書
1 基礎を砕いて覚える
1‐1 勝負占は当てモノです
易の修行の初歩に「勝負占」があります。
つまり「当てモノ」。ギャンブルの予想です。当てモノで出した卦を復習しながら、人様を占う時の技術を磨いていきます。目的は「用爻の強さ」を知るためです。
断易の占いにはいくつもの分野があって、『勝負占』は『功名占』の応用になります。
功名占とは、「仕事で成功するか」を占う分野です。会社員が自営を始めてうまくいくか、新しいお店を開いてうまくいくか、製作物は売れるか、など「成功するか否か」を占います。
三枚の擲銭(てきせん)が裏表の数で質問に答えてくれる。この記事で私がお伝えしたいことは、易のやり方、読み方、そしてこの空間には何かいる。何かある。
その感覚を多くの人に知っていただきたいのです。見えないエネルギーの反応が卦に現れる。それを感じ取っていただきたい。
そこで、この世界の不思議さ、神秘的な規則性のようなものを見ていただきたい。
本記事はボートレースの卦で解説しておりますが、他の競技でも使えます。
おそらくやり方を覚えて卦を出せば、すぐに結果と照らし合わせて「うわ!すごい!ホントにこの①消えた!」という経験をすることになります。
その時に、「うわ!すごい!ホントに何か居る!」という感覚がわかると思います。まず、それを知っていただきたい。
ですので、決して賭け事を推奨するものではありません。「当てる喜び」を伝えたいのです。そこのところは、どうかご理解頂きたいと思います。
賭け事で生計を立てたい、という人には向きません。何故かというと、その理由は四章を読んでいただければわかります。
1‐2 並べて比較してみる
断易は「その人のエネルギーを読む」技術で、本来は個の優劣を比較するものではありません。それぞれの卦に浮かび上がる輝きの強さを見ているだけです。
上達すると、一卦で「世対応」として、あらゆる試合の結果を予測することができます。難しいのは「引き分け」くらいです。
0対0と4対4の試合では卦の様相が違います。4対4のほうが「どちらかが勝つかのように見えてしまう卦」が出ます。
勝負占は、必ず絡む人を見つける、というだけのもので、一着は誰です、なんてことは出ません。
①号は怪しいぞ、という卦は出ます。④号が絶対絡む、というのも出ます。
その「絶対絡む人」が一着なのか二着なのか、それを決めるのは占者側の判断です。
怪しい①号が三着までに残すかどうかも、他艇の卦と比較して見るしかありません。
それぞれの優勢さ、劣勢さ、が卦に現れるだけです。「現状(本卦)」から「未来(之卦)」の繋ぎ目に読卦のアヤがあります。
そもそも、人の未来は決まっているわけではなく、現在決めたことがその人の未来を創っています。毎瞬、毎瞬、自分でいくらでも未来を選ぶことができます。
不確定な未来がいくつもあり、今決めたことが本人の未来を確定させる。それが、結果と本人を繋げる時間軸になっていきます。
その中で、現在の状態から1分後の未来にそれほどの差異は無く、いきなり時間軸のコマが飛ぶことは稀です。「ひとつの選択」をすると、1時間後には動きを見せ始めます。変化が現れ始めます。
勝ち負けは数分で決まる、という時に、今、自分が少しでも劣勢だと思えば負ける。
そこには現状劣勢だと分かっていても「負けを確定させたくない人の力」も働きます。
そのアヤが卦の繋ぎ目に出ます。
スポーツや勝負事は、そのようなエネルギーの集合体です。
運動選手は「運を動かす人」と言われており、観測するだけの占いの外側にいる人々です。どこかでエラーをしない限り、良卦が出ればそのまま勝ち続けます。
有利なコースから走る人ならば、本卦は他の人よりも優勢な卦が出ます。
それがどうなるか。それを凌ぐ人が他にいるのか。それを読んでいきます。
エンジンの悪い選手は、無理に仕掛けて行かず、「差して二、三着狙い」です。一着を狙わず二、三着狙いで走る、というその選手の「一着は自分以外の誰かさん」という気持ちが卦に出ます。
また、インコ―スが苦手な選手を占って、なぜかそのインに優勢な卦が出たことがあります。その時は「他艇がもっと劣勢な卦」なんです。
1‐3 「時臨・時墓・時冲」もあります
比較の読卦は日臨が最強とか、月臨が最強とか、合は良くて冲・空・伏せ・剋は悪い、と思い込まないでください。
もちろん、日の生があれば強いですし、傷が無ければだいたい強い、というのは正しいです。易の教本で、よく「傷」と表現されるのは「剋」と判別するためで、剋は神機(しんき)になり得る。用神の「傷」は破損と同じです。
基本は基本として解説していきますが、出た卦から読み取るべきは「神機」だけです。そして、その神機は「時の支」にも強い影響を受けます。
普通の事柄を占う際、「時の支」はほとんど関係ありません。
応期を見る時に使うくらいです。普通の事柄とは、相性、職業の適性、株価の騰落、病占、などです。勝負占がうまくなると株価の騰落なんて一発で解るようになります。爻の動きで解るようになります。
卦の比較をすることで、この日の墓はダメだった、とか、この日の空は強かった、この時刻はこうだった、と用神がどのような状態に変わっても対処していけるようになります。
日で「墓」だった用神が時の支に冲開され、強くなることがあります。
日で「絶」だった用神が、動爻の生を受けると強くなります。
用神や世爻を「剋した支」が、「時の支」だったり、「日臨の支」である時も用神を強くすることがあります。
ここまで書いた中で、言葉の意味がわからなくてもどんどん読み進めてください。基礎、実践、占例と、読んでいくうちに、卦を出してから何を見るべきか、どこを見るべきか、何が要らないのか、見えてくるようになります。
なお、この記事では用神や官鬼を、短く縮めて記載している箇所があります。
用官、と書いてあれば、「用神の官鬼」だと思って下さい。
「回頭生」なら「回生」
「絶処生に逢う」は「絶処生」
「用神が世爻を剋す」は「用世剋」
「官卯」なら官鬼の卯木のことです。
「用神官鬼の巳火が父母の辰土に化した」は、「用官巳火は父辰土に化した」、になっていると思います。意味が通じる程度に端折っています。
いちいち、「回頭の生」とか、「絶処生に逢う」とか、用神の官鬼、とか書いていると、易の説明はものすごく「まどろっこしいもの」になってしまうのです。ご了承下さい。
また、六親についてはすべて頭文字を採用しています。
「子孫」を「孫」と表記する人、妻財を「財」と表記する人もおりますが、間にカンマを付ければ「子水」と区別できますので、子孫は「子」、妻財は「妻」としています。
もう一点。
通常のノートが左開きであること、見やすさを追求した結果、之卦は右へ書くことにしています。そこも重ねてご了承願います。
基礎は1‐5から1‐21までの項目です。
できるだけ簡潔にまとめたい、という思いがある中、これらは削れない項目で、一章は他の章より長くなりましたが、要点はすべて押えてあります。
ひとまずこれらを辞書代わりに見れば「良し悪し」「是非」「二つに一つの答え」を導き出すことはできるようになります。
私が易のイロハを覚え始めた当初、教本の最初には、「納爻のやり方」が真っ先に載っていました。
あれを先に出されたらやる気が失せます。
首卦から始まり、なんちゃらかんちゃらと。
おそらく多くの方が知りたいことは、
「擲銭で裏表を出しました。その後どうするか?」だと思います。
何の卦が出て何の卦に変わった。何爻が動いた。それで、これをどう読むの? から始めます。
1995年頃、『超勉強法』という本が流行りまして、そこに「鳥の目勉強法」というものが紹介されておりましたが、本記事もそのような書き方になっています。
今やっている勉強が、その学問分野全体のどの部分なのかを把握するために、中学生なら大学生の読む教科書を読んでみよう、というような内容です。鳥瞰図(ちょうかんず)で全体を把握し、対象を理解する、というやり方です。
本記事での対象とは「たった今、出した卦」のことです。
「冲とは云々」「合とは云々」「月臨、日臨、空亡云々」の説明から始まる教科書の分かりにくさは柔軟な考えを削ぐもので、散々くどくど説明されたあげく、最後はお決まりの文句で「これらは日月冲合の兼ね合いによる」…で締め括られています。
だったら最初から、「日月冲合の兼ね合いによるが」の「が」から始めたほうが覚えやすい。そうです。全日(365日)、「日月冲合と空亡の兼ね合いによる」のです。冲とは云々、合とは云々、よりもそちらが重要なんです。
昔学習したけれど当てられなかったからやめた、という人にも、ぜひもう一度、肝心な部分の要点を書いておりますので参考にしていただきたいです。
易占いは技術です。私は多くの人が、この技術を使えるようになることを望んでいます。潜在意識との対話でもあるからです。
「使いたいから」の部分に焦点をあてて書いています。
目的は「当てること」です。当てることができるようになれば、実生活で様々に応用し、使えるようになります。
未知の事象を当てること。
失せ物を見つけること。
真贋を見抜くこと。
これらすべて、直感に優るものはないのですが、どうしてもわからない時に、尋ねてみる。それを身近に感じていただきたい。
高額な支払いが伴う商品の購入や、お金目当てに近づいてくる人、あなたにとって有益ではない情報に対して、どんどん卦を出してみてください。そして読んでみてください。
出した卦を読むこと以外に上達の道はないのに、基礎課程で苦しまないでください。読卦のアヤさえ見つけてしまえば後は楽です。
それどころか易占いが面白くなってきます。
一章は基礎で、英会話に例えると文法です。
文法ばかり勉強しても英語は話せるようになりません。実際にしゃべってみなければ、通じるかさえ分からない。発音よりイントネーションを知らないと聞き返される。
目的は「通じる」ことです。
一章は軽く読み飛ばして、二章の実践で出卦を覚え、どんどん卦を読んでいきます。
わからない箇所は一章に戻って調べてみます。三章の占例も参考にしてみてください。易者の頭の中は、こんなふうになっています。かなり生々しい読卦内容です。
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