偶像崇拝とその実在性〜的場梨沙に声がついた日〜
コインランドリーの巨大乾燥機が回るのを見ながらこれを書いている。
ガラスの円の中を、抗うこともできず揉みくちゃにされる洗濯物たち。
それをじっと見つめる1人の女。
汚い街の片隅には誰も目を向けない。
だが、もしその人物が「アイドル」だとしたら?
一気に景色は変わる。
大きめのパーカーに身を包み、いつもはツインテールにしている髪の毛をキャップに押し込んでいる女性。
もちろん顔には大きめのマスク。
自分の出演する劇場から3駅ほど離れた、静かな住宅街。
「仕事」が無い日は、夕方になると溜まった洗濯物を袋に詰め込みよろよろとコインランドリーにやってくるのだ。
そんな非日常の日常。
汚い街の片隅が、綺麗な物語の一片になる。
実在性。
偶像が実像に変化する境目。
アイドルが生きているという生活の断片。
そういうものに私は凄く惹かれる。
ハロプロ好きの友達がいるのだが、
その子の話が今でも忘れられない。
その子はライブ映像をテレビで見ていた。
大好きな女の子が、汗をかき笑顔で画面の向こうをかけ回る。
歌って踊って、お客に幸せを振りまく。
だが、その友達が最も感動した瞬間は、
「アイドルの横顔がライトに照らされ『産毛』が透けて見えた瞬間」だったそうだ。
生きてるんや、て思った。
上擦った声でそう言う友達の興奮した顔が忘れられない。
二次元になると、それはもっと顕著になる。
みなさんは「アイドルマスター」というジャンルをご存知だろうか。
ざっくり言うと、バンダイナムコが発表している複数のアイドルグループだ。
多分、ネットをしている人で知らない人はいないと思う。
その複数のグループがある中でも、私は「アイドルマスターシンデレラガールズ」というコンテンツが大好きだ。
8周年を迎えるこのコンテンツだが、その中で ある発表があった。
ついに…ついに…
的場梨沙に声がついた!!!!!!!
ヴァリサ!!!!!!!!
おめでとう!!!!!!!!
生きてる!!!!!!!!
※声がつくというのは、今まではイラストのみだったキャラクターに担当声優があてがわれる事です。
長かった…でも最高…
理想通りの声…
生きてる…息吹を感じる…
私の推しは「結城晴」なのだが、
キャラクター・声優ともに仲良しという…
確実にファンを殺しにきている…。
生きててよかった。
結城晴と的場梨沙に殺されて良かった。
否!!
死ぬわけにはいかない。
声優があてがわれた事で梨沙の活躍が増えていくだろうし、新SSRも新曲もイベントもまだまだ出てくるだろう。
キャラの詳細が深堀されればされるほど、その存在感は増してくる。
もはや次元は関係ない。
アイドルは広告を担い、映画に出て、写真集を販売し、ステージに立つ。
それだけの影響力がある。
「アイドルが存在する。」
そう信じるファンの想像力が偶像を実像たらしめるのだ。
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