第91回:お絵描きノート:ブラシの編集:合成モード:乗算;カスタムブラシを作ってみる(その5)
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第91回:お絵描きノート:ブラシの編集:合成モード:乗算:カスタムブラシを作ってみる(その5)
口上
今回は乗算モードについて解説します。合成モードを順にトライしてきて四番目の乗算モードです。乗算は言葉どおりに解釈すると色の掛け算ということになります。つまり、乗算モードは最初に塗った色と次に塗る色をコンピュータ上で掛け合わせて色を合成するモードであるようです。コンピュータはRGBの色の数値(最小値:0~最大値:1)を掛け合わせるので、例えば、白の上に黒を塗ると白(1, 1, 1)と黒(0, 0, 0)を掛けるので結果が黒になります。
乗算モードの特徴は、大体、次の様になります。
1.黒(#000000)の上に何色を塗っても黒になる。
2.白(#ffffff)の上に何色を塗っても後に塗った色になる。
3.白と黒以外の色は塗り重ねるとだんだん暗くなり最後に黒になる。
実際に乗算モードで描画した結果が冒頭の北斎漫画「無題(雨雲造りの職人たち)」の雨雲の色合いで表現されていると思います。ここで使用しているブラシの種類は、テクスチャブラシの⑤Texture Big、色は蘇芳色(#973c3f)です。このブラシをスタンプを押す様に描画しましたが、塗り重ねるほどに画面が暗くなるので、塗り重ねのやり過ぎはいけなそうです。
ブラシの編集:合成モード:➃乗算
図2-1:RGB色相環
① 赤 red #ff0000
② オレンジ orange #ff8100
③ 黄色 yellow #ffff00
➃ 黄緑色 Chartreu green #81ff00
⑤ 明るい緑 lime #00ff00
⑥ 若葉色 spring green #00ff81
⑦ シアン cyan #00ffff
⑧ 空色 Azure #0081ff
⑨ 青 blue #0000ff
⑩ 菫色 violet #8100ff
⑪ マゼンタ magenta #ff00ff
⑫ 薔薇色 rose #ff0081
図2-2:三原色(RGB)と乗算
三原色:
①赤:#ff0000
⑤緑:#00ff00
⑨青:#0000ff
・どの二色が重なる部分も黒になる。
・三色が重なる部分は黒になる。
図2-3:補色の組合せと乗算
・二色が重なる部分は黒(#000000)になる。
①赤と⑦シアン
③黄色と⑨青
⑤緑と⑪マゼンタ
・二色が重なる部分:
②オレンジと⑧空色では#004100(濃い緑)になる。
➃黄緑色と⑩菫色では#410000(濃い赤)になる。
⑥若葉色と薔薇色では#000021(濃い緑)になる。
図3-1:色料の三原色:
③黄色:#ffff00
⑦シアン:#00ffff
⑪マゼンタ:#ff00ff
・二色が重なる部分:
③黄色と⑪マゼンタとは赤(#ff0000)になる。
③黄色と⑦シアンとは緑(#00ff00)になる。
⑦シアンと⑪マゼンタとは青(#0000ff)になる。
③黄色と⑦シアンと⑪マゼンタの三色が重なる部分は黒(#000000)になる。
図3-2:白と黒の四角を順番に塗り重ねていくと図の様になる。
・すべて黒が優勢で塗りつぶすことになる。
図3-3:RGB色相環の12色の塗り重ね
・RGB色相環の12色を①~⑫の順番で少しずつ重なるように塗っていくと図のようになる。
・白と黒の枠を順番を変えて塗り重ねると、共に黒が優勢に塗られる。
・RGB色相環の12色と白と黒の枠を塗り重ねると、図のようになる。
□黒がいつでも優勢の色になる。
□白はいつでも一番下の色になる。
図4-1:乗算と黒から白のグレイスケール色見本
・黒がいつでも優勢の色になる。
・白がいつでも塗り重ねる事が出来ない。
・度合の違う灰色のかさなる部分ではより暗い灰色になる。
図4-2:乗算とウェブ用色見本:
・黒がすべての色より優勢の色になる。
・ウェブ用色見本のどの色も白より優勢の色になる。
・白と黒以外の色では二色が重なる部分はより暗い色になる。