第92回:お絵描きノート:ブラシの編集:合成モード:加算;カスタムブラシを作ってみる(その6)
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第92回:お絵描きノート:ブラシの編集:合成モード:加算;カスタムブラシを作ってみる(その6)
口上
今回のお題は加算モードです。このモードは色の足し算となりますが、この色の足し算では、前回の乗算と同様にRGBの色の3つの数値は、最小値が0で最大値が1となりまして、3つの数値をそれぞれ足して色を計算するモードとなります。
例を挙げると、黒は(0, 0, 0)で白は(1, 1, 1)となり、2つの色を足すとその結果は(1, 1, 1)なるので、黒の上に白を塗ると白になります。そして、また、塗る順番を変えて白の上に黒を塗っても白になります。
・黒(0, 0, 0)+白(1, 1, 1)=白(1, 1, 1)
その他の例を挙げると、
・黄色(1, 1, 0)+青(0, 0, 1)=白(1, 1, 1)
・暗い灰色(0.4, 0.4, 0.4)+明るい灰色(0.5, 0.5, 0.5)=もっと明るい灰色(0.9, 0.9, 0.9)
・明るい青(0.1608, 0.6274, 0.8274)+オレンジ色(1, 0.5961, 0.0706)=もっと明るい黄色(1, 1, 0.8980)
・赤(1, 0, 0)+灰色(0.5, 0.5, 0.5)=ピンク色(1, 0.5, 0.5)
加算モードの特徴は、大体、次の様になります。
1.黒(#000000)の上に何色を塗ってもその色になる。
2.白(#ffffff)の上に何色を塗っても白になる。
3.白と黒以外の色は塗り重ねるとだんだん明るい色になり最後に白になる。
4.同じ色を塗り重ねても、例えば赤の上に赤を塗り重ねても、塗り重なった所は同様にもっと明るい赤になる。
冒頭の北斎漫画「魚籃観世音」では、線描と背景の時には通常モードで描き、鯉のうろこの部分の塗りのレイヤーを加算モードで描画しました。全体を朱色に塗ってから、個々の鱗の縁の部分をペイントブラシ㉕点描ブラシを小さいブラシサイズにして同じ朱色で塗り重ねると図1のように明るい朱色の模様が付けられるので御覧下さい。
図2:ブラシの編集:合成モード:⑤加算(その1)
図2-1:RGB色相環の12色
① 赤 red #ff0000
② オレンジ orange #ff8100
③ 黄色 yellow #ffff00
➃ 黄緑色 Chartreu green #81ff00
⑤ 明るい緑 lime #00ff00
⑥ 若葉色 spring green #00ff81
⑦ シアン cyan #00ffff
⑧ 空色 Azure #0081ff
⑨ 青 blue #0000ff
⑩ 菫色 violet #8100ff
⑪ マゼンタ magenta #ff00ff
⑫ 薔薇色 rose #ff0081
図2-2:三原色と加算モード
三原色:
①赤:#ff0000
⑤緑:#00ff00
⑨青:#0000ff
塗りの順番:
・赤→青→緑
・青→赤→緑
・緑→青→赤
・二色が塗り重なる部分は、
①赤と⑨青とでは⑪マゼンタになる。
⑨青と⑤緑とでは⑥シアンになる。
①赤と⑤緑とでは③黄色になる。
・三色が重なる部分は白になる。
RGB色相環の12色:
・加算モードで補色の関係の二色が塗り重なる部分は白(#ffffff)になる。
①赤と⑦シアン
③黄色と⑨青
⑤緑と⑪マゼンタ
②オレンジ色と⑧空色
➃黄緑色と⑩菫色
⑥若葉色と⑫薔薇色
図3:ブラシの編集:合成モード:⑤加算(その2)
図3‐1:ブラシの編集:合成モード:⑤加算(その2)
色料の三原色と加算モード:
③黄色
⑦シアン
⑪マゼンタ
・二色の重なる部分も三色の重なる部分も白になる。
図3‐2:塗りつぶしツールで図の赤の矢印のように白と黒で交互に塗りつぶしていくと加算モードでは図の様になる。
図3‐3:
・RGB色相環の12色を①~⑫の順に少し重なるように塗っていくと図のようになる。
・白と黒の枠を1⃣黒→白、2⃣白→黒の順で描画すると図の様になる。
・RGB色相環の12色と白と黒の枠を図のように描画すると、白の枠を塗りつぶすことができない。一方、黒の枠は塗りつぶされて一番下になる。12色の線が重なる部分は白くなる。
図4:ブラシ編集:合成モード:⑤加算 Addition
図4‐1:加算モード:黒と白とグレースケールの関係
図4‐2:加算モード:ウェブ用色見本と黒と白とグレースケール