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【レシピ付き】キューバンサンドイッチ用のパン【映画シェフに憧れて】

それは、世田谷で店舗をしていたある日のことです。卸先のレストランのシェフから、『キューバンサンドイッチを作りたいんだけど、パンって作れる?』と相談されたのが、すべての始まりでした。


キューバンサンドイッチとは?

キューバンサンドイッチは、キューバ移民によってアメリカで広まったサンドイッチで、パンにローストポーク、ハム、ピクルス、マスタード、チーズを挟んで焼き上げるのが特徴です。外はパリッと、中はジューシーな食感が魅力です。

ChatGPTより引用

『キューバンブレッド』という特製のパンにさまざまな具材をたっぷり挟み、バターをたっぷり塗ってプレスして焼き上げるのが特徴です。焼く際に表面に塗ったバターが、外側をカリッと香ばしく仕上げ、サンドイッチ全体に独特の風味を加えます。

キューバンサンドイッチ用のパンの開発スタート

キューバンサンドイッチって何?

『キューバンサンドイッチって何?』と、何も知らないところから試作が始まりました。どうやら、『キューバンブレッド』というパンが使われるようです。最初に参考にしたのは、2014年公開の映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』。

参考にした映画はこちら ↓

2014年に公開されたアメリカのコメディ映画です。ジョン・ファヴローが監督・主演を務め、彼が演じる主人公のシェフ、カール・キャスパーが一流レストランでの職を離れ、フードトラックでキューバンサンドイッチを提供するという新しい道を歩む物語です。映画は、彼が家族や友人とともにフードトラックでアメリカを旅し、料理の楽しさと自分の原点を再発見する姿を描いています。この作品をきっかけに、キューバンサンドイッチがさらに人気を博しました。

ChatGPTによる要約

いやー、本当にハマりました。Amazonで買って何度も見直しながら、こんなフードトラック、いいなあと憧れたものです。たしかにこれをみたら、キューバンサンドイッチ食べたくなります。

参考資料はYouTube

さらにYouTubeで海外のキューバンサンドイッチ用のパン作りの映像を見ながらイメージを膨らませて、いざ試作開始。

具材の知識がなく、サンドして焼いた最終製品を作れない状況だったので、聞いた食感のイメージを元にいくつかパターンを試作してみました。最終的に、イメージに近いものが出来上がったんです。

イメージはフワフワのバゲット

ただ、うちの窯が小さくて、1段に3本しか焼けず、量産はできなかったため、イベント限定商品になってしまいました。すごく気に入っていたんですけどね。

リクエストがあれば、オンラインショップで販売しようかな?


キューバンブレッドの作り方

情報を公開して以来、卸のお問い合わせをよくいただくのですが、窯が小さくて大量に焼けないので、ここでオリジナルの配合と工程を共有します。これが、どこかのパン屋さんの参考になれば嬉しいです。

配合

【原材料】
ポーリッシュ種
強力粉(カメリヤ) 20%
サフ・インスタントイースト 0.2%
水 20%

本捏
強力粉(カメリヤ) 80%
サフ・インスタントイースト 1%
砂糖 8%
塩 2%
水 45%
※ 使う小麦粉によって本捏の量を調整してください

後入れ
ハイポークラード 5%
※ ラードがない場合は、ショートニングでもOK 

製法には『ポーリッシュ種』を使用します。
この製法では、まず一部の小麦粉を水とイーストで「とろろ」くらいの柔らかさの生地にしておきます。これにより、グルテンが生成され、発酵の風味も加わります。一度にすべての材料を捏ねる方法に比べて、生地に伸びが出やすく、ふっくらとしたボリュームを持ちながらクラストが薄く仕上がるのが特徴です。軽い食感を引き出せて、失敗しにくいのも魅力です。

このレシピには、食パン用の強力粉を使用し、素材の味を引き立てるために少し多めの砂糖を加えています。砂糖が少ないと塩味が強調され、全体がしょっぱく感じられることがあるためです。イーストは、普段お店で使っているもので問題ありませんが、ポーリッシュ種を作る場合は、安定しやすいインスタントイーストが適しています。

水分は少なめにして、生地がしっかり形を保つように少し硬めに捏ねます。油脂はラードを使うと、さっくりとした食感に仕上がり、普段お店で使用しているショートニングでも問題ありません。ショートニングを使うと、ボリュームが出てふんわりとした仕上がりになります。

工程

ポーリッシュ種の作り方
1. ボウルやタッパに小麦粉とイーストを入れ、ゴムベラでしっかり混ぜます。
2. 水を加え、粉っ気がなくなるまでゴムベラで混ぜ合わせます。
3. 捏ね上げ温度を22℃前後に調整し、27℃で2時間発酵させます。
4.その後、乾燥しないように密封して冷蔵庫で一晩熟成させます。

使う強力粉の吸水力に合わせて、水分を調整してください。

本捏

ポーリッシュ種の使用手順
1. 一晩冷蔵庫で熟成させたポーリッシュ種に仕込み水の一部を加え、ゴムベラで周りから削ぎ落としながらミキサーボウルに移します。
2. 残りの仕込み水でボウルに残ったポーリッシュ種を洗い流し、再度ミキサーボウルに加えます。

ミキシング
1. 次に、油脂以外の材料をミキサーボウルに入れ、ミキシングを開始します。
2. 縦型ミキサーを使う場合は、低速で5分、中速で4分、高速で2分間混ぜます。

使用する小麦粉やミキサーによって時間を調整してください。手捏ねの場合は、生地を引っ張って断面が滑らかになるまで捏ねるのが目安です。

油脂の追加とミキシングの仕上げ
1. 室温に戻しておいた油脂を生地に加えます。
2. 低速で5分、中速で4分、高速で1分間さらに混ぜます。
3. ラードがしっかりと混ざり、生地が滑らかになったらミキシングは終了です。

ポーリッシュ種に水を入れることで、生地が浮いて取り出しやすくなります。

油脂入れ後の生地は、伸びるように作るほどボリュームが出てふんわりとした食感になります。

フロアタイムとベンチタイム
1. 生地を乾燥しないように注意しながら、室温で約50分発酵させます。一回り大きく膨らんだら発酵完了の目安です。
2. 発酵後、生地を350gに分割し、30分のベンチタイムを取ります。
3. オーブンのサイズに合わせて分割重量は調整してください。

小さく焼いてパニーニのようなタイプも面白いかもしれません。

成形と最終発酵
1. 生地をバゲットの要領で60cm程度まで伸ばします。
2. キャンバス布で布取りし、27℃、湿度75%で50分間発酵させます。
3. ホイロの終了目安は、生地を軽く指で押して爪の跡が残ることです。

焼成
1. キャンバス布からスリップピールや板に生地を移し、縦に一本、薄くカミソリでクープを入れます。大きなクープにならないよう、火通りを意識して軽く刃を入れます。
2. オーブンに入れたら上火180℃、下火190℃で30分焼成します。最初にスチームを1回追加してください。
3. サンドイッチ用の再加工に備え、焼き色は薄めで、クラストも薄めに仕上げます。

スチームの効いた窯を使用する場合は、普段のフランスパンの焼き方に従ってください。
砂糖が8%含まれているため、焼き温度はやや低めに設定します。
焼成温度は「三幸機械コンポ」の設定を基準としていますが、使用するオーブンに合わせて温度を調整してください。

保管
使いたいサイズにカットし、冷凍保管するのがおすすめです。

少量購入で試作をスムーズに

試作時には少量から購入できるネット販売が便利です。問屋さんより少し割高ですが、最初は少量で試すことができます。うちの店でも、まずはネットで少量購入し、イメージが固まったら問屋さんにサンプルを依頼し、食材と原価を計算してから商品化に進めています。

ネット販売でアイデアを広げる

作りたいパンが決まっているときは問屋さんでの購入も良いですが、ネットの食材一覧を眺めていると意外な素材に目が留まり、新しいアイデアが生まれることもあります。時には、こうした遠回りも新しい発見につながります。


配合 (ちょっと贅沢バージョン)

【原材料】
ポーリッシュ種
強力粉(ゆめちからブレンド) 20%
サフ・インスタントイースト 0.2%
水 20%

本捏
強力粉(ゆめちからブレンド) 60%
米粉 20%
サフ・インスタントイースト 0.8%
砂糖(素焚糖)8%
塩(あら塩)2%
水 55%

後入れ
ハイポークラード 5%

少し贅沢に作るなら、北海道産小麦や国産食材を使ったバージョンがおすすめです。フランスパン用の小麦よりも、食パン向けの小麦を使うとパサつきが抑えられ、もっちりとした食感が出やすくなります。さらに、米粉をブレンドすることで、お米の自然な甘みが加わり、優しい風味が楽しめます。砂糖はさとうきび由来の素焚糖を使用し、ラードを加えることでさっくりとした食感に。少し甘めで、若干もっちりしたバインミー用フランスパンをイメージしています。

工程は基本的に一緒ですが、米粉の種類によって吸水量が大きく変わるため、本捏ねの段階で水分量を調整する必要があります。水の調整が少し難しいかもしれませんが、サンドイッチの種類に合わせていろいろと変えてみてくださいね。


まとめ

キューバンサンドイッチは、パン屋やカフェの差別化におすすめです。まだまだメジャーにはなっていないため、目新しさがあります。また、キッチンカーで提供しているお店もマルシェでたまに見かけます。パン作りもそれほど難しくないため、ホットサンドの新メニューとして候補に上げるのも良いかもしれません。映画のようなキッチンカーを運営できたら、楽しさ倍増ですね。

憧れのキッチンカー生活 ↓

日本でもこんなキッチンカーで旅してみたいですね。地域ごとの食材を使ったキューバンサンドイッチを提供し、さまざまなイベントに参加することで、新しい味の発見と出会いを楽しむことができるでしょう。

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