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食事に寄り添うパン作りの選択:イーストの安定感と自然種の奥深さ

今、SNSで『Canva vs Adobe』論争が盛り上がっています。
シンプルで使いやすいCanvaと、細かい表現まで可能なAdobe、どちらもそれぞれの魅力があり、多くの支持を集めています。

この話題に触れて、ふと頭をよぎるのが、パン業界での『イースト vs 自然種』という選択の議論です。

イーストも天然酵母なので、ここでは自家製酵母を総称として「自然種」と表記します。

イーストは、毎回安定した品質が得られるだけでなく、他の食材の風味を邪魔せず調和する点が魅力です。
一方で、自然種は種に使う食材によって風味が大きく変わる独特な個性があり、それが愛好家を惹きつけます。
パン作りにおける発酵方法の違いは、まさに『シンプル vs 個性』のような選択なのです。

時代が変わっても、人は常に『〇〇 vs 〇〇』というテーマに引き寄せられ、自分にとっての価値や基準を探るものかもしれません。

デジタルツールの選択もパンの発酵方法の選択も、どちらも作り手が何を重視するかで自然と分かれていくもの。
効率や安定した品質、素材の風味を引き立てたい人にはイーストがぴったり。
一方で、奥深い風味の変化や個性に惹かれるなら自然種が魅力的です。

それは、『自分が届けたい味をどう表現するか』という選択。

パン作りの道は、自分が届けたい味や役割を考えながら選択を重ねる旅です。
自然種の奥深い風味や個性もパンの魅力のひとつであり、私も粉末のライサワー種を使用して、酸味や香りを引き出したいときに取り入れています。

それでも、日常の食卓でパンが“名脇役”として食事を引き立てる存在であるために、イーストの安定感は私の理想にぴったりでした。

また、子育てをしながらの仕事の工程を考えると、温度管理によって予定している時間で発酵してくれるイーストは安心感もあります。
パンが主張しすぎることなく、食材の風味を引き立て、食卓の全体的なバランスをとる──そんな“名脇役”を演じられるのは、イーストの持つ安定感と調和力だと信じています。

最終的に、どんなパンを作りたいかで酵母や種を選択をしていきます。
イースト、自然種、そして粉末のライサワー種──それぞれが持つ魅力で、パンの可能性は無限に広がります。

また、自然種を通年で管理し、その奥深い風味を常に最高の形で引き出している職人の皆さんには、心からの敬意を抱きます。
手間や季節ごとの調整を惜しまず、自然と向き合うその姿勢には、同じパン作りに携わる者として大きな感銘を受けます。

パン作りにはさまざまな選択があり、それぞれの道に価値と誇りがあります。
皆さんの努力が、パンの世界を豊かに彩っていると感じています。


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