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予測変換の罠
スマートフォンで文字を打つのは苦手です。フリック入力はまったくできず覚える気もないので、パソコンのキーボードの配置にしてローマ字入力にしていますが、それぞれのキーの面積が小さいこともあって、隣を押してしまうことがしばしばあります。
しかし、今私が使っているスマートフォンには便利な機能があります。ユーザーの打ち間違いの可能性を想定した予測変換が出てきてくれるのです。例えば、単語と入力したいのに誤ってたんぎと打ってしまったとしても、たんごの変換候補も画面に現れるので、打ち直す必要はありません。
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ところが、予測変換が便利になり過ぎるのも考えものだと思う場面が最近ありました。ある会社の海外進出について説明している文章に、シドニー(オーストリア)という記載を発見したのです。出元を確認したところ、クライアントから支給された原稿が間違っていました。
オーストラリアと自分で打つのであれば、誤ってオーストリアと打ってしまう可能性はまずありません。オーとかオースの段階で出てきた予測変換を誤って選んでしまった可能性が高いように思います。印刷入稿の直前に私が無償でチェックを引き受けたので難を逃れましたが、危ないところでした。
これは常識の範疇だったので気づくことができましたが、そうではない場合もあります。別件でオーストリアのIMSという記述が出てきたとき、先程の件の記憶が残っていた私は念のため検索をかけ、IMSがオーストリアの企業であることを確認しました。しかし、アルファベット3文字だと、もしオーストラリアになっていたとしても、何の違和感も覚えないでしょう。
予測変換を活用すればさまざまな業務が効率化します。文字打ちが下手な私は非常に助かっていますが、入力ミスのリスクが上がっていることを意識して注意を払う必要があるでしょう。一字一句丁寧に打つ手間に比べれば、自分が打ったテキストを見直す時間などは些細なものなのです。